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「80後」「90後」でも変わらない中国のアニメビジネス=百元籠羊・安田峰俊のシンポを聞いてきた

2011年10月28日

シンポジウム「「80后」「90后」が変える中国のアニメビジネス」を聞いてきました!百元籠羊さん、安田峰俊さんと「KINBRICKS NOW」寄稿者のお二人が登壇するとあっては見逃すわけにはいきません!

ただちょっと気になったのは、「東京国際アニメ祭2011秋 アニメ・ビジネスマッチング&カンファレンス」という企画の中でのシンポジウムということ。

概要も「アニメビジネス不毛の地中国。それを変える可能性があるのが、「80后」「90后」。 驚くべき中国新世代の実態を熱く語る」という触れ込みで、ビジネスマンを煽って「中国ではこうやって儲けろ!」的な予定調和に持っていきたいにおいがぷんぷんするイベントですが、予想どおり百元さんと安田さんのお二人で、甘い期待をばきばきとへし折っていくという壮絶な展開となりました。

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*安田峰俊著『独裁者の教養』。百元籠羊著『オタ中国人の憂鬱』。書影クリックでamazonページへ。


司会者を務めた(株)ビデオマーケット取締役、映画専門大学院大学専任教授の増田弘道氏が中国アニメの現状を説明。それに百元さん、安田さん、そして映画専門大学院大学の院生・郭文放氏の3人がツッコミを入れていくという構成でした。

では、シンポの内容を簡単にご紹介します。


■中国におけるアニメ
・文化大革命の終了と市場開放。海外コンテンツが流入し、大人気に。
→1979年、高倉健主演映画「君よ憤怒の河を渉れ」(中国語タイトルは「追捕」)が大ヒット。鉄腕アトムも同年公開。その後、一休さんも放送される。
・1990年代前半、「北斗の拳」「聖闘士星矢」がテレビ放映され大ヒット。「80後」(1980年代生まれ)の心に日本アニメが刻まれる。その中から中国人オタクが誕生。(百元)
・2000年代、中国国産アニメの大量生産開始。
・2006年、外国産アニメのテレビ放映規制。


■中国アニメの現状
・粗製濫造
→制作会社の認可を取るためには制作実績が必要。最低でも年間3000分を制作する必要性(郭)
→制作分数に応じて補助金。ヒットを狙うのではなく補助金確保を目指すアニメビジネス(百元)
(関連記事:世界一のアニメ大国・中国が抱える「国策振興」という病
・人材難
→アニメの作り方を分かる人材がいない。例えばタイミングの取り方がわからない。なのでセルアニメは無理。3Dアニメならば調整が利くので中国では流行(百元)。


■中国アニメにはビジネスモデルがない
・海外に輸出できない、海賊版でDVDが売れない
→テレビアニメは無理。映画が唯一の道。大ヒットアニメ映画『喜羊羊与灰太狼』が成功例だが後に続かない。今夏はアニメ映画5作品が公開されたが3作品は惨敗。成功した2作品はネットゲーム原作というバックボーンがあった。(百元)
・『喜羊羊与灰太狼』のヒット、その理由は?
→アニメを見ない層を引きつけた。(郭)
→ドラマを見るような層をファンにした。(安田)


■「80後」「90後」という世代
・一人っ子政策の最初の世代。わがまま。(郭)
・天安門事件後の政治意識が薄くなった時代に育った。資本主義どっぷりの最初の世代。(安田)
・個人志向で娯楽を肯定的にとらえる傾向。娯楽にどっぷりはまってもOKという感覚がある。(百元)。

・「80後世代論」にとらわれすぎるのは危険。いわゆる「80後文化」とは、大学に入れたりパソコンを持っているような裕福な階層に限定される。中国の大学進学率は25%。ごく一部の文化だということを認識するべき。(安田)
→異議あり!日本アニメ好きの「80後」はごく一部というのはいかがなものか。ナルトやワンピースなど民工漫画は一般の人にも人気。(郭)
(民工漫画とは、民工=出稼ぎ農民のような学歴が低い人が読むマンガという意味の別称。高学歴の都市民は萌えアニメなど高尚な日本文化(?)をたしなむという……。)


■中国にオタク蔑視はない
・中国ではオタクは差別されない。(安田)
→むしろ誇りにしている。アニメTシャツで堂々と街を歩いているのは間違いなく中国人!(郭)
→オタクは海外文化、洋物としてのかっこよさ。(安田)
→洋楽みたいなものと言えるかも。(百元)


■中国でアニメビジネスを成功させる道は?
・なかなか儲からないのでは。もともと安い娯楽だから日本アニメは広がった。ネットが普及した今、アニメを流して金を取るビジネスは難しい。(百元)
・日本式ビジネスは無理。しかし、アニメ展覧会などイベントビジネスとしてなら可能性がある。(郭)
・同人イベントや日本の声優を呼ぶイベントはそこそこ人気がある。ある声優イベントでは500人のチケットが即日完売。でも小さな儲けでしかない。(百元)
→体験に金を払うのは女性。だから男性声優のイベントが人気です。(百元)
・体験を売るという可能性はありうる。音楽と同じ、ライブには行く、B'zは世界に2人しかいなくてコピーきかない。(安田)


■「80後」「90後」は中国を変えられるか?
・留学帰りとか、海外で暮らした人の著作権意識は変わるかも……。(郭)
・変化することは間違いない。ただその方向性を楽観視はできない。期待はしているが。昔と比べて状況はよくなっている。90年代末の猛烈な反日感情は日本のオタクコンテンツで緩和した。ただしビジネスの可能性は謎。お金を出して楽しい体験を買う人は増える。(百元)
・中国は変わらない。対日感情の変化とかも政治指導者が変わって方針が変わっただけ。期待せずに、たんたんと商売する付き合い方にするべき。(安田)


私のメモではこんな感じ。間違いもあるかもしれませんが、ご容赦を。「欲望に忠実で、消費大好きの「80後」「90後」世代にアニメを売りまくろうぜ!」という予定調和のストーリーを断固拒否する百元さん、安田さんのかっこうよさが光るシンポジウムでした。


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