中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年10月08日
■あてつけから始まった「孔子平和賞」
中国様の意にそぐわない受賞者が選ばれたあてつけから、中国が創設したのが「孔子平和賞」。
(関連記事:「世界的ニュースになった学芸会?!孔子平和賞ってなんだったの?」2010年12月9日、「ドタバタ騒ぎの「孔子平和賞」=代理受賞者はそこらを歩いていた女の子だった?! 」2010年12月11日)
第1回の昨年は何故か国民党の名誉主席である連戦が受賞。中国に相当近い連戦も流石にアホらしいと思ったのか、授賞式には当然出席せず、どこからか連れて来た少女に代理でトロフィーを渡すといったドタバタも失笑を誘いました。
■発表された第2回目の候補者
「第1回」と銘打ったわけですから、当然第2回もあって不思議ではありません。とはいえ、あてつけで急造した賞なので今年は何事もなかったかのようにないことにされているんじゃないかと思っていたのですが、ノーベル賞受賞式が近づいた9月にまさかまさかの第2回開催が発表されました。
候補者は、プーチン・ロシア総理、袁隆平、パンチェン・ラマ11世(中国共産党が認定した方)、ビル・ゲイツ、宋楚瑜・台湾親民党主席、メルケル・ドイツ首相、コフィー・アナン前国連事務総長の6人。
第1回の候補者はアッバス・パレスチナ議長、マンデラ・元南アフリカ大統領、ビル・ゲイツ、パンチェン・ラマ11世(中共製)、連戦でした。選考委員会は相当ビル・ゲイツが好きなようです。
■ドタバタの末、あえなく1回で廃止に
既報なのでご存知の方も多いでしょうが、この孔子平和賞は法律違反の名目で第2回以降の開催は廃止となってしまいました。また、6日に文化部の外郭団体から孔子世界平和賞の創設も発表されたものの、同日の午後にはまたも規約違反で活動停止が、文化部サイトで報告されています。
(関連記事:「ニセ・ノーベル平和賞は2つあった=「孔子平和賞」と「孔子世界平和賞」」2011年10月7日)
大人しくフェードアウトさせりゃいいものを、ちゃんと理由を付けていくのは中国らしいかなとも感心しつつも、内部の路線対立もうかがわせる、一連のドタバタでした。
■よっぽど中国らしい「友誼賞」
・温家宝、2011年度中国政府「友誼賞」受賞者の海外専門家と会見(新華社、2011年9月30日)
中国から賞をもらうなんて、迷惑だろうというのが一般人の感覚なのですが、世の中には出席してしまう人もいるのです。中国政府「友誼」賞というこの賞は、工業、農業、エネルギー、教育、科学技術、医療、文化、スポーツなどの分野で、「中国の改革開放と近代化建設に突出した貢献をした」外国人に与えられます。
1991年に創設された同賞はこれまで62ヶ国、1199名の受賞者を生み出しているものの、「友誼賞」というまともな感覚の人なら敬遠してしまう名前と、選考基準から一般には知られてきませんでした。もちろん私は初めて知りました。
今回の受賞者には、マーク・バートラム(南海大学ウェブサイト)という、南開大学でエイズ研究などを続ける大学教授も含まれており、「天津は第2の故郷」と公言し、2008年の四川大地震で積極的に募金を行ったという経歴から、「友誼賞」の名に相応しい人が選ばれているのだなとわかります。
中国は対抗心丸出しで創設した孔子平和賞なんかより、中国らしさが前面ににじみ出た友誼賞を大々的に宣伝していくべきです。日本人では、中国政府高官との深いパイプがあるという加藤嘉一さんもそのうちに受賞できるんじゃないかと。
*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。