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著作権侵害取り締まりに動いた中国政府=検索最大手・百度に批判集中―翻訳者のつぶやき

2011年04月29日

追い込まれる百度

このところ中国政府は、著作権対策に力を入れています。

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百度文庫

その標的になっているのが「百度(バイドゥ)」です。「百度」は中国最大の検索サイトであり、ニュースやウィキ、MP3配信サービスなど数多くのコンテンツを展開しています。昨年のグーグル中国の撤退以降、中国の検索サイト市場を独り占めしていました。

*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやき」の許可を得て転載したものです。


著名作家らによる「百度文庫」批判


その「百度」ですが、今年に入り暗雲が立ち込めています。有名な作家である韓寒氏や贾平凹氏ら50人の作家が消費者権益デーである今年3月15日、連名で「百度を糾弾する中国の作家の書」を発表し、「百度」のコンテンツの1つ「百度文庫」に著作権侵害の疑いがあると指摘したのです。

「百度文庫」とは、ネットユーザーが自分の文章や論文、学校の課題や資料などを自由にアップロードし、他のユーザーと文書を共有できるというもので、自由にアップロード・ダウンロードできるシステムになっています。2009年12月のサービス開始以来アップロードされた文書数は雪だるま式に膨れ上がり、今年3月19日の時点で実に2億件超の文書がアップロードされていました。

しかしこの「百度文庫」には、市販の書籍なども大量にアップロードされています。誰でもタダ同然でこれらを気軽にダウンロードできるわけで、著作権を侵害しているのは明らかでした。このため、中国の作家らはずっと前から、このことを苦々しく思っていました。そして今回の「消費者権益デー」を前に、作家らがこの実態を公表したわけです。

「中国の作家の書」はあくまで糾弾書であり、法的拘束力はありません。しかし、著作権侵害で国内外から強い風当たりを受けている政府は、この動きを重要視し始めます。

「毎日経済新聞」の報道によると、国家版権局の王志・版権管理司副司長は3月22日に記者の取材を受けたとき、「百度文庫」の権利侵害の件について、「百度はすでに版権管理司に改善報告を提出しており、われわれも北京版権局に委託して更なる調査を行っている。もし違法であるということが分かれば、法に基づいて処理する」と表明しました。
(過去記事「百度が謝罪、電子書籍共有サービスからの海賊版排除を約束―中国」参照)


海賊版音楽コンテンツも問題に

「百度」への風当たりは、書物による著作権侵害だけではありません。先の「百度を糾弾する中国の作家の書」は「百度」の音楽コンテンツにも著作権侵害が存在していることを指摘しています。現に3月に、中国音像協会唱片協会唱片工作委員会が2件の糾弾書を発表し、海賊版の音楽サイトやその「共犯者」である「百度」を名指し、かつ強い口調で批判しました。

関係者が批判を強めていたのは、「百度MP3」とよばれるコンテンツであったことは間違いないでしょう。これも先にご紹介した「百度文庫」と同じように、登録したユーザーがMP3の音楽ファイルを自由にアップロードしたり、ダウンロードしたりできるサービスで、普通ならお金を出してCDで買うべき芸能人の歌が取り放題になっていました。


政府が是正を要求

これらのネットでの音楽コンテンツに対しては、文化部弁公庁がすでに今年1月7日に「ネット音楽製品を整頓することに関する通達」を発表しており、著作権侵害など違法な製品について、大型ウェブサイトに対して2月28日までに是正を行うよう要求していました。しかし多くのウェブサイトはこの通達を無視していたのです。

そして、このような状況についに文化部がごうを煮やしました。北方網が新華社の報道として伝えたところによると、同部は4月に入り「違法ネット文化活動を摘発することに関する通達」を発表し、「百度MP3」を初めとした14の違法音楽サイトを摘発するよう各地の文化部門に要求したのです。

実は中国音像協会唱片協会唱片工作委員会が3月にこのような糾弾書を発表してからすぐに、文化部は期日どおりに改善を行わなかったウェブサイトに対して調査を行っていました。4月に文化部が発表した「通達」の摘発対象の中に、「百度MP3」が入っていたということは、今年阎晓宏新闻出版总署副署长1月の「通達」に対する是正が「百度」内部で全く進んでいなかったことを示しています。

さらに北京放送電子版によると、中国語版ウィキペディアの関係者も、「百度」のウィキコンテンツである「百度百科」に著作権侵害があるとして書簡で正式に伝えることになっています。人民日報によると、閻暁宏新聞出版総署副署長・国家版権局副局長は21日の記者会見で、「百度文庫」の件について言及し、「百度は法的責任・社会的責任の両面から考慮し、できるだけ早く好ましい是正計画を発表すべきである」と表明しましたが、「文庫」の著作権侵害の件については「調査中である」と述べるにとどまりました。

その一方、百度の朱光副総裁は「文庫」の件について、非公式の書籍はすべて一掃しており、著作権外のものを識別・除外するシステムを導入することにしていると回答しました。


百度はスケープゴートにされたのか?

元々百度のコンテンツには著作権侵害の疑いがたぶんにありました。それに加え、百度はグーグル撤退以降敵なしの状態になり、少々出すぎたところもあったといえます。

その一方で、閻暁宏副署長は同日の会見でロイターの記者の質問に、「一夜にして海賊版を一掃することは不可能である」と政府の限界も表明しています。「百度」をスケープゴートにした、ともいえるのではないでしょうか。今後の「百度」の動きにも注目していきたいところです。

*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやき」の許可を得て転載したものです。

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