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【インド映画評】カースト、女性蔑視、インド社会の差別に女たちの舞が地響きを鳴らす『シスター・チャンドラとシャクティの踊り手たち』

2010年11月28日

『シスター・チャンドラとシャクティの踊り手たち』


20101128_india

*2010年1月19日の記事を転載


17日(日)に東京広尾JICAにて観てきた。ドキュメンタリー映画。

ダリット(不可触民)である女性たちが本来ダリットの男性が使用するものであるタブラ(太鼓)を用いて演奏・舞踊することにより、伝統の継承と差別への撤廃に取り組んでいく様子が描かれている。それを導くシスターのインタビューと実際の舞台、彼女たちの日常の様子などが中心となっている。

特別な撮影技術や演出が施されているわけではない。製作者側の必要以上の主観が入らずに、比較的淡々とカメラが回っている。でもこれが本来のドキュメンタリーではないかと思った。演出がほとんどない事実を撮影することによって、観る側に考える余地を残している。

私たちがイメージするインド舞踊は繊細で美しい。しかしタブラを用いた踊りは、男性的で野趣にあふれている。なのに演じ手が女性であることによって、そこにしなやかさが生まる。インドの観客の、ひきつけられているような舞台への視線が印象的だった。

実はその前日に『女盗賊プーラン』として小説・映画化にもなったプーラン・デーヴィのことをテレビで特集していた。彼女もまた低カーストにより様々な迫害を受け、女盗賊となったがその後国会議員となり差別と正面から戦うことになる。

*当記事は映画から、ニュース、イベント、カレー、旅行など様々なインド・トピックスを扱うブログ「インド映画通信」の許可を得て転載したものです。

私は日本人だし、インドに住んだこともないし、差別やカーストの勉強をしたこともない。差別はいけない。あってはならない。だがそうした理想論の一方で、カーストという一種のコミュニティのようなものでインド社会が成り立っているらしいこともわかってきた。

インドでは表立ってはカーストは禁止されているが、長年の伝統で簡単には崩せないこともまた事実だろう。だがシスターが率いる踊り手の少女たち、プーラン・デヴィ、ITエンジニアを目指す貧しい村の若者たち、こうした小さな一歩が少しずつ社会を変えていくのかもしれない。

ボリウッド映画でも女性差別を前面に打ち出した作品は多い。私が観たものはいずれも凄惨なものだった。だがシスターの自分を語る表情は自信に満ちたものであり、踊り手の少女たちも明るかった。それは苦難を乗り越えたものなのか、凛とした自分があるからなのかはわからない。このドキュメント作品を観てどう感じるのか・・・その考えるきっかけになることがこの作品の一番のテーマなのだと思った。

興味がある方はアマゾンで取り扱いあり。「何か」を感じるのもありだが、純粋なドキュメンタリーとして観るのもよし。

シスター・チャンドラとシャクティの踊り手たち [DVD] 





*当記事は映画から、ニュース、イベント、カレー、旅行など様々なインド・トピックスを扱うブログ「インド映画通信」の許可を得て転載したものです。

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