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宵越しの銭は持たないロシア人=将来が不安だから使っておく!―ロシア駐在日記

2011年06月23日

ロシア人は貯蓄をしない

この前、ランチのとき事務所の女の子の間でElizabeth Gilbert著「食べて、祈って、恋をして」という本&映画(ジュリア・ロバーツ主演)が話題になりました。この本(映画)は日本でどこまで知られているかわかりませんけれども、ロシア人の女性の間では人気が高いようです。

この本の内容について事務所の女の子は興味深い疑問を投げかけました。


It's all about the rubles / justin


「一つだけわからない。アメリカ人の主人公は仕事をやめてから、数ヶ月ずつ三ヶ国(イタリア、インド、インドネシア)で滞在している。当然 その間収入はない。しかし、住む場所、食事、国から国への移動はお金がかかるんでしょ?これって、要するにこの女性にそれだけの貯金があるってこと?こんなのってあり得る話?」

*当記事はブログ「ロシア駐在日記」の許可を得て転載したものです。

聞いてて、なるほどと思いました。ロシア人のほとんどは貯金がないので、この状況はカルチャーショックというか、「本の中の話」にしか見えないのです。


■所得があっても貯金はしない

ロシア人が貯金を持っていない理由の一つは、生活に余裕がなく給料のほとんどが食費に消えてしまうことです。あくまでも私の主観的な印象ですけど、ロシアではかなり多くの国民はこれに該当していると思います。

しかし、さきほどの女の子は、そういう人たちよりは余裕があり、年に1~2回10日間ぐらいトルコかエジプトのビーチに行って家族で休暇を過ごします。「そんな贅沢をやめて今まで旅行に使っていたお金を毎年貯蓄に回していけば10年後いくらいくらになる」と、日本のファイナンシャル・プランナーたちの声が聞こえてきそうですけど、このアドバイスに従うロシア人はまずいないと思います。

日本人は将来への不安から貯蓄に走る。

ロシア人は将来への不安から貯蓄をやめる。

同じ不安から正反対の行動をとるというのは、興味深いと思います。


■ロシア人のトラウマ、ハイパーインフレ

余裕があってもロシア人が貯蓄をしない理由の一つは、1990年代前半のハイパーインフレが大きなトラウマになっていることだと私は思います。当時ロシアの通貨ルーブルは日に日に価値が下がっていきました。品物の値札を毎日書き換えるのは面倒だから、家電などを売っているお店はルーブルの価格表示をやめてу.е.(要するにドル)の表示に変えました。ドルの価格をその日のレートでルーブル換算し、支払はルーブルで行う。そういうシステムでした。

お金があっという間に紙くずになってしまうという記憶がまだ新しいから、(来年の休暇のためならともかくとして)ロシア人は長期的な貯金をするのが怖いんだと思います。

それに、ロシア人の間ではまだまだ国に対しても銀行に対しても十分な信用がないと私は思います。国の方針がいつどういうふうに変わるかわからないし、銀行だっていつつぶれるかわからないから、ロシア人の皆さんは安心してお金を預けられないのです。


■宵越しの銭は持たない

明日何があるかわからないのであれば、今お金があるうちにそれを楽しみや物に変えようという発想になります。それで余裕のあるロシア人は、高い車を乗り回し立派な家を建て、5つ星のホテルで休暇を過ごし……どんどんお金を使っていきます。

おそらく、同じ年収・同じ家族構成の日本人ファミリーとロシア人ファミリーを比べることができたら、ロシア人の方がお金をどんどん使っていっていることが見えてくるのではないかと思います。

しかし、ロシアの国家は最近、老後への備えを勧めるようになりました。「20??年までにあなたが自分名義の年金基金(任意加入の方)に入金するたびに、国が同額を足す(金額は上限あり)」みたいなキャンペーンをラジオなどでよく耳にしますけど、人気のほどはわかりません。

「食べて、祈って、恋をして」に話を戻します。日本人のOLなら、さきほどのロシア人の女の子のような疑問を投げかけることはないと、私は思います(そのOL自身が貯金を持っているかどうかはまた別の話)。こうして、同じ本でも、国によって読者は意外なところに興味を持ったり、意外なことを疑問に感じたりするものだな~と女の子たちの会話を聞きながら考えるタチアナでした。

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*当記事はブログ「
ロシア駐在日記」の許可を得て転載したものです。

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