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台湾活動家を乗せた漁船が尖閣に接近=護衛の台湾巡視船、日本海保と対峙―翻訳者のつぶやき

2011年06月30日

「この時期に保釣」の意味

「なぜこの時期に……」と衝撃を受けた事件が発生しました。

28日、台湾・宜蘭県頭城鎮所属の漁船「大発268」号が出港しました。普通ならなんでもない話ですが、今回は違っていました。 尖閣諸島の主権を主張する中国系活動家「保釣人士」2人が乗り込んでいたことが発覚したのです。彼らは出港前、「釣魚台(尖閣諸島)」海域に行って「釣魚(釣りを)」してくると話していたことが分かっています。


senkakuwan: 尖閣湾 / panna noriko


*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやき」の許可を得て転載したものです。


■活動家の船を台湾当局が護衛した

この「釣魚」という言葉は、「釣魚台」に引っ掛けた隠語であり、「尖閣諸島に上陸する」という意味合いも含まれているものです。 事態を察知した台湾海巡署は巡視船5隻を派遣して、漁船を護衛しました。

29日早朝、漁船・大発268号は尖閣諸島西24キロ近くの海域に到着し、操業を始めましたが、突然方向を変えて尖閣諸島方面に進もうとしたため、日本の海上保安庁の巡視船5隻に進路を阻まれました。しかし、台湾海巡署護衛艇はその「妨害行為」を退け、漁船の作業を支援した。
台湾中央通信は報道しています。

日本巡視船と漁船、それに台湾海巡署護衛艇も加わってのにらみあいが20分近くも続きました。その間、護衛艇は「ここは中華民国の領海である。わが国の漁民の作業を妨害しないでいただきたい」と放送で呼びかけています。

漁船は同海域で「作業」を終えた後、帰航の途につきました。そして29日午後7時(日本時間同8時)、無事宜蘭港に帰還しています(参照:中華民国外交部)。


■中国共産党建党90周年という時期に

漁船に乗っていた「保釣人士」黃錫麟氏は帰港後に記者会見を開き、「釣魚台付近の漁獲量は最も多い。今回は元々あそこで釣りをする予定だった。魚があれば、私たちは釣りをしにいく。釣魚台は元々(私たちの)領土である。なぜ釣りにいってはならないのか」と不満を述べました。

これらのいきさつを見れば多くの人は、黃錫麟氏の行為は一種のパフォーマンスにすぎないと感じるでしょう。ご存知のように、対岸では7月1日の中国共産党創設90周年に関する行事が目白押しで、国民の中でナショナリズムが高まっています。このような時期に、「一発打ち上げ花火を上げれば大陸の世論を動かすことができる」と同氏は考えたのではないでしょうか。


■中国本土では一切報じられず、ナショナリズムの高まりを警戒か

注目すべきは、このニュースが中国本土で一切報じられていないことです。唯一、中国外交部が「釣魚島およびそれに付随する島嶼(尖閣諸島)は古くからずっと、中国固有の領土であり、中国はこれに争うことのできない主権を有している。日本側は釣魚島海域で行う措置はすべて違法であり、無効である」という従来の主張を繰り返す談話を発表したのみです。

事件について一切触れられないまま、この談話を見ても何が起きたか、さっぱり分からないのではないでしょうか。「沈黙」の理由はやはりナショナリズムが高まっている現在に、尖閣諸島問題で過剰な反応を示すと世論の暴走が起こってしまうのではと中央が判断したからでしょう。つまり、黃錫麟氏のもくろみは失敗したといえます。

今回の事件により私は、尖閣諸島問題がいつでも日中、日台関係の火種になりうることを思い知らされました。


*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやき」の許可を得て転載したものです。

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■補足(Chinanews)

明天会更美好さんのエントリーは主に中国本土の事情に焦点を当てていたので、少し台湾の事情を補足します。

・尖閣問題になると、台湾の対日世論は沸騰する。2008年6月には尖閣諸島近海で、台湾漁船と日本巡視船が衝突する事故が起きた。最終的に日本側が漁船に賠償金を支払うことで決着したが、当時、対日感情は著しく悪化。

・来年1月に控えた台湾総統選を考えると、国民党・馬英九政権は弱腰姿勢を見せられない。支持率的には劣勢ということを考えると、活動家の出港を台湾当局が黙認。強気パフォーマンスで支持を煽ったという筋書きも考えられるのでは。

・明天会更美好さんも書いているとおり、尖閣問題は日中関係のみならず、日台関係においても危険な火種。東日本大震災の義援金で日台友好が注目されたが、活動家が日本巡視船に体当たりして逮捕されるなど一つのアクシデントでのっぴきならぬ状況に追い込まれる可能性は高い。

コメント一覧

    • 1. とっくめ
    • 2011年06月30日 19:42
    • 初コメントです。宜しくお願いします。 
      さて、台湾は本物の親日感情なのではないでしょうか?  
      台湾が親日になったのは事実上アジアで中国に対抗できるのは日本しかないからだと聞きますし。しかも、李トウキ元総統が「他人の妻が美人だからと言って自分の妻にしてはいけない」と例え台湾の尖閣に対する姿勢をたしなめましたが一向に変わらないですし。 
      可能性があるものは非があろうとも権利主張しておけ、というのは中国と同じです。ブログ主さんはどう見ますか。私には偽りの親日としか見えません。
    • 2. Chinanews
    • 2011年06月30日 21:32
    • >とっくめさん

      初めまして。なかなか難しい質問なのでうまくお答えできるかわかりませんが、私なりの考えで返答させていただきます。

      地域大国・日本との付き合い方を考える……という打算は政治レベルで間違いなくあります。その意味で無邪気に「お友達」だけで片付く関係ではないでしょう。先日の東日本大震災の義援金でも、馬英九総統が旗を振って、産業界にどんとお金を出させたわけで、草の根レベルの募金だけが積み上がったわけではありませんし。

      一方で、台湾は日本のドラマ、アニメ、マンガ、小説、音楽が大量に流入してますし、日本語学習者も人間の往来も多く、日本に親近感を覚えている人も多いように思います。その意味では親日国と言ってもいいのかもしれません。

      もちろん、日本に親近感を覚えている人の多くが、「尖閣は自分たちの領土。日本には渡せない」と考えているのでしょうが、それはそれ、これはこれで向き合えばいいのかなと思っています。
    • 3.  
    • 2011年07月01日 00:39
    • 台湾の保釣活動を操っているのは台湾労働党(正式名名称は労動党)なんだよね。
    • 4. とっくめ
    • 2011年07月01日 21:06
    • 難しいですよね…お二方ありがとうございました。 

      しかし元首相に相当する李トウキの発言すら及ばないとは…複雑ですが、やるべき時はやらねばなりませんね。
    • 5. Chinanews
    • 2011年07月01日 22:21
    • >とっくめさん

      台湾政局は奇々怪々。もうすぐ総統選もあるのでいろいろあるんじゃないかなー、と。とはいえ、実際に手を出すようなことはないと思いますが……。

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