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2011年07月04日
■建党90周年式典に欠席
動画は1から7までありますが、どこを探しても江沢民の姿は発見できません。
常務委員経験者ですと李鵬、朱鎔基、宋平、李瑞環、尉健行、李嵐清、曾慶紅、呉官正、羅幹の姿が主席台で確認できました。脳梗塞で一時期危なかった李鵬は銅像みたいに動きませんが、式典に出席しても耐えうるところまでは回復したと言えます。
欠席した江沢民の状況は深刻そうです。御年94歳の宋平ですら出席しているのですから、健康面で相当不安があるのでしょう。宋平は建国60周年式典に続いて、今回も中山服であります。
中国共産党設立90周年大会、北京で開催(人民日報、2011年7月1日)
出席者名簿が載った記事にも江沢民の名前はありません。
■すでに死亡との噂も
シンガポール紙『聯合早報』、香港の『鳳凰網』『明報』、RFIは共に欠席した江沢民は重病で、『鳳凰網』『明報』などは4月に死にかけ、一命は取り留めたものの式典に出席できる状態ではないと指摘。
ツイッターでは6月22日に北京市内にある解放軍301医院で死去した、政治局会議で7月10日まで喪を伏せておくことが決定したとの怪情報も飛び交っており、少なくとも301医院に入院しているだろうとのこと。5月に北朝鮮の金正日と、故郷の江蘇省揚州市で会見したと韓国紙が報じていましたが、ガセだったのでしょうか。
そういえば、誰だか結局分からずじまいだったものの、先日大物が入院したのではないか、という情報もありました。
(関連記事:「中国という隣人: 超大物が入院?もうすぐサヨナラか」中国という隣人、2011年6月4日)
■文芸イベントにも欠席
29日に開かれた文芸晩会『我らの旗幟』も、当然欠席しています。
李鵬飛「唐英年の特首選挙に影響=デモ参加者大杉、江沢民倒れる」(明報、2011年7月2日)
元全人代代表の李鵬飛は「昨日の式典には健康問題を理由に出席していない」と明かしました。
そして、江沢民の健康問題は香港特区行政長官占拠にも影響を与えると指摘。現在政務司司長の座にある唐英年が有力候補ですが、その父親と親密な関係にある江沢民が影響力を失えば、唐の当選も危うくなるだろうと指摘しています。
また、第18回党大会における中国共産党政治局常務委員のイス取りゲームにも影響は波及しそうだと語っています。
■今、出世に必要なものは「徳」
江沢民の影響力低下を実感させられる中、胡錦濤は7月1日の演説で「徳」という単語を使いまくり。徳才兼備の優秀な党員を用いると演説の中で何度か繰り返し強調しています。「徳」は人徳や道徳の徳ではなく、共産党への忠誠心を指します。
「徳才兼備」は1992年の党大会を前に、保守派が「徳」を軽視して幹部登用を行った趙紫陽を批判した時に使われた言葉で、胡錦濤独自の発明ではありません。南巡講話でこれは引っくり返されますが、それまでは党大会における「徳が第一」が登用の基準でした。
今回も「徳を登用における第一の基準とする」としており、優秀な幹部の定義も「政治的態度、才能、実績」と政治面を一番重視。「党に忠実な党員」が次世代を担う事になるのでしょうか。
*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。