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失言連発の鉄道部報道官の「左遷」=入れ替わるように復活した張徳江副総理―翻訳者のつぶやき

2011年08月18日

■「いまさら張徳江副総理おでまし」のわけ■

「ちょっとあからさますぎ」ではないでしょうか。

新華社によると、8月15日、16日、高速鉄道既存路線および建設中路線に対する安全大検査に関する動員・任務配分会議を国務院は開催しました。席上、張徳江国務院副総理は、「高速鉄道の運営、建設、管理における手薄な部分や安全上の隠れた問題点を洗い出し、即時的にフィードバックし、改善を促さなければならない」との重要講話を発表しました。

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*現場で支持をする張徳江。東北新聞網の報道。


*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやきの許可を得て転載したものです。


■温家宝と入れ替わるように消えた張徳江


この張徳江副総理の動向については、KINBRICS NOW寄稿者・水彩画さんの記事に詳しいのですが、かいつまんで説明してみましょう。7月23日の鉄道事故発生後、中央の指導者としてその翌日に真っ先に事故現場に急行し、事故調査チームの先頭に立って救出活動を行った張徳江副総理。しかし同氏が24日に現地入りして以降、死亡者の隠蔽や事故車両の埋め立てなど「鉄道部のイメージを損ねる」悪いニュースばかりが飛び交うようになります。
(関連記事:「【鉄道追突】事故担当の副首相、まだまだ失踪中=保身なのか、まさかの超VIPの処分なのか―中国コラム」KINBRICKS NOW、2011年8月3日)

このような状況を重大視した温家宝総理が7月28日に事故現場入りします。温家宝総理の存在感が増すのと反比例するように、張徳江副総理は温家宝総理の事故現場入り以降、メディアからフェードアウトするようになり、行方不明になってしまっていたのです。香港紙を初めとした国外紙は張徳江副総理の動向について、ここ数週間にわたって注目していました。


■鉄道部報道官の職務免職

張徳江副総理の現地入りと時間を同じくして注目されていたのが、王勇平鉄道部報道官です。列車事故発生の翌日には記者会見を開催しましたが、記者の質問に真正面から答えようとせず、「それでも中国の高速鉄道は世界一だ」と述べると共に、車両を埋めたのは事故隠しだったかどうかとの問いに、(撤去作業のための足場作りをしていただけとの現場の説明を)「あなたが信じようが信じまいが、私は信じている。」と放言し、中国の一般市民の批判の的になっていました。この記者会見以降、王勇平報道官もメディアの前に姿を見せず、行方不明になっていたのです。

その王勇平鉄道部報道官について新華社の英字版が16日、「同氏の報道官の職務免職を鉄道部が16日に発表した」と報じたのです。17日午前に鉄道部はあわてて記者会見を開き、「王勇平氏は免職ではなく、正常な担当部門の変更だ」と釈明しましたが、このニュースを目にした人は皆、張徳江副総理の動向が伝えられた同じ日に報じられたことに、何らかの因果関係を見出そうとしたに違いありません。


■責任のなすりつけ?

やはり、張徳江副総理は先の鉄道事故の不手際で危うくなった立場を挽回するため、責任をすべて王勇平報道官に擦り付けたのだと考えるのが自然といえます。

その証左とも言えるのが、人民日報が今月中旬に掲載した長編記事。王勇平氏の発言は「低級な過ち」であり、「メディアと大衆との間の架け橋という報道官としての役割を体現していなかった」との専門家の発言を掲載し、強く批判しています。

報道官は上層部の考えを大衆に伝える「拡声器」としての役割を担っていただけです。その王勇平氏をスケープゴートにしてしまった張徳江副総理に、黒いものを見てしまうのは私だけではないのではないでしょうか。

*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやきの許可を得て転載したものです。


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