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【インド映画評】インド映画界は世襲制?!輝かしいボリウッドの裏側を描く『チャンスをつかめ!』

2010年11月27日

『チャンスをつかめ!(LUCK BY CHANCE)』


20101127_india

*2009年10月22日の記事を転載。
東京国際映画祭で『チャンスをつかめ!』を観てきた。
ボリウッドスターを志す若者たちの心の葛藤と恋愛や友情の物語。

本人役としてアーミル、アビシェーク、ジョン、アクシャイ、ヴィヴェーク、ランビール、ラーニー、カリーナなどそうそうたるメンバーが顔を揃え、ボリウッドファンを楽しませてくれる。最後の方でシャールクが貫禄の出演をしている。
なおリティックは「役」として出演しているので、別の役名となっている。主人公ではないはずなのに、公開時のポスター等では前面に出ていたのでてっきり彼が主役なのかと思っていた。

最大の特徴はボリウッド映画の裏側にスポットを当てたところだろう。
ボリウッドスターになるには2世、3世が圧倒的に有利。
でなければ世界的ミスコンの優勝者などで、主人公の女性ソーナーのように脇役上がりではほとんどチャンスは回ってこない。
さもなくば、もうひとりの主人公ヴィクラムのように、コネを積極的に自分で作り、這い上がっていくしかない。
チャンスは落ちていない、自分で掴んでいくものなのだ。運も実力のうち。
彼の友人は「役者は演技」と舞台で実力を磨いていくが、コネで役をゲットしたヴィクラムを邪道だと思いつつもどこかでうらやましがっている。

*当記事は映画から、ニュース、イベント、カレー、旅行など様々なインド・トピックスを扱うブログ「インド映画通信」の許可を得て転載したものです。

コネがものを言う世界というのはボリウッドに限ったことではないが、「ハリウッド映画のDVD観て台本おこした」なんてパクって映画を作っちゃってる・・なんてくだりはボリウッドらしい。

音楽はヒットメーカーのShankar-Ehsaan-Loy。
ダンスシーンが撮影風景と絡めててうまく挿入されている。どれもなかなかいい。
特に一番の見所はリティックのダンスシーン。
『Krrish』でのサーカス風な衣装とノリのいい音楽で、リティック流クニャクニャダンスを画面いっぱいに堪能できる。
はっきり言って、私はこのシーンが一番好きだ。

インド映画はなぜかスイスロケが大好きだが、スイス風山並みをバックにしたダンスシーンや、ヒーローがヒロインの危機を助けて斜面をころころ転がってくるシーンなどがいかにもインド映画らしくて面白い。壁に貼ってあるヒット作のポスターなど様々なネタが散りばめられていて、撮影所見学気分で映画を観ることができる。実際にムンバイのフィルムシティに潜入したことがあるので(ちょっと自慢)、「そんな感じだったな~」なんて思い出しながら観た。

ただこうしたバックステージものは、表を知っているからこそより楽しめるのではないか。
『Om Shanti Om』も一種のボリウッド映画界の裏側を描いたものだが、あれは裏と見せかけたド表という技であった。
主人公のコーンクナー・セーン・シャルマーは『Page3』でも主演だったが、彼女は華やかなボリウッド作品よりはこうしたややドキュメンタリーチックな映画の方がマッチする。Page3も華やかな舞台の裏側を描いた作品という点でこの作品と似ている。だがどちらも特に目新しいストーリーではなく、やや新鮮味にかける。

またヴィクラムがスターになっていき、華やかな世界に足を踏み入れていく様子と、それをうれしい反面、心配な気持ちが募っていくソーナーのラブストーリーもありがちな話。太田裕美の木綿のハンカチーフ(←古すぎ(笑))的世界はうまく描かないとバタ臭くなってしまうのだが、女性の自立に趣旨を入れ替えた点で悪くなかった。

どちらかというと映画祭向けの作品。一般公開をするにはやや地味な印象。
インド映画の要素は盛り込まれているが、こうした作品を楽しむならもっと「This is Bollywood」な作品で他の映画との差別化を図っていった方がいいような気がする。それこそがインド映画の面白さなのだから。





*当記事は映画から、ニュース、イベント、カレー、旅行など様々なインド・トピックスを扱うブログ「インド映画通信」の許可を得て転載したものです。


<参考サイト>
映画.com:『チャンスをつかめ!』紹介記事


<過去記事>
【インド映画評】エンターテイメント作品として社会問題を描いた傑作=2010年フィルムフェア最優秀作品賞『3バカに乾杯!』

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