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2011年06月26日
朔州市の朔城区府東街は1970~80年代に建設された住宅街。設備が古く下水も整備されていないため、荒れ果てていたという。2007年より再開発が進められていたが、一部住民は土地収用に反対し立ち退きを拒否していた。6月23日、市政府はついに対話による解決をあきらめ、強制土地収用を執行した。
これに立ち向かったのが住民の呉文学。家族と一緒に屋根に上って抵抗。刀を振りまわし、レンガを投げつけると大暴れだった。朔城区住宅建設局の劉志秀局長が説得のために屋根に上ったところ、呉は突然隠し持っていた刃物を取り出し、劉局長を刺したという。止めに入った建設局スタッフの鐘衛氏も刺された。鐘氏は死亡、劉局長も重傷を負った。
ここまででも十分に恐ろしい話だが、中国の強制土地収用絡みでは予想できる流れ。だが、本当に恐ろしいのはここからだった。24日午後、呉の妻である喬香蓮は警察に呼び出されたが、その途中、「突然病気を発症」し病院に運ばれ、まもなく死亡したという。
政府官僚を殺害した犯人の家族が、警察と接触した直後に謎の死亡……。となると、いろいろと想像してしまうが、警察は呼び出し時の録音とビデオが残されているとただちに発表。よからぬ想像がデマとして広がらないように先手を打った格好だ。