• お問い合わせ
  • RSSを購読
  • TwitterでFollow

「飛び降りて死ね」管理職の暴言でストライキ=世界最大のブラジャー工場―中国

2011年11月22日

2011年11月22日、広東省深圳市の世界最大のブラジャー工場でストライキが起きた。「飛び降りて死ね!」という管理職の暴言がデモのきっかけになったと報じられている。


20111121_ストライキ_写真_下着_深圳
*画像は金羊網の報道。

中国ブラジャー工場でスト、パワハラ上司に女性従業員400人が抗議
AFP、2011年11月22日

ストライキを起こしたのは下着メーカー「トップフォーム・アンダーウエア(Top Form Underwear)」の工場。広東語を話す上司が、指示を理解していないとして、普通語を話す従業員をののしったことが引き金になったという。

(…)トップフォーム工場の従業員は以前から、上司によるいじめや、賃金方式の変更に対して抗議していた。同工場では2月までは月給500元(約6000円)プラス残業手当という給与制度をとっていたが、2月以降は作ったブラジャーの数による完全出来高制に切り替わっており、出来高制のもとでは高騰する生活費をまかなうことができないと従業員から抗議の声が上がっていた。


■香港女性管理職VS四川女子労働者の口ゲンカ

ストライキが起きたのは、香港黛麗斯集団(トップフォーム)旗下の深圳黛麗斯内衣有限公司。東南網の報道によると、16日、香港人の女性管理職・鄭氏が工場で新製品の加工方法を広東語で説明していたが、四川省出身の労働者・廖会さんが「听不懂」(聞き取れない)と返し、もめ事になったという。

香港女性VS四川女性の口ゲンカが勃発したわけだが、カッとなった鄭氏が「飛び降りて死んでしまえ!」と叫んだことから事態はエスカレート。昨年、アップル製品の組み立てで知られる世界最大の電子機器OEMメーカー・フォックスコンでは十数人の労働者が飛び降り自殺する問題が起きたが、鄭氏の発言はそれを念頭に置いたもの。

キレた四川省女子も負けてはいない。工場の電源をカットし、工場全体が20秒ほど停電する騒ぎとなった。周りの取りなしですぐに電源は入れた廖会さんだが、腹の虫は治まらない。工場6階で「今から飛び降りてやる」と騒ぐ状態に。取りなす周りを尻目に、鄭氏も「ほっとけほっとけ。どうせ飛びやしないんだから」と冷淡に吐き捨てたという。


■輸出危機とインフレで荒れる広東省製造業

これが導火線となって、従業員400人が参加するストライキへと発展した。もっともたんに管理職の暴言に切れたというよりは、上記AFP記事が伝えているとおり、今年2月に残業手当が廃止され出来高制に切り替わったことへの不満が募っていたようだ。基本給は500元(約6000円)しかなかったというのはスト参加者の主張であり、そのまま信じるのは難しいが、もし事実だとすると最低賃金の半分以下というひどすぎる状況だったことになる。

工場が残業手当を圧縮して労働コストを浮かそうとしたことが原因でストライキが勃発。これは21日に取り上げた世界最大のシューズOEMメーカーにおけるストライキ&デモとまったく同じ構図である。
(関連記事:東莞は燃えているのか?ナイキ工場の労働者数千人がデモ、政府庁舎を囲む―中国

靴や下着と言った労働集約産業の輸出工場が集まる広東省では、今、インフレと輸出需要減少を背景に、少しでも出費を減らしたい企業側と生活を確保したい労働者側との緊張関係が続いている。


トップページへ

コメント欄を開く

ページのトップへ