中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年07月19日
■2線都市、3線都市の価格上昇が鮮明に
百度百科によると、中国では全国の都市を①政治的地位②経済的実力③都市規模④地域への影響力――に基づいて、1線都市、2線都市、3線都市と区分しています。
1線都市は当然全国でも一二を争うほどの規模の都市で、一般的に広く認識されているのは北京、上海、広州、深センです。重慶などのほかの直轄市や各省の省都を含めるときもあります。2線都市は各省の省都クラス、3線都市はそれ以下と考えるべきでしょう。
今回、1線都市における建売住宅の価格は前月比でやや上昇、または横ばいだったことが発表され、上半期にこれらの都市において実施された住宅不動産購入規制が功を奏していることが明らかになりました。
その一方で2線都市、3線都市における住宅不動産価格の上昇は深刻になっており、ウルムチの前年同月比9.3%増を筆頭に、南昌、長沙、蘭州、秦皇島、洛陽などの都市はいずれも前年同月比で8%以上の伸びを見せています。 これらの都市はいずれも内陸部にあります。このことは、沿海部の住宅不動産に投入されていた投機資金が、内陸部の中規模都市に移っていることを示しています。
■価格抑制政策、導入は地域でばらばら
しかし、2線都市、3線都市の中でも住宅購入規制の政策を打ち出している都市とそうでない都市とがあり、打ち出している都市はそれなりに住宅価格抑制の成果を収めています。つまり、政策の有無でこれらの都市の住宅価格に差ができてしまっているわけです。
今年1月末に発表された「新国八条」では住宅購入抑制政策について、「各直轄市、計画単列市(財政面で中央と直接つながりのある都市)、省都、および住宅価格が過度に高く、価格の伸びが過度に急速な都市は一定期間内に住宅購入制限措置を策定・執行しなければならない」と定められています。
この規定に基づいて、1線都市や省都など大都市は住宅購入制限を打ち出してきました。しかし、住宅価格が過度に高く、価格の伸びが過度に急速な都市の定義があいまいで、「住宅価格が過度に高く、価格の伸びが過度に急速な都市=2線都市、3線都市」にはなっていません。このことが2線都市、3線都市に住宅購入規制政策が行き渡っていない原因になってしまっているのです。
住宅購入制限政策を全国的に行き渡らせるのには時間がかかります。「中国は日本のようにバブル崩壊はない。なぜなら中国は日本と違い、土地が内陸部にたくさんあるから」と豪語した中国の専門家がいましたが、本当に崩壊はしないのでしょうか。住宅市場についてはこれからも目が話せない状況です。
*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやき」の許可を得て転載したものです。