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中国政府にゆすられた人権活動家・艾未未=ネット民の悪ふざけ的支援活動がすごい!(水彩画)

2011年11月06日

■アイ・ウェイウェイに無理やりカネを貸す会■

*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。


日本の新聞の「がい・びび」とルビを振って日本ツイッター界(のごく一部)に衝撃を与えた艾未未。アート系の人ならばともかく、一般的な知名度はまだまだ。かくいう私もアイドルだと思っていた時期がありました。だって中国語だと「アイ・ウェイウェイ」とやたらとかわいい響きなんですもん。

で、実際はというと、「北京五輪メインスタジアムのデザインチームに加わったことでも知られる現代芸術家」という顔と、「政府の横暴に傷ついた人々を取材し世に伝える人権活動家」という顔、そして「一日中、Twitterで人権問題をつぶやきまくるネット中毒患者」という3つの顔を持っているおっさんです。

20110106_aiweiwei1
*艾未未氏製作の警察避け門神。記事「芸術家・艾未未デザインの警察避け門神がかっこいい!」参照。


■拘束された艾未未

さて、どうみてもアイドルには見えない艾未未ですが、2011年4月3日に台北に向かうため北京国際空港に到着したところを拘束されました。罪状もよくわからないままでの取り調べは81日間に達し、6月22日になってようやく「罪状を認めた態度がよかったこと、慢性的な持病があることを考慮」との理由で釈放されました。
(関連記事:「アイ・ウェイウェイ拘束について官制メディアが論説=意味不明の記事にツッコミ集まる―中国コラム」2011年4月7日)

温家宝訪欧を直前にひかえての釈放は、人権侵害批判をかわすためという思惑が見え見え。さらに取材を受けてはならない、北京を離れてはならない、ネットをしてはならないなどの制限が言い渡されています。しかし7月には禁を破って海外メディアの取材に応じており、拘束理由が脱税だったが明らかになりました。脱税といっても法人代表は妻の路青なので、なぜオレが(笑)という思いもあったでしょう。

アイ・ウェイウェイは語る
*今月発売されたばかりの艾未未インタビュー本。「もし芸術家たちが社会の良心を裏切ったら、人間であることの根本原則を裏切ったら、いったい芸術はどこに立っていられるんだい?」。書影クリックでamazonページへ。


■恐怖の追徴課税、1億8000万円ナリ

しばらくは保釈されたけど、あまり活動せず……という煮え切らない状態が続いていたのですが、11月1日に事態は急変します。中国当局は1500万元(約1億8000万円)の追徴課税支払いを命じたのです。15日以内に支払えなければ投獄の可能性もあるという恐ろしいお達しです。

課税額算出の根拠はあやふやだそうで、「支払えない金額」を狙ってきた可能性もあります。制度としては追徴課税額を不服として異議申し立てできるそうですが、そのためにはまずいったん金を納めないといけないそうで。ともかく15日以内に1億8000万円を集めなければならないのです。

参照リンク:保釈中の艾未未氏に追徴課税、約1.8億円 中国(AFP通信、2011年11月2日)

追徴課税の支払い命令について、艾氏はAFPの取材に対し「今日になって通告文書を渡された・・・そこには、説明のようなものは一切なかった。この金額がどこから来たのか我々は尋ねたが、彼らは明確に答えられなかった」と語った。また「15日以内に支払わなければいけないと言われた。1日100万元(約1200万円)の計算だ。払わなければ投獄もあり得る。最高7年の禁錮刑だろう。どうしたらよいか、まったく分からない」と述べた。

また艾氏は、徴税令状に対して異議申し立ても可能かもしれないが、支払ってからでないとそれもできないだろうと述べ、弁護士や税理士に相談するつもりだという。艾氏の母親は、艾氏の父親である故・艾青(Ai Qing)氏が残した家を売却すると申し出ている。艾青氏は中国共産党に称賛された詩人だったが、息子と同様に政治的迫害を受けた。


■「艾未未の債権主になろうぜ」運動広がる

艾未未にカネがないことが分かると、彼の友人でロック歌手の左小祖咒がマイクロブログで募金を呼びかけました。米国亡命中の人権活動家・胡佳が1000元(約1万2000円)を振り込んだのを皮切りに、6日午前11時半(日本時間)の時点で290万元あまり(約3480万円)が集まる大盛況ぶりです。

募金は銀行振込、郵便振込、PAYPAL、中国版PAYPAL「支付宝」などで受け付けられています。
(参照リンク:艾未未Google+

RFIやVOAなどでは「寄付」と表現されていますが、艾未未は「いらない」「金額の問題ではない」と受け取りに消極的な態度だったので、「艾未未に無理やり金を貸し付けて債権者になろうぜ」という建前で寄付活動は加速しています。ペイパルでも支払えることを知って、私も日本から債権者になってみました。「乗るしかない、このビッグウェーブに」ってやつです。


■母「艾未未は孤立していません」


艾未未の母・高瑛は、亡くなった夫・艾青の終の棲家だった四合院を売り払って、追徴金の足しにしようとしていました。その高瑛も運動の広がりに「母として、謹んで皆様に感謝いたします。艾未未は孤立していません。こんなにも多くの方が人間性を守ろうとしている」とツイッターで謝意を表明しています。

「家は競売にかけて、後はホームレスになって天安門広場で寝ればいいんだ」とおっしゃっていましたけど、流石です。ちなみに高瑛の家は東城区東四十三条97号にありますので、どなたか様子の確認をお願いします。まあ、私服警官でいっぱいで、かつ50メートル以内は立ち入りできないみたいですけどね。


■殺到する債権者希望者

本人からは「最後の1元(約12円)まで返す」とありがたいお言葉が。20ドル(約1560円)で一生恩を着せておこうと思っているのですが、同じことを考えている人たちが多すぎるのが困り者です。4万人以上もライバルがいるのか。いや、サイン貰おうとかなんか作品作ってもらおうとか考えてませんよ、ええ。

昨日11月5日も、債権者になりたい人が北京市内にあるアトリエまで来て、無理やりカネを貸して借用書を作らせたとかで、もし金が返らなければこういうオフとかもありかもしれません。

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「出て来い!」「返すまで帰らないぞ」「債権者団体」「艾未未、金返せ!」となどのスローガンを掲げた債権者達が集まる艾未未宅前を警備する警官が「毎日こんなに多くの人間が集会開いたら危ないっすよ」と漏らす。

党中央は新浪微博を閉鎖したり、「寄付金を受け取らぬよう」艾未未に申し渡していますし、さきほどペイパルで再度送金しようとしたところ「受け取れない」ようになっておりました。党中央が「勝手に金を貸す会」の動きに対して、対抗措置を取っているのは間違いありません。

締め切りまであと12日。殺伐とした状況ながら、なぜかほのぼの感もある今回の騒動。引き続き追っていきたいと思います。

続報:
【続報】政府から強請られた艾未未と広がる支援の輪=環球時報がダメ記事でバッシング(水彩画)(2011年11月8日)

*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。


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