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<中国ジャスミン革命>海外メディアにビザ発給停止の脅し=なりふり構わぬ中国政府―中国コラム

2011年03月05日

ジャスミン革命への警戒はMAXに=記者ビザ発券停止も示唆

全人代と全国政協、いわゆる両会と呼ばれる1年で最も重要な政治イベントを目前に、ジャスミン革命が予定されているとあって、当局の記者に対する締め付けは強まっています。

20110305_beijing_police
※BBC中文の報道。

・中国当局が外国人記者と面談、警告を行う(2011/3/2 BBC中文)


衝撃映像を警察の面包車(バン)に押し込まれてからも撮影し続けたBBCが、少なくとも16社が同様の目にあったと報じています。

また、今週日曜に予定されている3回目のジャスミン革命の取材に行くなら、ビザの手続きが面倒になると脅しをかけて来たことも明かしています。

*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。

見出しにある当局者というのは、公安ではなく外交部の職員とのこと。電話で「BBCは関係する報道を行うな」と忠告してきたとか。北京以外にも上海にいる他紙の記者も忠告されたそうです。

前回の映像で警官隊が口走っていた「特別許可証」ですが、集合場所のひとつである王府井は往来を確保するため事前に特別許可証を申請する必要があるそうです。王府井を撮影するのに許可証が必要なんですか。いつのまにか規制範囲が拡大されています。


・「外国人記者は当局に協力すべき」、中国報道官(2011/3/1 AFP通信)
   

北京にいる記者たちによると、当局は記者たちに27日の集会が呼び掛けられたショッピング街「王府井(Wangfujing)」などで取材を行う際には、少なくとも3日前までに当局へ出向いて取材申請を行う必要があると通告しているという。

その申請は永遠に許可されないでしょうが、ジャーナリストビザの発給をちらつかせて脅しをかけてきているので、捨て身で取材に行く大手メディアはさすがにいないと思います。最悪の場合記者は帰国命令を受け、記者が籍を置くメディアが駐在機構を置く事も認めなくなるでしょうから、相当な力技を使って圧力をかけてきたわけです。

そりゃ、人民大会堂で温家宝が活動報告を述べている横で、「ジャスミン革命」を成功させられちゃ面目丸つぶれ(実際は5日が活動報告で、ジャスミン革命は6日)。

だから全力で潰しにきてるのでしょうが、記者に露骨に圧力をかけてくるとは、「何も起きていない繁華街」に記者が大勢集まり「ニュースを作りだす」のがよっぽどお嫌と見えます。

私は質問に質問で返す女と「難道」(まさか~とでも言うのか)を使う女が嫌いなのですが、姜瑜は両方兼ね備えてて私のタイプです。

=====

以下はオマケ。外交部の記者会見は当然大荒れで、もう翻訳していて、姜瑜が何を言っているかわからなくなってきました。


・3月3日外交部定例記者会見


20110305_interview
中国外交部HPの報道。

記者 「昨日、中国警察が北京の外国人記者と会い、中国で取材する場合は被取材者とその会社の同意を得るよう忠告されたが、これは537号令の失効を意味するのか」

姜瑜 「関係機関が一部記者と接触したのは、皆さんに中国での取材に便宜を図るためだ。関係部門が皆さんを訪ねたのは、恐らく一部記者が先日無許可で北京の繁華街で取材をして混乱を引き起こしたからだろう。皆さんには正しい態度で対応して欲しい。

我々は何度も言っているが、537号令は外国人記者が中国で取材をする際の指導的法令だ。外国人記者が正当な取材を行っているなら、関係機関は法に基き貴社の合法的利益を守り、便宜と協力を図る。これまで我々はこうやって来たし、今もこうやっている。今後もこのやり方を続けていく」

記者 「私は規定を守りたいし、取材の申請もした。しかし公安の説明は理解できない。彼らは537号令に違反していないか」

姜瑜 「それほど執着するなら、状況を説明しよう。先日、一部外国人記者が無許可で北京の繁華街で集まり撮影を行った上、現場を管理する人間の忠告を聞かず長時間にわたって道路を占拠し通行に影響させ、正常な秩序を著しく乱し、周囲にある商店や通行人の強い不満を招いた。

執勤民警が法に基き通行を整理したが、民警が忠告を聞かなかった記者を、現場から離れたところに連れて行かれたという話は無い。大多数の記者は報道を争っているが、皆さんは確実に規定違反を犯し、社会秩序へも影響している。大多数の記者は公安と積極的に協力し、通行整理の後には解散した。一部記者が衝突を起こしたのだ。

もし単純にニュースを報道するためでなく、「ヒーロー」になりたいなら、身をもって法に挑戦しニュースを作ればいい。職業道徳に反するだけでなく、事態の性質も変化するだろう」

記者 「中国のどの法律第何条第何項に違反しているかはっきりと教えて欲しい」

姜瑜 「あの場所で取材するのに申請が必要であるという、関係規定に違反している。法律を口実にする必要は無い。問題の本質は、ある人間が世の中の混乱を望み、中国で騒動を起こそうとしている点だ。

こうした動機を抱く人間に対しては、私はどのような法律もその人間を守りきれないと思う。皆さんにはこの問題をはっきりと認識していただきたい。もし皆さんが本当の記者であるならば、記者の行動準則に基いて物事を進め、中国では中国の法律放棄を遵守すべきだ。

前2回を見ると、法律を遵守していた記者も、彼らの欲しがる記事は書けなかった。もしこの2日である人間が扇動し、皆さんが再びどこかで違法に集まるなら、私は皆さんがいつでも通報できるよう言っておく。北京の治安を守るため、皆さんご自身の安全と利益を守るためにだ。

また、中国の改革解放と安定した発展は、中国の選んだ発展の道が正しかった事を証明している。安定を求め、発展を望み、和諧を促すのが中国人民全員の共通の願いだ。

我々は継続して中国の国情に合った発展の道を堅持し、最も多数の人民の根本的な利益を堅持し、中国社会の安定を破壊しようとするいかなる意図も思い通りにはならない。中国が安定と発展を保つのは中国の利益にも世界の利益にも合致する」

記者 「我々は中国の規定を尊重しているが、この規定がどのように実施されるかについて困惑している。以前は許されたのが現在はダメなのだ。我々が以前理解したところだと、無意識に法律法規に違反していたのだろうか」

姜瑜 「あなたは中国で長いのだから、中国の改革解放における発展状況や外国人貴社の取材環境の改善を身をもって知っているだろう。改革解放が進むに従い、外国人記者の取材環境はずっと良くなっている。

しかし、良好な取材環境は相互の尊重と信頼、理解、協力によって守られる。私は信頼、協力こそが取材を順調に、楽にさせるのだと思う」

>>民警が忠告を聞かなかった記者を、現場から離れたところに連れて行かれたという話は無い

何これ。


・中国外務省の姜瑜副報道局長、記者拘束をめぐり外国人記者団と大激論

   
これを見ると、外交部で発表された問答も、かなり手を入れられているのが分かります。ヒーローの辺りがかなり書き換えられていますね。言い回しや文法的な間違いを整える事はあっても、自らの発言すら書き換えるとは注意不足で知りませんでした。

「ニュースを作るような記者は記者じゃない」という発言がアドリブで、怒られちゃったというのが案外真相なのかもしれません。

ただ、ビザを盾に記者を脅した件を否定するどころか、改めて脅迫してきましたから、もうなりふり構ってられないのでしょう。NHKの報道では「全く恐れていない」と強がっている姿が見られましたが、では記者を自由に行かせてもいいのではないでしょうか。

*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。


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