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<全人代閉幕>温家宝記者会見は国内問題に終始=日本への哀悼の意も―翻訳者のつぶやき

2011年03月16日

全人代閉幕と記者会見

東日本大地震の影響ですっかり消えてしまった感のある中国の全人大の話題。その全人大ですが、14日に無事閉幕しました。同日の日本時間午前11時から温家宝総理による内外記者との会見が行われ、中央テレビや北京放送など数多くのメディアがその模様を実況中継しました。

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中国新聞週査網の報道。

今年の記者会見は例年になく長い時間開催されました。午前10時(日本時間)に始まり、終わったのが午後1時40分ごろでしたから、実に2時間40分ぐらい行われたことになります。

ただ、長い会見の割に外交問題に関する質問や応答は一切なく、私たちから見ると、正直言えば「拍子抜け」の感が否めません。

*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやき」の許可を得て転載したものです。


朝鮮半島問題や中米関係、対日など懸案の外交事案が山積しているはずですが、それらに「あえて」言及せず、国内問題に対する応答に終始したことに、私は大きな印象を受けました。それほど今年は国内問題の解決に注力したいという一種のメッセージだとも取れます。

例えばいくつかあるのですが・・私が注目したのは主に以下の質問です(いずれも要約)

―――――――――――――――――――――――――

▼人民日報記者の「第12次5カ年計画の成長目標を7%に引き下げたのはどのような考えからなのか」という質問に対し、温家宝総理は「今後5年間においては(量よりも質を求めるという)経済成長方式の転換を主軸とする」と答えました。

▼香港ケーブルテレビの記者は、香港とマカオの発展戦略が第12次5カ年計画に特別に盛り込まれていることに対し、「中央が香港やマカオの政策に手出しをしようとしている」との見方を示している人がいると説明し、このことについての見解を温家宝総理に正しました。

温家宝総理は第12次5カ年計画の中に単独で香港とマカオの章が設けられていることについて、「これは香港とマカオの長期的な安定の維持に対して中央政府が断固として支持していることを示している」と強調しました。

また、「第12次5カ年計画の中で香港の発展に中央が手出ししている」とする見方については、「第12次5カ年計画はいずれも香港の発展を支持するものであり、中央の計画イコール香港の計画では絶対にない」と強調しました。

▼米ウォールストリートジャーナル記者は、中国のインフレについて講じた措置、新しく発表するインフレ対策措置について質問しました。

これに対し、温家宝総理は今の中国のインフレについて、国外の要因によるインフレと、国内の労働コストの上昇、一次製品価格の上昇など、国内の構造的なインフレという2点を挙げ、これらの問題の解決を必ず重視しなければならないと強調しました。

人民元切り上げの問題については、企業の受容力や就業の問題、社会全体の安定の維持を理由として「これまでどおり斬新的にやっていく」と述べるにとどまりました。

▼北京放送記者は先ごろ国務院から発表された住宅価格抑制措置について、「社会にはこれらの措置がしっかり履行できるか、中途半端に終わらないか心配する声もあるが、どう見るか」とか質問しました。

これに対し、温家宝総理は、「中央は地方が政策を実施しているかどうか、しっかり検査すべきであり、地方は住宅不動産の調整政策や住宅価格抑制目標をまず明示し、調整の責任を負わなければならない」と指摘しました。

またこれからは不動産市場の需給矛盾解決のために、低所得者向けの廉価住宅の建設に力を入れるとし、中央もそのために財政的支援を行うと表明しました。

―――――――――――――――――――――――――

他にも台湾問題、社会安定の問題などについて質問があったのですが、別の機会にお話したいと思います。

・・・そして最後に温家宝総理が「質問の機会を与えるわけではないが、ご在席の日本の記者にお話させてください」と切り出し、11日に発生した東日本大地震について、「わざわざ」話し出したのです。

温家宝総理は「死亡者に深い哀悼の意を表明して、全日本人に心からの見舞いの意を表明する」とし、今回の地震を「自分のことのように感じている」とまで述べました。さらに「必要に応じて引き続き支援を提供したい。どうか私にかわって日本側に伝えていただきたい」と訴えました。

中国の総理が、全人大記者会見という、世界中の人たちが注目している場でこのような発言をしたというのは極めて異例です。温家宝総理の「良心」が際立った、ともいえるかもしれませんが、私はここにまたしても政治的な意図を読み取ってしまいます。

それは国内世論の整理です。昨年発生した尖閣諸島問題で中国人の対日感情は一気に冷え込みました。ただ現在は政府レベルでは日本との関係改善に向けて動いています。その中で世論だけが、冷え込んだままとなっていたのです。今年5月には温家宝総理の訪日が控えています。国民感情の改善は急務になっていました。

その後パンダの日本への貸与のニュースやサッカーアジア杯のニュースなど、中国国内の対日感情改善の世論形成に役立ったニュースはたくさんあったのですが、余り効果的ではありませんでした。ここに来て日本地震が発生したわけで、対日感情改善の絶好のチャンスと政府が捕らえていた節があります。中国メディアの論調のほとんどが現在、日本に同情的なのもその証拠でしょう。

これをもって日中関係の真の改善となるか。そこは見守っておく必要があるでしょう。

*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやき」の許可を得て転載したものです。

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