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アイ・ウェイウェイ拘束について官制メディアが論説=意味不明の記事にツッコミ集まる―中国コラム

2011年04月07日

何が何だかさっぱり分からん環球時報の社説

艾未未(アイ・ウェイウェイ)が3日、北京空港で香港行き航空機への搭乗を阻まれ、そのまま連行されたとの一報が入りました。その後、北京郊外にあるスタジオが捜索を受けています。

文涛
文涛 / duyanpili

*右:艾未未。

ジャスミン革命が中国でも始まってから、関与したかどうかに関わらず弁護士や活動家が拘束され、あるいは行方不明になるケースが増えているのですが、当局艾未未拘束については報じてきませんでした。

今日になってようやく、人民日報傘下の環球時報が社説で言及しています。

社説「独立独歩の人間の為に法は曲がらない」(2011/4/6 環球時報)


「前衛的芸術家」と称される艾未未が、先日中国警察に「連行」されたとの情報で、一部の西側政府と「人権団体」は素早く干渉を初め、中国側に即刻釈放を求めてきた。この件を中国の人権悪化にエスカレートさせ、艾未未を「中国人権闘士」と呼ぼうとしている。

*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。

真相がはっきりとしない今、中国司法の事案を一つ大げさに取り上げ、激しく中国を攻撃する。これは中国の基本的な政治的枠組みへの軽率な衝突であり、司法主権を無視するものだ。

艾未未は近年十分に活躍してきた「行動芸術家」で、「前衛的芸術家」と評されてきた。中国社会の独立独歩者だ。彼は反芸術伝統で、驚くべき言動を好み、法律すれすれの場所で、「合法かどうか」一般人には分からない事をするのを好む。

4月1日の香港、台湾行きの出境手続きに不備があったと一部報道で指摘されているが、具体的な状況は不明だ。

艾未未は何が何でも自分のやりたいようにやるのを好み、よく「他人がやりたがらない事」をやっていた。彼は法律のレッドラインに近いことが多く、それを好 んでいたのかもしれない。客観的に見て、彼のような人物とどう付き合うかという問題だが、中国社会の経験は多くないし、法律の判例も多くない。しかし、艾 未未が絶え間なく「前進」すれば、いつか「ラインに触れる」だろう。

中国人13億人の中で、艾未未のような不遜な者がいくらかいるのは正常だ。芸術は数限りない例外を強調できるが、法は例外的な行為への制限と監督を強調す る。艾未未のような者がいないから、法が彼らの「突破」に境界を設けない、というのは、その中国は真実の中国ではないし、あり得ない。

西側は中国司法の複雑な環境を無視し、艾未未個人の行動の複雑な特徴をも無視し、彼が「連行」された件を、単純な政治的スローガンで中国の「人権悪化」と 言う。「人権」は西側の政治屋とメディアがぶら下げたペンキで、何を見ても塗りたくり、彼らは世界における細かな差異を塗りつぶしている。

 「人権」という基本的な概念は、西側によってまるで中国の偉大な経済と社会の進歩とは相容れないかのようにされてしまった。これは大きな笑い話である。

西側がいわゆる「人権」問題において中国に圧力を掛ける時、中国国民の反感を買う根本的な原因ともなっている。中国の民生が発展する中、公権力への監督も発展し、ネットで意見を発表するのが主流となっている。これを全て塗りつぶそうとするのか。

艾未未や彼を含む中国の独立独歩者への待遇は、中国の人権発展や進歩とは根本的に同じ俎上には並べられない。

「連行」の具体的な事情はすぐ明らかになるだろう。しかし艾未未が一般人と違う法律態度を選ぶなら、西側の批判によって「特殊な人」の前で法が曲がり、譲歩することはないだろう。

歴史は艾未未のような人間に判断を下すだろう。その前に、彼らは自身の特殊な選択に代価を支払わなければならない。これはいかなる社会においても同じだ。

中国が1つとなって前進する中、どのような人間も民族全体を彼個人の好みに適応させる権利は無く、これと少数のものを尊重するかどうかとの権利は別なのだ。

環球時報の掲示板では「何を言ってるのか分からない」、「はいはいはい」「何の法に触れたの?」などと、中国の対応や社説の意味不明さを責める書き込みが見られます。環球なら「素晴らしい」「西側に屈するな」で埋め尽くされるかと思ってました。

確かに、何を言っているか全文を読んでみてもさっぱりわからないザマス。翻訳がおかしいのかと思いましたが、おかしいのは社説執筆者の頭だと思われます。詰め込みすぎてまったく消化できなかった感満載。

一応読み解く姿勢を持って書き出しを見ると、艾未未の拘束をまだ公式には認めていないのがわかります。なにせ中国では報じられていないので、情報は全て国外のもの。認めていれば「情報」ではなく「報道」と書くはず。

在没搞
清楚真相的情況下(真相がはっきりとしない今)
被帶走的具體事情估計很快會明了(連行の具体的な事情はすぐ明らかになる)

などの表現を見ても、とりあえず拘束してはみたものの、拘束についてはどう対処するか腰が定まっていない様子。何の容疑なのかについてもわからず、北京市あたりの先走りなんでしょうか。

ただ、4月1日の香港、台湾行きの出国手続きに不備があったと一部報道で・・・とあります。

国内報道が一切許されていないのに、一部報道もへったくれもねえだろと思うのですが、これを口実に拘束を正当化していくのではないかと考えています。仮に、出国手続きに不備があったのなら、出国審査場で警官隊に連行され奥さんと連絡が取れないというのは明らかに異常事態。どう落とし前を付けるのでしょうか。

*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。

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