• お問い合わせ
  • RSSを購読
  • TwitterでFollow

中国メディアは報道できない?iPad2生産工場爆発事故の不思議―中国コラム

2011年05月22日

新華社記事で足並み揃うフォックスコン爆発事件

「フォックスコン」の検索ワードでブログに来る数が増えていたので、20日に爆発事故があったのを思い出しました。KINBRICKS NOWの主筆は正面からこの事件について第一報を報じているので、ひねくれ者の私は側面から見たいと思います。
(関連記事「iPad2生産工場で爆発=アルミボディ削りクズによる粉じん爆発が原因か―中国四川省」2011年5月21日)

20110522_foxcon1

*当記事はブログ「
中国という隣人」の許可を得て転載したものです。


新華社報道のみの不思議

成都フォックスコンで爆発死者2人、重軽傷16人(新華網、2011年5月21日)

20日午後7時ごろ、成都市内にあるフォックスコンの工場で爆発が起きました。大陸メディアは第一報を新華社様の公式報道を使うという、ただの事故にしては異例の報道管制を敷いています。

報道管制といっても、新華社以外の記者が現地に入れないとか、公安や武装警察が周辺道路を封鎖しているわけではなく、新華社の記事をそのまま転載するやり方がどうも気になります。「事故原因は現在調査中だが、人為的なものではない」と、テロや内部犯の可能性だけはいきなり排除出来るというのも変です。

爆発は「研磨室で起きた」とあり、色々と妄想を書かき立ててくれます。


粉塵爆発報道への疑念

フォックスコン四川工場で爆発死者2人、負傷16人(RFI、2011年5月21日)


公式報道では現段階でそこまでしか伝えていないものの、RFIは爆発の瞬間を「周辺住民にも爆発音が聞こえ、振動があった」「爆発後に黒煙が上がり、1キロ先からも見えた」と、細かく描写しています。また、現場で取材をしていた記者は刺激臭や目の痒みなどの症状を訴えており、この辺が報道管制の理由なのかもしれません。

20110522_foxcon2

新華社の写真を見ると「化学事故救援車」の姿も確認されているので、万一のために出動しただけなのかもしれませんが、また妄想をかき立ててくれます。変な薬品でも使っていたのでしょうか。なお、21日より高雄市で開かれる四川省のイベントに参加するため台北入りしていた蒋巨峰・四川市長は、事件に関してコメントを求められたものの、無言で去ったそうです。

現在までのところ、研磨室でアルミの粉塵が通風孔のパイプ管に積もったところに、(手動の研磨機か何かの)工具を作動させたら火花が飛んで引火した、と公安は見ているようです。粉塵爆発というやつなんですが、あれは大気中に舞っていて初めて引火するのだと理解していたのですが、何となく上手く誤魔化されている感じもします。アルミを爆発させると異臭がするもんなんでしょうか。


厳しい状況に立たされたフォックスコン

昨年、フォックスコンの深セン工場で労働者の飛び降り自殺が相次いだ後、その過酷な労働条件が明るみになりました。給与を引き上げる一方で、「自殺しない」念書を労働者に書かせたと言われており、問題視されています。

粉塵爆発が起こるような管理体制なら、フォックスコンへの突き上げは更に強まるのではないかと思います。粉塵や鉄粉が火花に引火するくらい部屋に充満していた、と思われても仕方が無いですしね。

逆に言えば、これまで粉塵爆発は何故起こらなかったのか、という疑問も湧いてくるのですが、今後の報道で疑問は解決するでしょうか。

*写真は新華網の報道。他写真多数。

*当記事はブログ「
中国という隣人」の許可を得て転載したものです。


トップページへ

コメント欄を開く

ページのトップへ