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チュルブル(サルマン)は強盗が奪った金をちゃっかり自分の懐に入れてしまうような警官だったが、気持ちは優しい男だった。恋仲の女性とは紆余曲折があるものの結婚に至る。一方で義父と義弟とは不仲であり、それを利用する政治家が現れる。また母親の死にも関係していた。*当記事はブログ「インド映画通信」の許可を得て転載したものです。
これがインド映画の基本形
2010年のフィルムフェア賞の最優秀作品賞受賞作。なんだかと~っても懐かしい思いがよぎる作品だった。平成の世で昭和の映画を観ているような。
(関連記事「古き良きインド映画の伝統を引き継ぐ『DABANGG』が受賞=第56回フィルムフェア賞―インド映画通信」KINBRICKS NOW、2011年2月16日)
最近のインド映画はハリウッド的、おしゃれで、インドで確実に増えつつある中流階級の身近な出来事を描いた作品が増えてきた。それはインド映画の新しい可能性を模索する一方、昔ながらのインド映画らしさを失いつつあることに寂しさも感じていた。
こ
れは久しぶりに「そうそう、インド映画ってこうだよね」とうならせてくれた作品だった。スター主演の警官もの、大げさすぎる派手なアクションシーン、笑い
あり、家族の絆あり。音楽もよかった。パブのような飲み屋で荒くれ者の男たちを前にして踊り子が踊るダンスシーンはインド映画の定番中の定番。フィルム
フェア賞でアクション賞、音楽賞を受賞しただけのことはある。全体的にダンス・アクションとも南インド映画風味が感じられ良い意味での土臭さが感じられ
る。
サルマン・カーンの実の弟アルバーズ・カーンが役柄の上でも弟役という兄弟の競演でも話題を呼んだ。兄弟で並ぶと年齢は2つしか変わ
らないが、サルマンはやっぱり若いし華がある。最優秀新人女優賞を獲得したSonakshi
Sinhaは、はっきり言って特別インパクトがあるような女優さんではなかった。
アクションシーンが多目なので、どちらかというと若いイ
ンド人男性あたりに受け入れられそうな作品だが、このジャンルでの昔の第一人者、サニー・デオルあたりが演じてしまうと男臭くなりすぎてもっさりしてしま
う。適度な軽さがあって、楽しく観ることができた。お約束のマッチョな体のご披露シーンも健在。クライマックスで筋肉がむきむきと盛り上がり、シャツが破
れてしまうシーンなどはインドの映画館で観たら拍手喝采ものだったろう。
この作品も最近ありがちな2時間程度の上映時間だったが、こんな映画こそちょっとだるいシーンも含めて2時間半程度にしてほしかった。すらすら進み過ぎて、ちょっともの足りない感じがある。冗長さも含めてインド映画の楽しみだったりするので。
インド人はこういう作品が好きなんだから、この路線は是非作り続けてほしい。
*当記事はブログ「インド映画通信」の許可を得て転載したものです。