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読者を惑わすダメ記事が増えた=どこか「おかしい」日本の中国報道(山谷)

2011年11月09日

■特にここ1年で感じる中国記事への危機感について■

*当記事はブログ「チャイナプラスワンIT事情」の許可を得て転載したものです。


先日、海外ITライターの山谷剛史さんとお会いする機会に恵まれました。「中国・アジアITメディア界のイチロー」として、年間200本安打ならぬ200本コラムを量産し続ける山谷さん。その素顔に迫るインタビューは近日、「KINBRICKS NOW」で公開予定です。さて、山谷さんは現在の「日本メディアの中国報道」はおかしいと感じているとのこと。その違和感について書いた記事を寄稿していただきました。(Chinanews)


ブログ更新とまっていてすみません。僕自身、ASCII.jpで、山谷剛史の「アジアIT小話」という連載をはじめ、ITMediaでも山谷剛史の「アジアン・アイティー」という連載で名実ともに中国からアジアシフトに向かいました。Imress Internet Watchでもアジアの情報を書き始めました。

僕がみつけた有用なチャイナプラスワンの国々の情報は、これらサイトを中心に書くと思いますので、そちらのほうもチェックしていただけると助かります。よろしくお願いいたします。

20111109_山谷剛史_中国_IT_写真_1
*海外ITライター、山谷剛史さん。先日、当社所在地である船橋までご足労いただき、色々とお話をうかがいました。後日、インタビュー内容をアップさせていただきます。雲南ご在住ですので問題ないかと思い、某有名タイ料理屋に行きましたが、なんと!辛いモノは苦手だとのこと。大変失礼しました……。(Chinanews)


■変貌を遂げた日本の中国報道

さて本題です。中国、従来通り国が注目されている上に、市場としても注目されてきましたね。「何を今更」というかもしれないですが、1、2年で大きく変貌してきています……日本の中国報道の環境が。

市場を牽引するのは「ネットが利用できる都市部の30代後半より若い若者」です。彼らは自分の買い物だけでなく、親にモノを買い与え、子供がそろそろ生まれてくることから子供にいろいろ買い与えます。海外に行けば友人知人の買い物のお使いもするし、ネットショップを経営しているなら、商材を輸入することもあります。

同時に彼らはネットを使って中国式民主をそれなりに無理しない程度に実現しています。また同時に彼らは日本のサブカル文化に非常に濃い影響を受けてます。彼らの生態を事細かに知ることは今の中国を知る上で間違いなく重要です。

僕は狙ったのではなく、幸運なことに、中国のITとトレンドとサブカルにフォーカスした記事を10年弱書き続けているので、そういうことは詳しいと自負しております。例えば日本でいうなら「なぜモバゲーが人気なのか」とかですね。それを知るにはガラパゴスケータイ(ハード、サービス、所得など様々な背景)を知る必要もあるし、都会と地方の普段の人々の生活背景も知る必要がある。それを長年かけて培ったわけです。(以上自己アピール終わり。)


■量産される「薄っぺらい」記事

さて。特にこの1年2年で、中国に無縁だったメディア関係者さんらが中国に色気を出しはじめ「中国では~」「中国のネットでは~」と語り始めました。

紙媒体で中国の政治を書いていて、ネットに無縁だった著名ジャーナリストさんが、ミニブログを知らなかったり利用したこともないのに「新浪微博!」「新浪微博!」と連呼したり。

「中国は汚くてやだ」「怖いから行かないので行ったことないですけどね」といった著名人が上海の綺麗なところに行って中国を(あたかも中国全体のように)語ったり。

中国式リップサービス、酷く言えばほら吹きですね。そういうのもあるけれど、中国の方の話し方の特徴を理解しないまま、中国人担当者からの情報を右から左へ情報を流してしまったり。

日本と中国両方で超がつくほど人気のアニメ・ゲームなどを全く知らない人が、そのアニメやゲームを絡めて(間違った情報を含めて)若者文化を紹介したり。

著名な人が、中国を記事対象として魅力的に感じて、中国に行って記事を書いたりする。著名な人が動けば、ないしはテレビなり雑誌なりWEBメディアなり著名メディアが紹介すれば、影響力が高いので間違った場合、より多くの人に間違った情報を伝えてしまう。

