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「宇宙の目を騙せ」違法開発を怒られた地方政府、トンデモ大作戦でのごまかしを計画―中国

2011年07月21日

「上に政策あれば、下に対策あり」とは中国でよく使われる言葉。中央政府が規制策を導入しても、地方政府や企業、人民は「なるほど、この手があったか!」とビビらされる抜け道を思いつくのです。例えば……

ゴルフ場の新規建設は禁止 → ゴルフもできる自然公園を作ってみました。

レアアースの原料輸出は禁止 → じゃ、加工したレアアース合金を輸出します。いや、海外の人はバラして原料として使ってみるみたいですけど。

住宅ローンは1世帯1軒までしか認めない → 離婚すれば2世帯になるから2件目が買えるぜ、ヒャッハー。

とまあこんな感じ。で、今回明らかになった抜け道はよりストレートな荒技。「畑を潰して作った道路、人工衛星の調査でばれるとまずいから、上に土かぶせろ!作物植えろ!」というものです。2011年7月20日、新華網が伝えました。

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*画像は新華網の報道。


■宇宙の目を騙せ

戦争時の偽装工作を思わせる作戦が展開されたのは、湖北省襄陽市襄州区双溝鎮にある工業団地・双溝工業園へと続く道路。今春完成したばかりですが、突然、現地政府の指示により「土をかぶせろ、作物植えろ」との指令が下されたそうで。

中国には食料安全保障の観点から「耕地18億ムー(1億2000万ヘクタール)絶対防衛線」の目標があり、農地を取りつぶしての開発は上級政府の認可を得る必要があります。で、この道路は2010年末に申請し、現在省政府が審議中とのこと。見切り発車で最初に作ってしまったわけです。

で、これが以前の検査でばれてしかられてしまった、と。「ちゃんと畑に戻しておけよ」と怒られたので、道路の上にうすーく土を盛って、適当にタネをまいてという偽装作戦を敢行。「言うことを聞きました!」と装ったようで。最近では人工衛星の監視によって、違法な土地利用が明らかになることが多いのですが、適当に土をかぶしておけばばれないだろうという発想だったんじゃないか、と。


■他の地域でもオモシロ大作戦をやっているのでは?

しっかし、できたてほやほやの道路の上に土を盛るという「奇行」をいぶかしく思った現地農民が通報、バレてしまいました。いや、あるいは農民の復讐だったのかもしれません。というのも、この道路の用地ですが、上級政府の認可がないまま、現地政府は昨年、土地収用を実行。作物が実っている畑にブルドーザーを突っ込ませ更地にしたということで、現地農民の恨みを相当買っていたのではないでしょうか。

まー、それにしてもよくもこんなオモシロ大作戦を考えつくものだと感心しきりなのですが、はてさてこのこそくな偽装作戦は襄陽市の独創なのでしょうか、それともバレていないだけで結構普及している手法だったりするんじゃないか、などと想像してしまいます。

記事「禁止令から7年、まだまだ増えるゴルフ場=グリーンから見えてきた中国の病」でも触れましたが、抜け道や裏技を駆使して、地方政府が開発を進めようとしているなか、本当に「18億ムー」の絶対防衛線は守られているのかな、政府統計の耕地面積ってどこまで信用できるのかな、と気になるのでありました。



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