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「中国の日本バッシング、その理由は日本人の無理解にある」って本当だろうか?―政治学で読む中国

2011年08月14日

■日本バッシングがおこる「ワケ」■

中国人が、“日本バッシング”をするにはワケがある」(『Business Media 誠』、2011年8月10日)という記事が興味深かったので、取り上げます。

中国人である筆者が主張する、その「ワケ」というのは、一言で言ってしまえば、日本が中国の事情を理解していない云々という文化的ギャップです。確かに筆者のいうことには一理あり、日本式を中国でもやり通そうとすれば問題になるのは間違いありません。

記事では2つの例が挙げられています。1つは日系ラーメンチェーン店(味千ラーメン)が、工場で製造された「濃縮加工スープ」を使っていたことが明らかになりパッシングを受けた例。もう1つは24時間働けますかを中国で実践しようとした日本人キャリアウーマンの例です。
(関連記事:「中国メディアの味千ラーメン・バッシングがひどすぎる件=朝日新聞まで加担」KINBRICKS NOW、2011年7月27日)


Ajisen Ramen Toronto / False Positives

*渦中の味千ラーメン。

*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。


日本側の無理解という面があることは否定しませんし、この記事が興味深い観点を紹介してくれたことも事実でしょう。しかし、ちょっと論理的に矛盾しているのではないでしょうか?私の意見を述べる前に、まず、中国における外国企業について見てみたいと思います。


■中国の外国企業バッシング

例えばフランス資本のカルフールでもパッシングが起こったことがあります。あくまで中国側の一方的な主張しか伝えられていないのですが、カルフールにはこれまで何度か「にせ・粗悪商品」を販売しているとされ、それが原因でかなりの販売不振に陥ったそうです。
(関連記事:「中国報道「信用の危機」…カルフールで「にせ・粗悪商品」多発」サーチナ、2011年1月7日)

同様の外資バッシングは他にもあります。中国の基準を満たさない粉ミルクを販売していたとしてネスレが叩かれた件、使用禁止の色素が使われていたとしてケンタッキーが叩かれた件などが典型と言えましょう。

ただ、こうした外資バッシングはいつも中国側の報道、中国側の主張しか伝えられません。かつて日本の化粧品ブランドSK-Ⅱから重金属のクロムとネオジムを検出されたという報道が、いつのまにか、うやむやの内に処理されていたように、中国側の主張にどれだけ真実が含まれているのか、不鮮明なのです。

上述のカルフールパッシングにしても、最も激しかったのは2008年のチベット騒動直後。フランスのサルコジ大統領が中国を批判したことに端を発するものです。かなり激しい不買運動が起こりましたし、店頭でもデモが行われました。


企業バッシングは政治的要因が強い

中国における企業パッシングはかなり政治的要因が強いのではないか、と私は見ています。の意見です。先のSK-Ⅱ問題にしても、日本の食品残留農薬規制強化に対する報復措置との見方もありました。1999年にはユーゴスラビア紛争でアメリカの空軍機が駐在中国大使館を「誤爆」したときも、マクドナルドの店舗が襲撃される騒ぎも起きています。

2005年の反日デモにおいても四川省のイトーヨーカ堂や上海において日本料理店が襲撃されたことは記憶に新しいところかと思います。『Business Media 誠』の記事は、企業の中で起きた問題だけで論理を作り、それを企業外の関係にも敷衍して考えています。

著者は記事で取り上げた以外にも、さまざまな文化ギャップを体験しているのでしょうし、実体験から得た考えを書いたのかも知れません。しかし、それはあくまで企業内の問題でしょう。

企業そのものがパッシングを受けるのは、むしろ別の要因の方が強いのではないかと考えます。


■文化的ギャップの問題だけではない

1999年の東芝ノートパソコン問題。アメリカのユーザーには保障金を支払ったのに中国のユーザーには支払わなかったとして問題になりました。2003年のトヨタ広告問題。中国を象徴している獅子像がプラドにむけ敬礼している広告が批判を浴びました。こうした事例は広い意味で文化的ギャップにあたるかもしれません。

しかし、2009年の東芝看板問題はどうでしょうか?10月1日国慶節のに建国60年記念軍事パレードの背景に、東芝の看板が映っていたことが批判され、問題の映像を放映しないよう中国共産党が指示する事態にまでいたりました。

これは明らかに日本(外国)企業に対する嫌悪感に根ざしたものではないでしょうか。日本人が無理解だからということだけで、中国でのバッシングを説明しようというのはかなり無理がある主張と言えるでしょう。

*当記事はブログ「
政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。


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