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2011年12月10日
*洪水の被害にあった工場機械。bagkok postの報道。
12月も半ばにさしかかり、タイの洪水も残る水が引くのを待つ状態になり、報道も減ってきた。気がかりなのは、水没した工業団地の復興の状況である。先月11月、アユタヤのファクトリーランドにつぎ、バンパ・インでも清掃が始まったことをお伝えした。
チェンマイUpdate : バンパ・イン工業団地(90工場)で清掃始まる(チェンマイUpdate、2011年11月23日)
■各工業団地で復興の足音
この後、10月13日に水をかぶった築20年になる「ハイテク」工業団地でも、12月1日に半月早く一部工場で操業が再開された。140工場のうち、キャノン・ハイテクを含む10工場ほどが一部操業再開にこぎつけそうだという。
遅れているアユタヤの「サハ・ラタナ・ナコン」は、12月3日から排水を始め、終わり次第、ホンダの部品会社などが2012年第1四半期の操業再開を目指し、準備に入る。しかし、このサハ・ラタナ・ナコン団地は、GSB(政府貯蓄銀行)からの融資をうるのに苦労しているようだ。工業団地の返済能力が疑問視されているのだ。
「ロジャナ」工業団地の再開も長引いているが、11月末日に排水が終わり、12月より240工場中、多くの工場が清掃に入っており、ミネベアなどは試験運転に入ったといわれる。三洋半導体は、工場の再開不可能から閉鎖することを9日に発表した。
また、パトゥム・タニの「ナワ・ナコーン」は、12月の第2週に排水が終わり、227工場が2012年の再開を目指すという。「バン・カディー」工業団地もこれに続くと見られる。
*甚大な被害を被ったSONY工場。2011年10月24日付易摂誌の報道。
■迫られる堅牢な洪水対策
工業団地の再建にあたり、各団地は、周囲に堅固な防水壁の建設を迫られている。ロジャナ団地では20億バーツ(約50億2000万円)を投じ、67kmに及ぶ長い防水壁を作る予定だ。ナワ・ナコーン団地も、6億バーツ(約15億円)を投じて20kmのダイク(堤防)を造る。ともに2012年1月に着工して、中旬までに完成させる予定となっている。
政府の150億バーツ(約376億円)の復興計画の中で、GSBからの金利0.1%のソフト・ローンが頼みだ。徐々にではあるが、洪水にあった7つの工業団地は程度の差こそあれ、来年早めの再開に向けて動き出した。(といっても、本格稼動までにはその後数ヶ月を要しようが)。
あとは、洪水対策がどうとられ、タイを後にする会社がどの程度でるかである。
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洪水募金情報:*当記事は2011年12月10日付ブログ「チェンマイUpdate」の許可を得て転載したものです。
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