• お問い合わせ
  • RSSを購読
  • TwitterでFollow

企業と政府の癒着と隠蔽体質=中国の公害克服への道のり―翻訳者のつぶやき

2011年04月06日

中国の公害克服への長い道のり

中国のめざましい経済発展の裏側で深刻化している問題。それは工場から排出される汚水やガスが人体に悪影響を引き起こす公害の問題なのは間違いないでしょう。これは日本が60年代~70年代の経済発展の中で経験してきた道でもあります。

中国で2000年以降クローズアップされてきているのは、子どもの鉛中毒の問題です。中国政府は1995年~2000年にかけて、国内の20近くの主要都市に住む1歳~12歳の児童1万4000人に血中の鉛濃度を検査したところ、かなり高い水準を示していたことを発見しました。

20110405_factory
※汚染があった問題の蓄電池工場

*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやき」の許可を得て転載したものです。

工業地帯の児童に蔓延する鉛中毒

特に都市の工業地帯に居住する児童の鉛中毒の割合はより高く、ほぼ全員に鉛中毒の症状が見られている都市もありました。子どもの体内に鉛蓄積されるルートは、大気中の排ガス以外に、鉛を使用する精密機器工場や化学工場から排出される排水や、子どもが遊ぶおもちゃなど、さまざまな要因が考えられています。

鉛は一定の量を守って摂取すれば体に役立つ成分です。しかし、一定の量を超過して過剰に摂取すると、人体の神経系統や血液系統に障害を及ぼすこととなり、子どもの知能の発育や体の成長、学習能力、聴力に影響が出ることとなります。このため中国政府は工場から排出される鉛の規制に大々的に取り組んできました。しかし余り成果が上がっているとはいえません。

つい最近でも鉛中毒の問題がクローズアップされました。「浙江省台州市路橋区で3月中旬、住民に対する検査を実施したところ、血中の鉛濃度が基準を超えている住民が多数いた」というニュースを3月19日付けの地元紙が伝えました。23日、24日からはこのニュースを浙江省のポータルサイトを初め、全国的なメディアが転載することとなり、このニュースが全国的に知れ渡ることとなりました。

国内メディアは「3月26日時点で、付近の3村で168人に基準を超える鉛の量が血中から検出された」と報じ、「鉛排出の治療を受ける必要のある住民が3人いた」とも伝えました。


汚染源は蓄電池工場


そして現地の台州市環境科学院ら専門家の調査により、汚染源は台州市の蓄電池工場だったことが分かったのです。この企業は設立してからの8年間、何も問題は発見されず、ずっと安定して操業をしていました。しかしある住民は「3年前に同工場付近の土壌に毒があるのを知っていながら、現地の環境保護局は住民に伝えていなかった」と明かしました。

北京放送はこの事件に対し24日の報道番組で、「元々工場の敷地と住宅地との距離は500メートル離さなければならないと規定されているにも関わらず、実際には5メートル足らずの距離だった」「汚染量はずっと基準値を超えていていたにも関わらず、関係部門はメディアの質問に答えず、結果100人余りの住民に基準を超える鉛の量が検出されてしまった。誰がデータを隠蔽したのか」と憤りを表しました。

「中国環境報」は24日、「『GDP唯一論』を克服し、科学的発展を確保しよう」と題する論文を掲載し、一部の地方がGDP至上主義を推進しすぎている故に企業への監督管理を怠った結果、鉛中毒などの重金属汚染問題、企業の農村への移転による農村の汚染の深刻化が発生していると主張し、「このような環境問題における不平等は、GDP成長を注視するだけでは解決できない」と論じました。


企業と現地政府の癒着構造が生む隠蔽体質

鳳凰網」によれば、住民に指標を越えた鉛が検出されたのは3月11日だといいます。地元紙によってこの事件が暴露されたのは19日、全国メディアで報じられたのは24日ですから、台州市路橋区政府は一週間以上もこの事実を公にしなかったことになります。しかも公になってから同区政府は汚染源の発表、担当者の更迭などの措置を打ち出しており、措置が後手後手に回っていることが分かります。これからも、現地政府がこの事件を隠蔽しようとしていた意図が見えてしまいます。

これらの一連のいきさつに業を煮やしたのか、政府の環境保護部は各省、自治区、直轄市に対し、7月30日までに、管轄区内のすべての蓄電池製造に関わっている企業のリストを一般公開し、社会からの監督を受けさせるよう要求しました。ただ、個人的にはこのことが蓄電池メーカーの環境保護の取り組みに効果をもたらすかといえば・・微妙といわざるを得ないでしょう。

公害自体は、日本に似た状況が中国国内に現在数多く存在します。しかし、日本と少々違うのは汚染の原因となっている企業と現地政府との癒着構造、そして企業や現地政府の隠蔽体質がより深刻であるということです。これらの「精神的な問題」を解決しないことには、中国の公害問題、環境保護問題の根本的な解決は不可能でしょう。

*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやき」の許可を得て転載したものです。



トップページへ




ゴジラ対ヘドラ [DVD]
ゴジラ対ヘドラ [DVD]
posted with amazlet at 11.04.05
東宝 (2008-03-28)
売り上げランキング: 16700


トラックバックURL

コメント欄を開く

ページのトップへ