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商売の天才・中国人が生み出したミラクルビジネス「蟹券」が面白い―中国

2011年10月02日

おっさんになったせいか、企業家の成功譚やら商売の苦労話が好きになった。日本の話も面白いのだが、どうにかして法や慣習の裏をかこうと13億人が頭を回転させている中国の話は、より強烈なものが多い。

というわけで、2011年9月29日付南方週末が「ディス・イズ・中国人」という、素晴らしい中国ビジネス話を報じていたのでご紹介したい。タイトルは「“蟹券”疯狂:送礼经济中的商业模式」(熱狂の『蟹券』=贈答経済のビジネスモデル)だ。

「蟹券」という聞き慣れない単語は「上海ガニの引き替えクーポン」を指す。ここ数年、この「蟹券」が大流行。上海ガニは例年9月から12月がシーズンだが、今では蟹業者の多くは、シーズンに入る前のクーポン販売で売り上げを得ているという。


正宗阳澄湖大闸蟹--帮客户拍得一组照片 / kittysara



■クーポン化とグルーポン系サイト

生きた蟹を売る商売からクーポン(業界では「紙蟹」というらしい)を売る商売に変わることで何が起きたのか。蟹を贈答品として送ることができるようになったのだ。死んだ蟹を食べるとヒスタミン中毒にかかる可能性があるため、鮮度がきわめて重要、贈答品には難しい。だがクーポンだけ受け取って、もらったほうが好きなタイミングで引き替えできるとあれば問題はなくなる。上海ガニは中秋節前後に解禁となることが多く、目新しい中秋節ギフトとして一気に人気を集めることとなった。

また、蟹券普及の原動力となったのがグルーポン系サイトだ。期間限定で大幅に割引きされた商品を販売するグルーポン系サイトと蟹券の相性は抜群だった。最初から値引き前提で元の価格を思いっきり釣り上げておき、それを大幅に値引きして販売する。贈答品なので蟹券に書かれている価格は高ければ高いほど、買う側にとっても都合がいいという寸法だ。

お茶や紹興酒とセットにして、豪華な箱に詰めた貴賓蟹券、至尊蟹券などゴージャス版も次々登場。蟹券は贈答品商戦に一席を占める存在へとのしあがった。


■計画倒産と産地偽装

9月になり、上海ガニが解禁になると引き替えと発送が始まる。ここにも多くの秘密が隠されているという。問題は贈答品に使われるブランド・ガニ、陽澄湖大閘蟹の量がきわめて少ないことにある。例年2000トン前後しか捕れない(別記事では3000トンとも)ため、絶対的にモノが足りない。
(関連記事:上海ガニの旬到来!ブランドガニはほとんどがニセモノ―中国

カニ販売業者の対策は、産地偽装して別の場所のカニを売る、クーポンだけ売って出荷シーズンになると夜逃げといったものがあるという。また、蟹券には「250グラムのオスと200グラムのメス」といった具合に大きさまで指定してあるが、一回り小さいカニを送りつけるケースも少なくないという。50グラム違うだけで値段は数倍の差がある。受け取り主もどうせタダで受け取ったもらいもの。クレームが来ることはほとんどない。


■魔法のように儲かる蟹券マジック

さて、蟹券ビジネスで一番面白いポイントは、蟹券換金、売買のエコシステムが構築されている点にある。もともと中国では酒、タバコの贈答品が好まれるが、それは高額でかつ劣化しにくく売買しやすいという特長による。街中にはいたるところに「酒、タバコ回収」という看板をかけている店を見ることができる。そこに贈答品を持ち込めば換金できるという仕組みだ。

生きたカニはさすがに換金することはできないが、クーポンならば劣化せずに売買が可能だ。というわけで今や北京だけでも2000店以上の蟹券売買業者が存在するという。この時点ですでに相当面白い展開だが、さらに感心させられたのが蟹券発行業者自身が自分で発行した蟹券を買うという展開もあるのだとか。

