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中国大手メディアの不思議報道=6年前の日本「女体盛り」記事を今さら転載

2010年07月23日

2010年7月21日、中国大手メディア・中国新聞網は、日本華字紙からの転載記事「華人の物語:中国人女性、日本で『女体盛り』の仕事をした屈辱の経験」を掲載した。中国のネット掲示板では日本人のエロさを叩く声が盛り上がっているようだが、記事の経緯には不可思議な点がある。

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その筋書きは以下のとおり。北海道の芸術大学に留学した中国人女性・王娜(ワン・ナー)さん、大学には合格したものの学費がなくて困っていたところ、母のいとこの知り合いから「実は友人がレストランを開いたんだ。今、女体盛りのためのきれいな女性を捜している。(王さんのいとこの)安子さんは条件にぴったりだ」と話があり、王さんも一緒に「女体盛り」のアルバイトを始めた。スタイルの良さや処女であることが条件だったという。長時間動かないでいるための訓練などを受けた後、仕事を始めたが、客は、裸で横たわる王さんの体を無遠慮に批評するなど屈辱の体験だったという。

中国新聞網の記事はブログやネット掲示板に転載され、注目を集めた。日本人を批判する声だけではなく、王さんを「民族の恥」と批判する人もいるようだ。

さて、この王さんの告白だが、初出は日本華字紙ではない。ネット検索で確認したところ、なんと2004年5月8日付東方網が「訪日留学生:日本で『女体盛り』の仕事をした屈辱の経験」と の記事を掲載している。その冒頭は「4月初頭、昆明市のレストランが『女体盛り』サービスを提供。事件の発覚はまるで波紋のように広がり、同様のサービス を提供している店舗が数多く見つかった。その後、衛生監督部門は『女体盛り』サービスを注視するよう始動した。『女体盛り』とは何か?どんな食事方法なの か?かつて日本に留学した経験のある美しい女学生・王娜が私に『女体盛り』の屈辱の経験を語った」とある。調べると、この記事の後、昆明市のくだりが削 除、改変された上で、繰り返し転載が続き、テンプレートと化しているようだ。

北海道大学の高井潔司教授は、21世紀中国総研ウェブサイトにコラム「『女体盛』専門家になってしまった私」(2004年5月15日発行)を 発表、昆明市の「女体盛り」事件について解説している。「『女体盛』は1年(2003年)も前から、中国で話題になっていて、そういう助平な中国人男性が いるから、和風レストランと称する店でそうしたサービスをやろうとしたのだということがわかる。「日本」に対するでたらめなステレオタイプが、インター ネットによって、広められた結果であることもわかる。(報道は)このあたりをきちんと書き込んでいただかないと、問題の本質が伝わらず、また日中間の感情的な反発だけを高める結果に終わってしまう」と分析した(カッコ内はChinanewsの注記)。

アダルトビデオなど日本の「性」につい て、中国人の関心は高い。その中で、実態とかけ離れた情報が広まっていることも少なくない。一例をあげれば、以前、本サイトで取り上げた「日本のAV女優 が侵略の罪を謝罪するために、中国人男性に体を提供」という話もその一つ。ネット掲示板が普及している中国では、ガセネタだと判明した後も転載が続き、訂 正されないまま広がっていってしまう。

こうして中国では「エロの国・日本」というイメージが定着している。表向きでは「性」が厳しく取り締まられている中国だけに、「開放的な日本」へのエキゾチックな興味があるのかもしれない。

 コメント一覧 (2)

    • 1. りえたん
    • 2010年07月23日 10:06
    • またサーチナの無批判転載ですか
    • 2. Chinanews
    • 2010年07月23日 13:22
    • >またサーチナの無批判転載ですか
      あんまり他所様のことについて申し上げたくはないのですが、中国ネットユーザーの声を拾うぐらいの手間をかけるならば、記事の出所についてもう少し調べてもよかったんじゃないかと思いますけどね……

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