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ダライ・ラマは「チベット国家の守護者にして象徴」=憲章改正案を決議―チベットNOW

2011年05月31日

チベット憲章改正完了/ダライ・ラマはチベット国家の守護者・象徴

2011年5月28日、亡命チベット議会は憲章改正案を正式に決議した。これにより、ダライ・ラマ法王の政治的権限を亡命政府首相らに移譲する法的枠組みが確立された。憲章第一条はダライ・ラマ法王を「チベットとチベット人の守護者にして象徴」と定義している。

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*「真理に勝利あれ」と書かれた政府の新しい印章。


*当記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の許可を得て転載したものです。


■ダライ・ラマはチベットの象徴に

以下は第一条を試訳したもの。

観音菩薩の化身であるダライ・ラマ14世はチベット国家の守護者、保護者である。彼は道を照らす案内人であり、至高なる指導者、チベットのアイデンティティーと団結の象徴にして全てのチベット人民の代弁者である。彼の権威は幾世紀にも渡る歴史と伝統、そして何よりも主権を与えられた人々の意思に基づくものである。故に以下の固有の権利と責務を有する。

1.チベット人民の物質的、精神的、道徳的及び文化的福利を守り増進するための助言と激励を与え、チベット問題の納得のゆく解決へ到達し、チベットの人々が心に抱く目標を達成するための努力に引き続き関与する。

2.法王自らの発案或は要請により、チベット人民議会、カシャ(大臣室)に対しチベット人民の重要懸案について様々な形の指導を行う。これには亡命コミュニティー及びその諸機関も含まれる。

3.世界の指導者や他の重要な個人や団体に会い、チベットの人々のために語り、彼らの懸念や利害を説明し話し合う。及び、世界中のチベット人の利害に供するためにカシャ(大臣室)が選出した代表と特使を任命する。


■ダライ・ラマ法王の意向が強く反映された憲章改正

また、政府の名称変更も決定した。従来の「亡命チベット政府」は「チベット人民機構(仮訳)」とその名を変えることになる。また、別名も従来の「チベット政府ガンデンポタン」から「真理に勝利あれ(仮訳)」へと変更される。

憲章改正は、26日から28日に行われた特別議会で最終決定が下された。これに先立ち、21日から24日まで「第二回特別全体会議」が開かれていたが、「ダライ・ラマ法王に国家元首就任を要請する」こと、「政府の名称は変更しない」ことなどが決議されている。

この決議をくつがえしたのは、ダライ・ラマ法王だった。25日、会議参加者全員が法王と謁見した際のこと。法王は即座に「国家元首要請」を辞退された。法王は「これまで何度も『私が全く居なくなったことを想定して考えよ』と言って来たはずだ」と一喝。これで第一の決定は退けられた。

また、「政府の名称は変更しない」に決議についても、法王は「(亡命政府が)インドの中にある事を考えよ。将来、問題になることも考えられる」と話され、「政府」という単語を含まない案を2つ示された。法王の示された2つの案とは

「雪城(雪山域/チベットの別名)自由民主機構」と「雪城自由民主委員会」の2つ。

別名であるガンデンポタンの変更案にいたっては、24もの候補を示された。その中には「プギェロー(チベットに勝利を)」というものまで含まれている。これで第二の決定も危うくなった。

ダライ・ラマ法王の発言を受け、特別議会が開催された。サムドゥン・リンポチェ首相は、暴騰で「全体会議と法王の意見の両方とを考慮しなければいけない」と発言されたが、法王は「法王の権限」に関する修正案を提出され、結局その意向に沿う形で決着した。


■名称変更に強い反発

元首要請については、本人の意思が第一に尊重されるべき事柄なので、拒否されればもう仕方ないと諦めるしかない。それにしても、最初から意思をはっきりさせておられたなら、ムダな期待や議論を避ける事ができただろうにと思う気持ちも湧く。

また、政府の名称については例えばTJC(Tibet Justice Center チベット法律センター)という法律専門家の団体などから、以下のような指摘があった。

「亡命チベット政府、またはチベット中央政府という名称を変更し、『政府』という肩書きを外してしまえば、国際法的にも『独立国チベット』の主張を曖昧にしてしまう。将来のチベット主権獲得を難しくするものであり、亡命政府がただのNGOになってしまう危険性がある」

自由チベット学生運動(SFT)のテンドル代表らもツイッターで、名称変更について「悲しいことだ。亡命チベット政府からチベット人民機構に変わるとは。議会は人民の議会なのだろうか?」と嘆いていた。サポーターの中には「名称変更は中道政策を体現するもの。中道政策への移行のサインを中国に送るためのものだ。今更驚くことではない」などという意見まであった。


■実質的な変化はない

チベット国家の「守護者にして象徴」という法王の位置づけは、日本の天皇と似ているように思う。憲章第一章を見るかぎり、これまで法王が果たされて来た役割となんら変わりがないようにも見える。とりわけ2001年の首相直接選挙導入以降と比べれば、大きな変化はない。

亡命チベット政府の各国代表の任命にしても、カシャ(内閣)が推薦した人物を法王が追認するという現行方式と実質的な変化はないだろう。ただ、カシャはともかく、代表事務所の名称から「ダライ・ラマ」という名前が消えないよう気にかけてはいたようだ。

政府の公式名称が変わることが決まったが、海外メディアではこれまでどおり「亡命チベット政府」という名称で表記される可能性が高いのではないか。この名称問題を気にしすぎると、支援のモチベーションが低下する要因ともなりかねない。だから、状況はこれまでと「何も変わらない」と思いたい。

参照:政府オフィシャルサイト(英語) (チベット語) Tibet Times (チベット語)

*当記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の許可を得て転載したものです。

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