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「給料アップ?その程度じゃ意味ねーよ」加速するインフレマインドはどこに着地するのか?―中国

2011年06月23日

インフレ、労働コスト上昇、ストライキ……といったニュースが絶えない中国。物価が上昇しているのは事実なので、給料が上がらないと生活が苦しくなるのは必然です。

とはいえ、実際の物価上昇以上に、「物価が上がって大変だぜ」「今のインフレ時代ならもっとがんがん給料があがってしかるべき!」という意識の先走りみたいなものも多いんじゃないか、と。シンガポール華字紙・聯合早報の記事「給与1000元アップの限定的意義」(2011年6月13日)はそんな状況がネタを紹介しています。


Chinese currency (yen) / Wesley Fryer



■この程度の金じゃ何にもできない

北京で働く友人のN君は先日、昇進した。月給も6000元(約7万5000円)から7000元(約8万7500円)にアップしたという。シンガポールのサラリーマンを考えて見れば、月給が15%もアップすれば大変にめでたいことだ。そう思ってN君を祝福したところ、答えは意外なものだった。

「この程度の金、何回か人に飯をおごればおしまいですよ。」

なるほど、中級以上のレストランでご飯をおごれば、1回300元(約3750円)程度になる。ならば1000元あっても3回ご飯をおごればおしまいだ。

「この程度の金、飯でもおごったらすぐになくなってしまう」というフレーズは、私も直に友人から聞いたことがあります。今でこそワリカンも珍しくなくなったとはいえ、仕事の付き合いやら親戚との会合やら誕生会やらだと、誰かのおごりとなるのが当たり前。しかも人間関係が濃い中国社会では、交際費の出費って大きいのだとは思いますが……。そんなこと言ったら、いくらもらってもすぐになくなってしまうような。


■他のやつらはうまいことやっているのに……

聯合早報の記事は、N君の話を枕に「死工資」(死んだ給料)に移ります。今年初頭、全国政治協商会議の張梅穎副主席が言った言葉だそうで、まじめに働いている人の給料は死んでいて、いくら頑張っても増えない。一方で、権力を持っていたり、うまいことやっている人はやれボーナスだ、やれワイロだ、やれ福利厚生だとモリモリ儲けているのだ、と。そういううまいことをやっている人の話を知っているだけに、なおさら自分の待遇の悪さを痛感するのかもしれません。

昨年はホンダ部品工場のストライキを皮切りに、中国各地でストライキが多発。多くのケースで企業が譲歩する形で収束したようです。さらに昨秋から今春にかけては各地方で最低賃金を大幅に切り上げるなど、労働者の不満に答えました。それでも、今、ストライキが多発しています。

6月7日から10日にかけては、長春市の韓国系メーカー・クムホタイヤの工場でストライキが行われました。結果、工場側が譲歩したのですが、月給800元(約1万円)上昇という条件で妥結しています(財経網)。もともとの基本給が1000元(約1万2500円)以下だったとのことなので、他の手当を含めても給与は1.5倍以上になった計算です。


■加速するインフレマインドはどこに着地するのでしょう?

果たしてこの給与アップは物価上昇に即したものなのでしょうか?国家統計局発表の物価上昇率ですと、前年同月比5.5%増という水準。庶民に影響の大きい食料品価格でも10%ちょい程度なわけで……。

いえ、何も「ストライキしているやつら、ぼりすぎじゃね?」などと言うつもりはありません。これまでずっと給料が抑えられてきたんだよ、もともと低すぎたの、これじゃ生活できないよ、会社は儲けているんだから還元しろ云々という要求を否定するつもりもないですし。

ただ生活の不満に加えて、「他のやつらはもっとうまいことやっているんじゃね?」「隣の工場もストライキしてうまくいったからうちらもやれば上がるんじゃね?」的なマインドが今、激しく高まっているのではないかな、と。ひとたびそういうマインドが加速すれば、どんなに給料を上げても従業員の不満は解消されず、「インフレなんだから当然」「まだまだ上げるべき」という発想になりますよね。

中国で工場を経営している方、大変ですよね。さてさて、スパイラルというか、ニワトリ―卵状態で加速していくインフレマインド。収束する時はどんな感じで収束するのでしょうか。2008年は「世界金融危機だから!」の一言で経営者は逃げまくったようですが、今回はどんな形で気持ちを落ち着かせるんですかね。


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