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ミイラ取りがミイラになる=中国に絡め取られた台湾、そして日本は……

2010年08月03日

2008年に政権をつかんだ台湾の馬英九総統。選挙中から中国との接近による経済成長路線を訴え、この2年、「三通」(通商、通航、通郵の解禁)をほぼ実現するなど、中国本土への接近政策を着々と進めています。そしてついには反対派の意見を強行突破し、自由貿易協定(FTA)に相当する経済協力枠組協定(ECFA)に調印しました。


(台湾が生んだスーパースター金城武も視線は完全に本土?!)

こうした主張に批判的な人からは「売国奴」呼ばわりされることも。馬総統の行動をどう捉えるべきなのか。「経済的に台湾を取り込み、その先に「統一」を図ろうという中国の戦略を分かっていながら台湾がECFAを望んだとすれば、これは一種の「政治的自殺行為」であるとも言える」と指摘する、記事「じわじわと中国に絡め取られていく台湾  「統一」の罠に自ら飛び込んだのか JBpress(日本ビジネスプレス)」(著者は阿部純一・霞山会主席研究員、事務局次長)が大変示唆的です。

記事の概要は以下のとおり。中台の経済接近は80年代末期から一貫したものであり、急接近を懸念する李登輝総統時代も、台湾独立を掲げた陳水扁総統時代も継続したものであったと指摘します。

その原動力は企業の「貪欲さ」。中国本土進出の利益をひたすらに企業は求め、政府も不安を感じながらも応じずにはいられなかったと。その結果、台湾経済の中国本土依存度は2007年時点で30%を突破。馬総統の路線もその延長上にあると指摘し、こうしめくくっています。

台湾は別に中国に騙されたわけではない。台湾にとって中国は、地理的に隣接し言語の障害もなく、安価で豊富な労働力を調達でき、かつ巨大な市場を併せ持つ。中国への経済的接近は、台湾にとって極めて合理的な選択だったことは事実だ。

しかし、企業家の利潤追求という合理的目的にのっとった行動が、結果的に台湾の政治的自由を縛り、台湾の自立性を損なうことになるかもしれない。そのことを誇張して言ってみたまでだ。

さらに言えば、これは台湾に限った話ではない。次は日本の番かもしれないのだ。

確かに日本も台湾ほどではないにせよ、「中国経済をビジネスチャンスにしたい」という意味で似た構造と言えるでしょう。妥協しつつも粘り強く交渉し、名分を犠牲にして実利を得る。これがうまくいけばいいのですが、なかなかそううまくは行かない。これは歴史が証明しています。

その典型が日中戦争期、日本占領地域内での中国新政府トップとなった汪兆銘。中国では「漢奸」(売国奴)として批判される汪ですが、歴史研究では、傀儡政権の中から日本と交渉し、重慶の国民党政府との講和など望む方向に持っていこうとしていたことなどが明らかにされました。

が、もちろんそうした汪の試みはすべて挫折し、失意の死を遂げることになります。粘り強く交渉すると言えば格好良いですが、実際には交渉のカードがない弱い立場では何もできなかったわけです。そして、阿部純一氏の記事は中国本土依存が進む台湾も交渉のカードを失いつつあることを指摘しています。

では、日本はどうでしょうか?
(Chinanews)
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 コメント一覧 (2)

    • 1. gtzhen
    • 2010年08月04日 02:48
    • 台湾古来の民族からは日本に併合帰属をとの希望も聞きます。馬総統は外省人ですから早く言えば台湾へ進駐した占領軍。本土へ吸収政策を進めるのは当然でしょう。 振り返って日本は今や日本人の顔をした中韓人の子孫や、中韓マインドに迎合し・・・・・。大和民族はこんなじゃなかったはず。
      モーレツサラリーマン人生を過ごした私は長く生き過ぎたのか。こんな日本にはなって欲しくなかった。
    • 2. Chinanews
    • 2010年08月05日 00:22
    • gtzhenさん
      確かに今の日本はがっかりすることが多いですね。
      自分も含め、若い世代ががむしゃらになることが大事なのかなと思っています。

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