例えば企業が1000円で蟹券を購入、社員にギフトとして配る。社員は蟹券回収業者に800円で売りつける。最後に発行企業が回収業者から900円でその券を買ったとすると、一切カニを発送することなしに100円の利益が得られるのだ。

一人の人間がこのシステムすべてを考え出したのか、それとも次第次第に形成されていった慣行なのかまではわからないが、よくできた仕組みだ。ちなみに蟹券同様のシステムを形成している月餅券もあるという。そのうちありとあらゆるものがクーポン化され、贈答経済に組み込まれていくのかもしれない。



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トラックバック一覧

  1. 1. 人権は「一人一人に備わった権利」なの? 本当に?

    • [あじもすのニュースブログ@livedoor]
    • 2011年10月03日 15:21
    • 社会的なニュースをお送りします!
  2. 2. チャイナ・クオリティ

    • [□■ 神戸三宮便り ■□]
    • 2011年10月04日 09:50
    • ●商売の天才・中国人が生み出したミラクルビジネス「蟹券」が面白い―中国 ネット上では揶揄の意味を込めて「チャイナ・クオリティ」という表現がよく使われます。 手抜き工事だったり人権軽視だったり使われるシーンは様々ですが、商売の現場でもその言葉は生きていま

コメント一覧

    • 1. sai
    • 2011年10月03日 17:22
    • 結局、1カニあたり100円の利益か
      人件費とか送料を考えたら得なのか・・・

      でも、カニを500円とかで仕入れてたら、権を900円で買い取らずに500円の利益を取る気がする、引き換えないケースもあるだろうし。
    • 2.  
    • 2011年10月03日 19:54
    • 日本で言うお米券みたいな物か
    • 3. あ
    • 2011年10月04日 02:36
    • 退蔵益ビジネス
    • 4.  
    • 2011年10月04日 13:38
    • 太字部分は主語を明確にしたほうが良いと思いますが。
    • 5. Chinanews
    • 2011年10月06日 20:09
    • >4さん
      コメントありがとうございます。
      わかりづらかったですか?ちょっと考えてみます。
    • 6. ns
    • 2011年12月16日 09:49
    • 5 これはすごいですね。カニ自体は全く動いてないのに儲けてるなんて。
    • 7. ぴぴたん
    • 2012年09月22日 00:27
    • 隣の小区に引き換え所があるわ。
    • 8. JACO
    • 2013年07月10日 00:54
    • 先物だ!
    • 9. 変だよ
    • 2013年08月23日 19:36
    • 発行業者X円

      AさんY円

      回収業者Z円

      それぞれ、初期の持ち金がX、Y、Z円とする。


      発行業者が1000円で蟹券を買う。

      発行業者X+1000円

      購入者Y-1000円


      回収業者に800円で売りつける。

      購入者Y-200円

      回収業者Z-800円


      発行業者が回収業者から900円で買い取る。

      発行業者X+100円

      購入者Y-200円

      回収業者Z+100円


      この購入者と発行業者はおなじ仲間なので、トータル100円のマイナスになっている。

      ダメじゃん。
    • 10. Chinanews
    • 2013年08月28日 23:24
    • >変だよ さん
      蟹券発行業者についてだけ注目すると、以下のようになります。
      蟹券を1000円で売る +1000円
      蟹券を900円で買い戻す -900円
      差し引き+100円

      クーポンを発行して買い戻すだけで100円の利益が出ているというわけです。
    • 11. 中火病
    • 2013年10月19日 09:23
    • 蟹券を偽造する人いそう
    • 12. やきさばねこ
    • 2016年06月02日 19:23
    • 日本の商品券商法と大差ないような気もする
      だから税金を掛けて防いでるんだけど
    • 13. bww
    • 2016年10月30日 18:54
    • ウナギの輸入を妨害し
      品薄にさせ
      ウナギ券をやろうかな

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