例えば尖閣諸島問題の話のついでに、釣りを知らない僕が、「中国名で魚釣り島といって~、で釣りは云々」とうんちく垂れるのはどうですか?それとも普段からセンスのない服を着ている著名人が「ファッションに目覚めた!」といって、ファッションに関する蘊蓄を急にメディアで語り出す。そういったことが今日本の中国記事でよく見受けられます。本人は誠実にやっているつもりでしょうが、そういう風にはとらえられないでしょうか。

この文の意図することは僕自身の保身ではありません。またそうしたジャーナリストさんを叩くつもりはありません(ただし読者さんよりも可愛い自分がため、キャリアアップのため読者を騙してもかまわないようなメディアはたたける限りたたきたい)。

紹介することを生業とするジャーナリストさんは、得意分野同様、がっつり得意になった上で、薄っぺらくない知識でしっかり正しい情報を読者に伝えて欲しい。その願いがあるわけです。読者さんは、ジャーナリストさんのファンでないかぎり、時間というソースを費やして仕事や生活の間に読んでいるわけで、ウソ記事で読者を無駄に浪費させたどころか、読者に害を与えているわけです。


■読者がまどわされないために


対策としては、中国などのアジアを中心とした、どちらかといえば無名の方のブログ良エントリーを紹介、転載する「KINBRICKS NOW」を読むという手段がひとつ(いいエントリーをさらに掘り起こせとハッパかけました)

また僕に有料で「本当にそうかチェックしろ」という仕事を依頼するのもアレですし、僕のツイッターアカウント @YamayaT か、中国の若者ウォッチを一貫してやっている方に「こんなこと書いてあったけど、本当ですか?」と聞いてみてください(「誰が書いた」そこはそれほど重要ではないです。叩きは目的ではないので)。

上海北京に短期間行ったメディア勤務経験の長い著名人さんより、長期間ウォッチしている無名の方のほうがリアルを知っていて感じていると思います。僕の方でも余裕のある限り対応していきたいと思います。

タイトル通り、「中国記事への危機感」書きました。読者さんが無駄をしないための、日本語記事による中国情報収集。これが実現されるよう、ご協力のほどよろしくお願いいたします。


■山谷剛史インタビュー

連載目次:海外在住フリーライターという生き方~山谷剛史
(1)連載コラム年間200本のライター術
(2)IT版深夜特急企画と中国在住という選択

(3)ダメ記事が増えた日本の中国報道に喝!



yamaya【山谷 剛史】

1976年東京都生まれ、池袋育ちの海外専門ITライター。区立千川中学校、都立北園高校、駿台予備学校、東京電機大学を経て、独立系ソフトウェア会社に就職後、現在の職に転職。 主に中国内陸に滞在する。OSはDOSから触り、大学の学科は理工学部情報系学科、サラリーマン時代はSEのバックグラウンドあり。

海外で住み、海外の人の気持ちを理解しつつ、あくまでも日本人の読者の視点で現地の背景を解説する記事を執筆する。  特に対中国人に関しては、中国人の気持ちを日本人視点でヨイショせず解説できるということで、様々なメディアで書かせてもらったり、講演させてもらったりしている。海外の情報を海外に出たがらない日本人に伝えることを使命と感じ、いまだあまり取材されていないエリア、業界など隙間的な事象を取り上げるのを好む。

中国のほか、インド、東南アジア、中央アジア、韓国、北欧の主にIT関連の記事の執筆経験有。 また、現在中国以外を勉強すべく、インドや東南アジアなどについて主に執筆するブログ「チャイナプラスワンIT事情」を執筆・勉強中。「海外ITライター、山谷剛史のページ」。

ツイッター:@YamayaT

新しい中国人 ネットで団結する若者たち (ソフトバンク新書)
*2008年にソフトバンク新書より発売された著書「新しい中国人 ネットで団結する若者たち」。



*当記事はブログ「チャイナプラスワンIT事情」の許可を得て転載したものです。


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