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中国ネット界のヒット曲「流川楓と蒼井そら」の歌詞が泣ける=ジャパンカルチャーどっぷりの若者たち―中国

2011年07月07日

今、中国のネットで『流川楓と蒼井そら』という曲がヒットしているそうです。「こいつは笑えるネタに違いない!」と思い込んでチェックしてみると……。

あれ、あれれ。なるほど、人気がでるのがよくわかります。卒業シーズンの今、感傷的になっている卒業生は一発でコロリといくのも納得のすばらしい歌詞でした。

20110707_Blackhead1

流川楓と蒼井そら



3年前、彼と彼女が出会ったのは師大路のキオスクだった。
1冊の『スラムダンク』に同時に手を伸ばして目があった。
それからは昼間は携帯メール、夜はパソコンのチャットで話し続けた。
半年後には八里村で彼らは一緒の生活を始めた。
彼女はタオバオで買った古本を彼に送った。作者の名前は村上春樹。
*タオバオは中国最大のB2Bネットショッピングモール。
彼は彼女に安い香水を贈った。でも彼女はこの香水には毒はないと知っていた。
*おそらく、「安物だが日本製だから毒がない」との意味。
*2011年8月7日追記:小茶さんよりコメントいただきました。「でも彼女はこの香水には毒はないと知っていた。」という歌詞が出るのは、「香水有毒」という曲が中国で一時流行ったからだと思います。
まだ卒業していない、学生の2人。生活は苦しかった。
でも青春の時期には愛情さえあれば、完璧な幸せが訪れる。
未来へのあこがれのなか、2人は勉強に励んだ。
彼が大学院に合格したその日、彼女はファーウェイの採用契約書を手にした。
*ファーウェイは中国通信機器製造最大手。
1人は深圳に、もう1人は成都に行く。
新たな世界の中、ばたばたと毎日が過ぎていく。
思いは距離に引き裂かれ、かつてのロマンは消えていく。
彼が勇気を振り絞って、別れを口にしたその日、
彼女も電話越しに、軽く「さよなら」と別れを告げた。

こんな物語は毎年起きている。この街では。
こんな物語は毎年エンディングを迎えている。そして風の中に消えていく。
まだ覚えている。あの時の2人の愛情がどれほど深かったかを。
彼は彼女の流川楓だった。彼女は彼の蒼井そらだった。

3年後、彼と彼女は再会した。同窓会でのことだった。
彼はまだ格好良かった。彼女もきれいだった。ただその目だけはどこか違っていた。
彼の脇にいるのは結婚したばかりの妻。
そしてスーツで革靴の男も彼女のそばに立っている。
握手した瞬間に感じたのはなじみ深い暖かさ。彼女は突然、泣き出しそうになった。
それでもどうにか笑顔をしぼりだした。涙は流さなかった。
すべての記憶、すべての物語が、頭のなかによみがえっていく。
人々のなか、2人はまるで子どものように無力だった。

こんな物語は毎年起きている。この街では。
こんな物語は毎年エンディングを迎えている。そして風の中に消えていく。
まだ覚えている。あの時の2人の愛情がどれほど深かったかを。

彼は彼女の流川楓だった。彼女は彼の蒼井そらだった。

彼は彼女の流川楓だった。彼女は彼の蒼井そらだった。


■中国の大学生と遠距離恋愛

野暮を承知で解説すると、学生時代に付き合い始めて同棲までしたのに、卒業後に遠距離恋愛となったため分かれてしまった男女を描くストーリー仕立て。ポイントとしては、流川楓と蒼井そら以外にも村上春樹とかファーウェイとか、あるいは地名とか具体的な名詞がずらずらっとでてきて、リアリティを生み出しているのではないか、と。

中国の大学生は卒業即遠距離恋愛となるケースが結構多いだけに、次第にすれ違いになって分かれてしまうというのはきわめてありがちなお話。歌詞のリアリティもあいまって、「あるある」「オレもこうだった」「やべ、オレも振られそう」などなど身につまされるものがあるのではないでしょうか。


■80後と日本

この曲は作詞した曹石氏の実体験をもとにしたもの。おおむね10年前に起きた物語ということで、スラムダンクとかのギミックも2011年現在ではちょっと時代遅れな感じです。2000年ぐらいに大学を卒業した80後(1980年代生まれ)前半にどストライクな内容じゃないか、と。

遠藤誉さんの本『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』に詳しいのですが、中国の若人たちはアニメなどのジャパンカルチャーにどれほどどっぷり浸かって育ってきたわけで(今はまたちょっと違っているようですが)、この「流川楓と蒼井そら」はその例証にも使える立派な資料とも言えましょう。たんにスラムダンクが好きだった、村上春樹が好きだったっていうだけじゃなくて、それがロマンチックな青春の思い出とリンクして語られるような、ある種のオシャレ感を持ったアイテムだったっていうところも面白いですね。


■陝西省方言ヒップホップ

さて、この「流川楓と蒼井そら」を歌っているのは陝西省西安市の生音ヒップホップバンド・黒撒楽隊。英語名は「Black Head」だそうで(百度百科)。陝西方言のヒップホップという大変オモシロげなコンセプトです。すでに2枚アルバムをリリース。「流川楓と蒼井そら」は3rdアルバム「西安事変」に収録されるそうです。

オフィシャルブログでは、「流川楓と蒼井そら」のMP3ダウンロードができるほか、10曲以上の楽曲を聴くことができます(ブログの右、下側にある「音乐播放器」で曲を選択。最初にCMが流れ、その後に曲となります)。これが結構いい感じの曲ばかり。歌詞はともかく、曲としてはよりヒップホップしている他の曲のほうが好みかも。

中国では共産党ご用達の映画や音楽を「主流」、それ以外を「非主流」と行ったりするのですが、「非主流」の中でも商業ベースでばりばり稼ぐぜっていうものだけではなく、そんなに稼げてないけど面白いことをしている人たちの層(サブカル、といってもいいのかも)が次第に広がっている感じ。こういう動きがもっと広がれば、中国社会ももっと楽しくなるんじゃないの、と期待しています。

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コメント一覧

    • 1. KINBRICKS NOW運営:kenya
    • 2011年07月08日 12:19

    • もったいない!さんのご指摘を受けて歌詞の日本語訳を修正いたしました。

      誤「彼は彼女の蒼井そらだった。」
      正「彼女は彼の蒼井そらだった。」

      誤「革靴の男も彼女のそばに経っている。」
      正「革靴の男も彼女のそばに立っている。」

      非常に初歩的な書き間違いと誤字でお恥ずかしい限りです……。ご指摘どうもありがとうございます!
    • 2. 小茶
    • 2011年08月06日 16:47
    • 「でも彼女はこの香水には毒はないと知っていた。」という歌詞が出るのは、「香水有毒」という曲が中国で一時流行ったからだと思います。
    • 3. Chinanews
    • 2011年08月07日 18:03
    • >小茶さん
      なるほど、コメントありがとうございました。本文に追記させていただきました。

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