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2011年02月06日
*画像は広州日報の報道。
2011年1月31日付広州日報が城壁を作った理由を報じている。同士の取材に応じた坑鄭村村民委員会の阮国麟主任によると、城壁建設の目的は防犯だという。山の中の小さな集落だが、2007年に省道が開通したことから、経済が発展しはじめた。今では10以上ものバルブ加工工場がある。
76世帯270人余りの村民が住むが、その平均年収は2万元(約25万円)以上。住民の4割がマイカーを持ち、60歳以上の老人全員に年金が支給されている。しかし裕福になるにつれ泥棒の被害が深刻化していった。阮慶徳さんの家はここ数年で14、5回も泥棒に入られたという。またある時は一晩で7軒もの家が泥棒の被害にあった。
泥棒対策の苦肉の策として考えられたのが城壁を築くこと。500メートルの城壁を築くには50万元(約625万円)もの費用が必要となった。7割は村民の寄付、残りは村政府、鎮政府の財政から拠出したという。入り口はわずか1カ所に限定され、出入りにはカードキーが必要となる。
阮主任は「この軒で村民の心は一つになりました。全員が城壁建設に賛成したのです」と語る。城壁完成から1カ月、例年ならば最も泥棒被害が多い旧正月前になってもまだ盗難事件は起きていないという。
では、治安対策としての城壁は他の村にも応用できるのだろうか。阮主任は否定的な見解を示している。岙底集落は三方を山に囲まれた地形をしており、唯一外界と面した一面だけに城壁を築いたのだという。もし四方を全て囲むとすれば費用がかさみすぎると指摘した。
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それにしてもすごい絵面です。城壁完成後、わざわざ見に来る人も少なくないのだとか。
なにやらすごい発想のような気もしますが、壁を城壁風に作っているのが珍しいだけで、いわゆるゲーテッド・コミュニティ(防犯のために高い塀で囲い出入りを規制する住宅地)ですよね。それが農村に登場したというのは面白いですが。
ちなみに中国の一部地域には、集落をぐるりと壁で囲む城壁村が存在していましたので、その復活ともいえるかも。世界遺産にも指定された土楼なんかも似たような発想ですね。
新しい住宅街ではそれが当たり前のようです。
中国もそこまで進んだか、それとも中国だからこそ?