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ネットショップで母乳販売?!トンデモ・ニュースに見る中国の母乳信仰

2011年05月24日

「母乳信仰」という言葉があります。

中国にはまだ広まっていない言葉なのですが、気がつくと母乳信仰そのものは相当な広がりを見せているようです。それを痛感したニュースを2点ご紹介します。


RIMG0007 / BeerBonnie


母乳信仰とは?

まずは母乳信仰について簡単にご紹介。

赤ちゃんへの授乳の際、いろんな病気を減らしたり母子の絆を深めたりと、粉ミルクよりも母乳のほうが有利なことが多いそうで。とはいえ、母乳の量も個人差 がありますし、人それぞれいろんな事情もあるので、粉ミルクを併用することは決して否定されるべきことではないそうです。

それなのに周囲の人間が過剰に「母乳じゃなきゃだめだぞ」と追い詰める、あるいは母親本人が「母乳じゃなきゃだめだ」と思い詰めてしまうことを母乳信仰と言います。


ネットショップで母乳を売る

中国でも母乳信仰が広がっていると感じさせるニュースその1。2011年5月17日付中国広播網は、通販で母乳を販売するネットショップを取り上げています。経営しているのは杭州市在住の女性。今年2月に出産後、母乳の分泌量が多いので、ネットショップを開業したのだとか。お値段は250ミリリットルで 55元(約690円)。鮮度を保つために杭州市在住者にしか販売しないとのこと。注文前に「要予約」だそうで。

驚くべきことにこの杭州市の女性以外にも、北京、上海、広州、瀋陽など各都市で同様の母乳販売ネットショップが確認されています。粉ミルクと比べてずいぶん割高ということもありほとんど売れていないそうですが、「母乳を欲しがる人は多い」と考える人が相当数いたことを示しています。


「乳母」が引っ張りだこの大人気職業に

ニュースその2。5月23日付広州日報によると、広東省東莞市では今、「乳母」が人気職業として注目されているそうです。月給は少なくとも6000元(約7万5000円)以上。健康状態が良かったり、子育て研修を受けている“エリート乳母”ともなると、月給1万元(約12万5000円)に達する人もいるのだとか。

一般人にはとても払えない高額の給料ですが、それでも雇いたい人は多いとのこと。家政婦派遣業者での斡旋だけではなく、乳母専門の仲介サイトまで登場したそうです。


免疫、メラミン、母乳信仰

「食べものや栄養が健康と病気に与える影響を過大に信じること、科学が立証した事実に関係なく何らかの食べものや栄養が与える影響を過大評価すること」をフードファディズムと言います。と説明されると、「日本人はフードファディズムのトリコとなっているっ!みのも○た的に!」と誰しも思うのではないでしょうか。

ですが、中国人のフードファディズムっぷりも負けてはいません。「医食同源」の文化というのは、「何かを食べて健康になる」という発想に直結してしまうのかもしれません。かくしてテレビや新聞には「免疫力向上」「カルシウムを補充」「栄養補充で健康に」といった宣伝があふれかえることに。

特にターゲットになっているのが老人と子ども。健康に不安がある老人は当然ですが、「DHAで賢い子どもを育てよう」的な、親バカにつけこんだ商品も多数あります。ちょっと怪しげな健康食品には抵抗力がある人でも、「母乳はいいよ」「WHOも推奨」と言われるとぐらっとくるのではないか、と。

また近年の事情としては、メラミン汚染粉ミルクに代表される「安心できる粉ミルクが手に入らない」という問題もあるのではないか、と。香港からの個人輸入が大人気になったり、日本製粉ミルクがバカ売れしたりする延長線上に母乳回帰もあるのでしょう。

まあ母乳で育てられればそれでいいのでしょうが、それができない母親が苦しんだり、あるいは怪しげな商売の温床とならなければいいと思うのですが……。


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