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銀行が絶対に「貸し渋り」できない中国政府の智慧=温州経済対策を読む―浙江省

2011年10月03日

温州商人の集団夜逃げ、中国の「闇金」、すなわち違法民間金融についての記事「闇金スポンサーは一般市民=銀行預金5兆円が地下経済に流入か」を本日アップしたのだが、温州市政府の対策について書き忘れたので補足したい。

温州市トップの陳徳栄・市委書記は2011年9月25日、「政府が手を出すべき時は手を出す」と発言、ハッパをかけたが、その言葉通り次々と対策を打ち出している。

■中小企業向け融資の利率規制

福島香織さんの記事によると、中国の金融機関は基準金利の4倍まで利息をとっていいことになっているそうだが、29日、温州市政府は基準金利の1.3倍までしか許さないとの通達を下した(財経網)。「わーい、こんな低い金利で借りれるなら、工場も潰さないで済むぞー」とならないのが世の常で、「いつ潰れるかわからない中小企業にこんな低い金利で貸せるかよ」と貸し渋りが起きるのは間違いない。

だが、さすが中国、ちゃんと対策を打ち出していた。


中华人民共和国 人民币元 / ComerZhao



■市政府職員が銀行に「駐留」

通達を下したのと同じ29日、温州市政府は記者会見を開き、経済金融安定と民間金融の「規範対策」(法律通りに運用させること)を導入すると発表した(財経網)。で、その経済金融安定策が凄まじい。県級支店以上の銀行に市政府職員を駐留させ、貸しはがし、融資縮小を監視させるというもの。

低い金利なら割に合わないけど貸したくないと銀行が考えても、居座っている市政府のおっさんが「貸せ、貸せ、がんがん貸せ」と怒鳴りつけてくるというすば らしいシステムだ。経済危機になると、すべての面倒は銀行におっかぶらされるような気がするのだが、うーむいかがなものなのか。


■デマの流布、暴力や軟禁による取り立ては厳禁=警察、裁判所が通達

ちょっと時間をさかのぼるが、26日には温州市警察、裁判所が合同で「デマの企業倒産情報の流布、暴力や軟禁による取り立ては厳しく処罰する」と通達して いる。デマだけじゃくて実際にあった倒産情報、夜逃げ情報をネットに書き込んでも逮捕される予感がする。またわざわざこうした通達を出すあたり、暴力的取 り立てが相当横行しているのだろう。

9月だけで経営者3人が自殺(うち2人が死亡)、29人が夜逃げしたとあるが、暴力的取り立ての影響も大きいのかもしれない。一方で、給与未払いに怒って 経営者をとっちめる従業員というのもよくある話。これも「暴力的取り立て」認定をされると、怒った出稼ぎ農民と警官隊の衝突という騒ぎに発展する可能性もありそうだ。


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