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地方でも加熱する権力闘争=不可思議な市長解任劇―翻訳者のつぶやき

2011年04月13日

地方にも権力闘争か

新華社から4月11日、奇妙な速報が出ました。「中央紀律検査委、中央組織部の報告に基づき、改選時の規律に違反したため、山西省太原市の前市長である『張某』は太原市党委副書記、市長の職務を解かれるとともに、党内での厳重警告処分を受けた」と報じたのです。

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*今回免職された張兵生前太原市長

しかし新華社は3月30日の記事ですでに、「29日閉幕の第12期太原市人代第6回会議の席上、廉毅敏氏が太原市長に選出された」と報じており、時系列的に「何かあったな」と思わせる記事になっています。仮にも省都である太原市の市長を務めていた人物に、犯罪者の名前を公表する際に使われる「●某(なにがし)」を当てること自体異様であることは、誰の目からも分かるのではないでしょうか。

*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやき」の許可を得て転載したものです。


異例の昇進を続けていた後任者

記事中に「張某(なにがし)」と表記されている人物は、張兵生氏です。張兵生氏は今年56歳で山西省襄汾出身。太原市市長代行に就任したのが2006年でしたからかれこれ5年近く市長を務めていたことになります。出世街道を順調に進んでいた矢先の出来事でした。

中国新聞社によると、廉毅敏氏が市長に選出される実に1カ月ほど前の2月18日に、太原市で(省共産党委員会の)改選工作会議が開催されました。同会議では、廉毅敏氏を市長に指名すること、張兵生氏の市長解任を提案することが決定されました。同日午後には第12期太原市人代常務委第29回会議が開催され、廉毅敏氏が市長代行に就任しました。それから約1カ月後に同氏が正式な市長になったわけです。

中国では普通、高官が市長になる場合、前市長が辞任してからまず新しい市長候補が指名され、そのあと指名された候補者が市長代行に就任し、半年ぐらい修行を積んでから市長に昇任するのが一般な流れになっています。今回のケースはわずか1カ月で市長候補決定→市長代行就任→市長就任となったわけですから、誰が見ても異様なほどの昇進スピードだということがわかります。


食い違うショートメールの文面

4月11日に中央紀律検査委関係者が行った報告によると、張兵生氏は1月に行われた山西省の人代会議・政協会議開催直前および開催期間中に、自分が山西省副省長の候補者リストに掲載されていないことを知って不満を持ったとのこと。そして、張兵生氏の指示を受けた市政府の崔副秘書長が、一部省人代代表に対して選挙を妨害するショートメールを匿名で発信したと説明しています。

ただ、このショートメールの内容について、張兵生氏側の主張は少々異なっているようです。紀律検査委の発表からさかのぼること約1カ月、3月初頭発表の「時代週報」は、「候補者争いは激しく、こんなに多くの書記、市長、そしてこんなに多くの優秀な庁長がいますが、(なにとぞ)私に清き一票を」との内容だったと報じています。

また、
同誌は「このショートメールの内容は太源市で広範に広まっているうわさであり、デマとの確証はとれていない」と記述、上述の文面が事実だと示唆しています。いくらか間引いて考える必要があるとはいえ、紀律検査委が言うような「張兵生氏は『候補者リストに掲載されていないことに不満をもって』『選挙妨害した』」という報告とはかなりの距離があります。

ショートメールの発信時間や手段などは調査する必要があるかもしれませんが、正常の選挙行為だったにもかかわらず免職されてしまったのであれば、張兵生氏が党内の権力闘争に負けたと考えることもできます。

どちらにせよ、4月11日に紀律検査委関係者は張兵生氏の事件、そして別の幹部の事件を引用しながら、「改選時の規律違反行為には迅速かつ厳しく取り締まらなければならない」と主張。新華社は同日、「改選時の規律違反者に代償を支払わせよう」と題する論評を配信しました。いわば張兵生氏の事件が反面教師の材料になってしまった格好です。

これら一連の流れから見て、張兵生氏の事案は来年の中央指導者の交代に伴い、地方でも権力闘争が発生していることを示した事例と考えることもできるのではないでしょうか。

*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやき」の許可を得て転載したものです。



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