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離婚数が7年連続で増加=政府主導で離婚防止制度構築へ―中国

2011年06月06日

今年第1四半期、中国では46万5000組の夫婦が離婚した。前年同期比で17.1%の増加。政府統計によると、1970年代末より離婚率は徐々に上昇しつつあり、過去7年間は連続で離婚数、離婚率が増加している。特に過去5年間の伸びが大きく、年率の伸び幅は平均7.65%に達した。2011年6月2日、財新網が伝えた


Traditional Chinese wedding ceremony / kanegen



■2010年には196万組が離婚

4月28日、中国民政部は2011年第1四半期の民政事業統計季報を発表した。結婚登記数317万6000組に対し、離婚登記数は46万5000組に達している。なお2010年度統計は結婚登記数1205万組、離婚登記数196万1000組。報道によると、離婚が多い年齢層は2つに別れているという。一つは22歳から35歳。そしてもう一つは50歳以上の熟年離婚組だ。また学歴が高くなればなるほど、離婚率が低くなる傾向があるという。

中国社会科学院研究員、中国婚姻家庭研究会専門家委員会副主任の陳一筠氏は、ここ30年間、特に近年は「結婚動揺期」だと指摘する。地域間の移動や転職などの社会流動の増加、仕事が忙しくなったこと、出張が増えたこと、夫婦が一緒にいられる時間が減ったこと、さらに社会交際の増加と娯楽の場所が開放されたことで異性と知り合う機会が増えたことを要因としてあげた。不倫こそが結婚生活破綻の最大の原因だという。


■「中国式離婚」……近代化した都市社会は生きづらい

中国では1970年代から離婚数が増加したが、それまでは離婚がなかなか認められないという制度的な問題があったとも指摘されている。一方で、「1970年代まで家庭は幸せだった、それ以後は改革開放とともに仕事が忙しくなり、生活が苦しくなり、ついでに不倫も多発するようになった……」というイメージも強い。

近年、中国、とりわけ都市部では「ストレス」が一つのキーワードとなっている。社会がぎすぎすしてきた、豊かにはなったけど生きていくのが辛くなった、人間同士の心温まる交流が減ってきたという不満があげられ、昔は良かったというノスタルジーとつながっているが、「本当に昔はそんなにいい時代でしたっけ?」と疑問に思うことも。まあ、人の思い出にけちをつけるべきではないのかもしれないが。


■離婚防止の社会制度構築へ

財新網によると、米国にならって離婚前に和解を促す制度作りが摸索されている。蘭州市、上海市では全国に先駆けて「離婚仲裁制度」がスタートした。北京では国家資格「婚姻家庭コンサルタント」が出現。社会的に結婚生活を救済する試みが始まっている。

勢いで離婚しようとする人に考え直す機会が与えられることは悪くないようにも思えるが、お上が関与しての「離婚防止制度」作りが進むことにはリスクもあろう。すでに「我が省は今年**組の夫婦の離婚を再考させた」などと成果を誇る記事も見られるようになったが、業績作りに使われるようになれば、離婚が実質的に禁止されていた時代に逆戻りということにもなりかねない


■おまけ:軍人は離婚されない?!

記事執筆にあたって、ネットを見ていると、面白い記述を見つけた。オンライン辞書サービス・百度百科の項目「離婚」によると、軍人は離婚されないらしい。

婚姻報第33条は現役軍人及び武装警官の離婚特別保護を規定している。。ドメスティックバイオレンスや薬物使用、ギャンブルにのめりこむなどの明らかな過失がない限りは、軍人側の同意がない限りは離婚が成立しないというもの。長期にわたって軍務についている間に夫婦仲が冷めて一方的に離婚されてしまう。こうした事態を防ぐためのものなのだろうが……。ここまで離婚が一般化すると、特別保護が軍人と結婚するのをためらう理由になったりはしないだろうかなどとも空想してしまう。


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