中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年02月17日
中国メディアの「控えめ」な反応
それを受けてCCTV評論員は「日本は遅かれ早かれ中国にGDPで追い抜かれているのは分かっていた」とし、「彼らは、中国の発展は日本にとっていいニュースであることを知っている」としながらも、「少なくとも前のランキングのほうが、耳にしたときに聞こえはいいだろう」と述べ、アジアのリーダーを自認してきた日本の複雑な心境を指摘しました。
15日に北京放送で日本経済について論評した劉江永清華大学国際関係研究所副所長はもっと冷静でした。劉江永副所長は、「日本経済は現在、経済的に成熟・飽和の段階にある」とするとともに、「インフラ、科学技術などではまだ日本のほうが上」と指摘し、日本が現在の経済低迷状態にある原因を、世界経済と中日経済の発展の矛盾にあると分析しました。
また同副所長は「日本の関係責任者の話が意味するもの」として、「経済発展には周期がある」とし、世界経済が回復して輸出が上向き、数十年後に日本のインフラや住宅の更新に伴って公共投資が日本で行われれば、「日本経済は永遠に衰退することはなく、景気は回復することになる」と分析しました。
中国が素直に喜べない理由
このように、GDP第2位になったことを中国が素直に喜べない理由はやはり、国内事情にあるのでしょう。15日に発表された中国の1月の消費者物価指数 (CPI)は前年同月比4.9%増となり、この発表に先立ってメディアが予測していた5%越えはかろうじて免れましたが、インフレは依然高い水準で推移しています。
その一方、温家宝国務院総理を始め、中央の各指導者はこのところ連日国務院常務会議や学習会などを開催して、物価上昇対策を必死に討議しています。さらに政府はインフレ対策として、1月20日に金融機関の預金準備率引き上げを実施し、2月9日に利上げを決定しています。しかし今回発表されたCPIのデータは、このような一連の努力の効果がさほど出ていないことが明らかになってしまったわけです。
さらに1月の住宅取り引きで、競売不成立になった土地物件は21件に達しました。土地や住宅の成約量も昨年12月比で実に50%減となっているのです。1月末に不動産税の解禁や住宅取り引きの際の営業税の税率改定など、土地取引の制限を旨とした政策が打ち出されたせいもあるのですが、「土地が高すぎて誰も買えなくなっている」というのが現状なのでしょう。
今回中国がGDP世界2位になったことで、「発展途上国」から脱却するよう先進国から圧力がかかることも予測されます。国内外のこのような圧力に中国がどう対処するか。今後見守っていくべきでしょう。
*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやき」の記事を許可を得て転載したものです。