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経済制裁のおかげ!?急拡大をみせるミャンマー闇宝石輸出(ucci-h)

2011年11月07日

■経済制裁が逆にビルマ産のヒスイの輸出を拡大させた!?■

*当記事はブログ「チェンマイUpdate」の許可を得て転載したものです。



Gems & Jewels / ~suchitra~



■ミャンマーの全輸出金額はタイの4%たらず

開放経済体制に入っていこうとしているビルマ(ミャンマー)。ビルマの全輸出金額は、昨年で88億ドル(約6880億円)と、タイの2060億ドル(約16兆1000億円)の4%に過ぎない。最大の輸出品は、タイなどに向けられる天然ガスで、全体の28%ほどを占める。

ビルマはこの天然ガスなどのエネルギー資源や鉱物資源、なかでも本ヒスイなどの宝石の世界的産地として知られるが、JETOROの通関ベースの貿易統計には、主要輸出品としての宝石は出てこない。チーク材やコメ、エビなどは顔を出すが……。


■相反して活況化した闇取引


ここに、ビルマに対する西欧の経済制裁がうまく働かないメカニズムが隠れている。香港大学の研究者ルノー・エグルトー氏が、ビルマの宝石取引の実態を見せてくれている。

そう、ヒスイやルビーといった宝石類の輸出額は昨年で17.5億ドル(約1368億円)と言われるが、宝石類はアンダーグラウンドで取引されることが多いからだ。

実際の取引量は、この数字を上回ることだろう。しかも、皮肉なことに2007年の「サフラン革命」(僧衣の黄色い色)騒ぎで、西欧の禁輸が強められた頃から、ビルマの宝石、なかでもヒスイの輸出は急拡大しているのだ。

2007年以降、毎年ビルマにおけるヒスイの生産と販売は急拡大している。今や、ビルマで宝石生産に関わる労働者は50万人と言われる。毎年3回、首都ネピドーで、ミャンマー宝石エンポリウムが開かれるが、2000年代に入っても、成約額は1.5~3億ドル(約117~234億円)だったのが、2011年の3月、7月のエンポリウムでは、それぞれ28億ドル(約2190億円)、15億ドル(約1170億円)の成約と拡大している。


■ヒスイ需要の中心は中国

需要の中心は、翡翠好きの中国である。西欧の経済制裁は、アフリカの血のダイアモンド’を模して、ビルマ産の宝石の流通ルートを捉えることを試みたが、ユダヤ資本デビアス社のコントロールするアフリカのダイアモンドと違い、ビルマ産の宝石流通ルートは多岐に渡り、大きな一元的な販売組織があるわけではない。

アメリカは、2008年7月に、「ビルマJADEブロック法」を制定して、ビルマからの宝石輸入を禁止する措置を講じたが見込み違いとなった。ちなみに、このJADE(ヒスイ)は、軍事政権(Junta)による反民主(Anti-Democratic)志向(Effort)の略となっている。


Jade 2 / Rubyran



■ルビーの90%、ヒスイの70%はミャンマー産


世界のルビーの90%、本ひすいの70%は、ビルマで取れると言われるが、生産主体、流通ルート、販売組織もさまざまだ。生産は、内紛の多いカチン州やシャン州で多いが、これらの部族軍が生産を担っている。また、ヒスイはほぼすべて中国経由、ルビーはタイ経由が多いと出荷先も分かれている。


Carmen Lucia Ruby / cliff1066™


今や、国境の街、雲南省のルイリー(瑞麗)市は、ヒスイの取引センターになっているという。香港、台北、バンコクの業者と繋がっている。ヒスイ目当ての観光客もやってくる。ビルマ産の原石を磨く研磨工場も整っているのだ。

西欧は経済制裁により、地方労働者の職は損なわず、軍権力者のポケットに入る金を防ごうと試みたが、難しかった。今後、経済制裁が取り払われれば、この制裁のもたらす矛盾した悩みが軽減することになるだろうか。

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関連リンク:
★☆★ 世界のヒスイ Jade from the world ★☆★

*当記事はブログ「チェンマイUpdate」の許可を得て転載したものです。


 コメント一覧 (1)

    • 1. バーバリー 日傘
    • 2013年07月13日 17:57
    • 波長により皮膚を傷めたり皮膚の内側を傷めるなどの悪影響があるといわれています。紫外線とは太陽光線(日光)のうちの400nmより波長の短いものをいいます。

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