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2011年01月17日
同弁公室の報告によると、昨年12月31日までに逮捕した犯罪容疑者は96人、事件に対して明確な責任があるとされ、党規律、政府規律処分、行政問責処分を受けた党・政府指導幹部、監督管理部門責任者は191人に達しています。また今回の取り締まりキャンペーンでは、問題とされる粉ミルク2131.87トンが発見されたとしています。この中には、わたしが昨年の11月に紹介した湖南遠山乳業有限公司の事件も入っていると思われます。
三鹿ブランドのメラミン入り粉ミルクの事件が明るみに出たのは2008年であり、すでに2年余り経っているにもかかわらず、このような問題が出てくるということは、明らかに政府のミスであり、講じている政策が余り効果を発揮していないことが分かります。現にこの責任者も「乳製品の安全に対する監督・管理の面で、依然として手薄な部分や漏れがある」と述べ、力不足を率直に認めました。
と同時に、「今後さらに力強い措置を講じ、食品安全に関する違法行為を厳しく取り締まっていく」と表明しており、このメラミン粉ミルク使用による汚染乳製品の問題はいまだ完全解決されていないことをほのめかしているのです。
SARSの時も、毒ギョーザの時も、そして三鹿粉ミルクの時もそうでしたが、国務院のこのような発表というのは、いつも「事後報告」であり、「政府はうまくやっていますよ」ということをアピールする場でしかありません。つまり政府の「メンツ」を保つ場でしかないわけです。これではいくら発表をしたところで、中国国内の製品品質に対する信頼回復など望めないでしょう。政府のこのような態度が改まらない限りは、消費者の目は国外のブランドに向くしかないのです。