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腕だけで山を越え亡命した僧侶=巡礼の旅で見つめた失われゆく祖国―チベット(tonbani)

2011年12月01日

■両手のみで亡命を果たした僧侶が語るチベットの現状■

*当記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の許可を得て転載したものです。


僧カルマ・ゲトゥン・ギャンツォは10代の時、両足が麻痺する病気に掛かった。彼は両手だけを使って、最近カイラス山経由でネパールに入り、インドへの亡命を果たした。
(関連記事:越境チベット人20人拘束=ネパール経由のインド亡命困難に―チベットNOW

20111130_チベット_亡命_カルマ・ゲトゥン・ギャンツォ

彼の人生やチベットの現状についてTibet Timesの記者がインタビューした記事(チベット語)を以下要約してお伝えする。


■僧院を追い出され巡礼の旅の末、亡命


彼はラサの北ダムシュン・ヤンパチェン་の出身。13歳の時僧侶となり地元の僧院に入った。しかし、丁度そのころから両足が立たなくなり始めたという。仕方なく家族の下に帰り、5年間治療を続けたが足の麻痺は治らず、足が曲がったままになった。その後再び僧院に復帰したが、当局は僧侶の資格を与えず、ついに去年2月当局により完全に僧院から追い出された。 

彼はそれから両手だけを使い巡礼の旅に出た。各地を巡った後、最後にマパムユムツォ(マナサロワール湖)とカンティセ(་カイラス山)に辿り着いた。そこからラサには帰らずに、南に下りネパール西北の国境を越えカトマンドゥの難民一時収容所まで辿り着くことができた。2011年11月17日、ダラムサラの収容所に到着した。


■悲惨な僧院の現状


彼の所属していた僧院の現状に付いて彼は語る。「ヤンパチェン僧院には最初70人ほどの僧侶が居たが、当局は様々な規制を掛け40人程にしか僧侶の許可証を与えなかった。他の僧侶には僧院に出入りすることも禁止した。僧院でチャム(仮面舞踏)やモンラム(祈祷会)を行う場合でも前もって数ヶ月前から政府の許可を取る必要があった。

そのために役人に金や贈り物を渡さなければ許可は下りなかった。県や郷の責任者は全て中国人であり、その下にチベット人が働いている。中国人の役人たちは下のチベット人に対し、僧院に規制を掛けたり、嫌がらせをすることを強要する。結局、チベット人がチベット人と対立するように仕向けているのだ」

「当局は私に僧侶の許可を与えなかった。10年間、僧院側は私を追い出しはしなかったが、僧院に居ること自体が法律に違反する状態であった。ついに去年2月、当局は私を完全に僧院から追い出した。その後巡礼をしている間も僧侶の許可証を持っていないので、至る所で警官からきつい仕打ちを受けた。

僧衣を切ることも違反だと言われた。私は自分は障害者で仕事ができず、僧衣を着ているのも乞食同様に食いつなぐために仕方ないのだ、と言ってなんとか許してもらっていた。」

記者の「中国政府は障害者に対し援助を与えたりはしないのか?」との問いに、「政府から一度だけ障害者への援助だと言って、肉1キロ、バター1キロ、ツァンパ1袋を渡されたことがある。その他にはどんな援助もしてもらったことはない」と答える。


■腕で歩き、見つめた、失われゆく祖国


記者が「チベットを巡礼しながらどんなことを見聞きしたのか?」と問う。「チベットと言うものは、もう無くなりつつある。例えば、その自然に付いてだが、2005年に地元の山で鉱山開発が始まった。5、6年の間、1日に何百というトラックが行き来して鉱物を中国に運び出した。結局山はすっかり姿を消してしまい、鉱山も閉鎖された。中国は地元に利益をもたらしていると宣伝するが、そんなことは全くない」

「トゥガリ(西チベット)の方に巡礼に行ったが、途中出会う僧侶も本当に僧侶の戒律を守っている人は少ないように見受けられた。どこへ行っても、中国人の方がチベット人よりも多く、町は中国の町になっていた。チベットの昔ながらの文化、慣習も計画的に破壊されていると思えた」

同じように収容所に収容されている若者たちを指差しながら、「あの子供たちも中国語ばかり習い、しゃべるのも中国語だ。チベット語を知ってる者は少ないんだよ」と。


■国全体がマフィアのよう

最後に「中国政府は中国ではみんな調和の中に暮らしていると宣伝しているが、現実には少数民族、特にチベット人には法律に書いてあるような権利はない。不当な扱いを受けても、結局訴える場所や相談に行く場所はなく、中国人は何でもやりたい放題だ。中国には法律も無く、規律もないに等しい。喩えれば国全体がマフィアのようなところだと思う」と。

関連リンク:
越境チベット人20人拘束=ネパール経由のインド亡命困難に―チベットNOW

*当記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の許可を得て転載したものです。


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