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温家宝首相が視察、国家の一大プロジェクト「週末野菜直売所」―中国

2011年10月03日

温家宝首相がやたらと元気に動き回っている。

2011年9月30日、国慶節全日のパーティーでは、「政治体制など各方面の改革を継続する」と発言。14日の大連ダボス会議に続いて、政治改革への意欲を示した(RFIBBC)。「民に優しく、かつ民主改革に意欲」というイメージ作りを頑張る温首相。本気で期待している人から覚めた目で見ている人まで態度は分かれる。ただし、来年の第18回党大会をひかえた時期だけに、「政治改革」発言を連発されれば、たとえ釣り発言だとしても注目しないわけにはいかない。

さて、具体的な中身ゼロの「政治改革」打ち上げ発言よりも面白いのは、「物価配慮」パフォーマンスだ。

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*画像は京華時報の報道。白菜の価格を尋ねる温首相。


■野菜直売所が国家プロジェクトに

10月1日、国慶節初日の早朝から温首相は北京市海淀区北航社区の週末野菜直売所に出没した(京華時報)。北京近郊の農民専業合作社からトラックで直送し売りさばくというスタイル。日本では結構いろんなところでやっているが、実はこれ、中国政府肝いりの物価対策なのだ。

食料品価格と不動産価格が牽引してのインフレが昨年来、政府にとって最大の関心事となっている。食料品価格についてはさまざまな構造的問題が指摘されているが、その一つが複雑な流通形態だ。食料品価格高騰で農民が大もうけしているかというと、そうでもなくあまり儲けは増えていない。消費者にたどりつくまでの中間業者がぼろ儲けしているだけだとの批判が根強い。

というわけで、北京市では8月初頭から週末野菜直売所を開設した。なんと中国商務部、北京市政府が担当するという一大プロジェクトである。1日朝、温首相はその直売所に出没。買い物客と農民の双方から話を聞いている。「スーパーより2~3割安くて嬉しい」「もっと回数増やして」という買い物客の声、「直売で収入増えて嬉しいっす」という農民の声が紹介されている。

なお1日の価格はジャガイモ500グラム0.8元(約9.6円)、白菜500グラム0.6元(約7.2円)などと紹介されていたが、口さがない中国ツイ民に「温爺さんがいなくなった瞬間に値上がりするんじゃね?」と突っ込まれていた。


■大学食堂を視察、若き学生をさらしものに

さて、早朝の野菜直売所見学を終えた温首相は続いて北京航空宇宙大学の学生食堂を視察した(北京晩報)。メシを食っている範祺鋒くんの隣に座り、おしゃべり。範くんは朝飯から茶鶏蛋(お茶で煮たゆで卵)1つ、鶏蛋餅(小麦粉の主食)、肉まん5個、中華がゆ1碗という食欲を見せていたが、全国の新聞で報じられてしまった。ちなみにこれだけ食べて4元(約48円)とのこと。

さらに温首相は範くんに「今の食料品価格を知っているかい?」とのご質問。キャンパスに閉じこもっている学生が知るはずもなく、うなだれる範くん。そこに温首相は得意げに「卵は全国平均500グラム5.3元(約63.6円)でね、豚肉は……」とたたみかける。

ちなみに暗記している数字を並べ立てて、自分の「出来る男」っぷりをアピールするというのは温首相お得意の技。御年69歳ではさすがだとは思うが、航空宇宙大学視察は若い学生をさらしものにするという結果だけで終わったようだ。


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