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「安全面の不安が理由じゃない」北京・上海間高速鉄道の減速理由を発表―中国

2011年06月13日

2011年6月13日、中国鉄道部は記者会見を開催、今月末の開通が予定されている北京・上海間高速鉄道の料金を発表した。最高速度は当初予定の時速350キロから300キロに引き下げられたが、移動時間は最短で5時間を切る4時間48分となった。13日付法制晩報を参照した。


China`s fastest train / sanfamedia.com



■最安値は5000円、ビジネスクラスは2万円超

全長1318キロの北京・上海間高速鉄道には、最高時速300キロの編成と250キロの編成と2種類が用意される。日本の新幹線でいう「のぞみ」と「ひかり」の関係だ。料金は以下の通り。なお繁忙期や閑散期など時期と需要によって、若干値段が変化する。

300キロ編成
ビジネス:1750元(約2万1900円)
一等席:953元(約1万1900円)
二等席:550元(約6880円)

250キロ編成
一等席:650元(約8130円)
二等席:410元(約5130円)

また、北京・上海間高速鉄道以外の高速鉄道でも300キロ、250キロの混合編成が導入される。武漢・広州間高速鉄道、鄭州・西安間高速鉄道、上海・寧波間高速鉄道では料金が約5%引き下げられることも発表された。


■時速350キロから300キロに減速した理由

時間及び価格の詳細こそ発表されていなかったものの、記者会見の内容は事前に発表されていた方針と合致したもので、特に驚きはない。注目はすでに発表されていたことではあるが、最高時速が350キロから300キロに減速された理由だろう。

記者会見に出席した中国鉄道部の胡亜東副部長は2つの理由を挙げている(13日付財経網)。第一に多様なニーズに応えるため、300キロと250キロという最高速度の異なる2種類の編成を用意したが、例えば350キロと250キロのように測度差が開きすぎると、遅い列車の追い抜き待ちが非効率なこと。第二に350キロでの走行と比べ、減速したほうが電力消費や設備の損耗を抑えることができるためだという。噂されている安全面での懸念は要因ではないと表明している。

短距離移動、途中下車の乗客にも選択肢を提供するため、設備のメンテナンスコスト(ひいては安全性)を考慮してのものと説明されているが、最大のポイントは政治的理由であろう。記事「「時速世界一やめます」スタートから4年、転機を迎えた中国高速鉄道」でも取り上げたが、今年2月、中国鉄道部部長(当時)の劉志軍部長が汚職容疑で拘束されたことが路線転換のきっかけとなった。「中国高速鉄道の父」としてイケイケドンドンの方針を堅持してきた劉が更迭されたことが見直しの要因となったわけだが、高速鉄道の収益や負債返済などに与える影響についてはまだ未知数と見られる。


■中国鉄道の未来図

胡副部長は第12期5カ年計画の投資方針についても発言している。2011年から2015年の5年間に新たに3万キロの鉄道が敷設される予定。また複線率を50%、電化率を60%に引き上げる方針も明らかにした。総投資額は2兆8000億人民元(約35兆円)を予定している。第11期5カ年計画と比べ、87.5%の増加となる。

劉の更迭に伴い、中国の鉄道建設ペースが鈍化するのではともささやかれているが、胡副部長は「現在の急成長を維持する。投資も減らさない」と表明した。


■切符のネット購入(追記)

記者会見では、年内に切符ネット販売制度を整備することも発表された。販売サイトは「中国鉄路客戸サービスセンター」。北京・上海間高速鉄道はいち早くネット販売制度を導入することになるという。


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