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「ロシア人は無表情」のウソ=お世辞笑いは嫌い、でもユーモアは大好き!(タチアナ)

2011年12月14日

■ロシア人って本当に笑わないの?■

*当記事はブログ「ロシア駐在日記」の許可を得て転載したものです。


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01 x10K_ IMG_8175_bw / egor.gribanov

「笑顔をあまり見せないロシア人たちはいつも怒っているように見える」
。この話を日本人から何回も聞かされています。一方、ロシア人からは、日本人の愛想笑いなどについて「仮面みたい。うそっぽくて気持ち悪い」という印象も聞いたことがあります。どうも日本人とロシア人との間では「笑顔」の捉え方が違うようです。


■社交的な笑顔が定着していないだけ


ロシアでは、いわゆる社交的な笑顔(ビジネス・スマイル)がまだまだ少なく、笑顔はその本来の意味、つまり「うれしい/楽しい」という感情を表わす機能しかないと思います。例えば、まったく知らない人と目が合ったというだけで、喜ぶ理由は何もない。だったら、笑顔もない。ロシア人たちはそのような捉え方をし、簡単には笑顔を見せないのです。

しかし、実際に「うれしい」ときや「楽しい」ときはロシア人は普通に笑います。そして、大笑いまでいかなくても、ロシア人の日常生活は実はユーモアで溢れていると、ロシアで暮らしてつくづくそう思います

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DSC08253.jpg / Данила



■「恋人募集中」ベンチ

親戚が住んでいる町キーラフの公園のベンチは半分で、二つに色分けされています。グリーンの部分は「休んでいるだけ」と書いてあって、ピンクの部分は「恋人募集中」と書いてあります。いうまでもなく、これらのベンチを見て大笑いする人はいませんけれども、「ふふん」と失笑する人は多いと思います。このような、ちょっとした「笑い」の種は、ロシアのあっちこっちにちりばめられています

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02 x10K_ IMG_1325 / egor.gribanov



■バスのお尻のタクシー広告

この前、ニジニ・ノヴゴロド市内で見かけたタクシー会社の広告です。

Ах, ваш автобус уехал?

Тогда звоните нам!

Red taxi

tel 8(831)-XXX-XXX


(あらら、バスが行っちゃったんですか?

では、私たちタクシーにお電話を!

Red taxi

tel 8(831)-XXX-XXX)

この広告があった場所はどこだと思いますか?

正解は、バスの一番後ろです。行ってしまったバスの後ろ姿を見送っている人が見るという想定だと思います。ちょっと面白いと思って、一緒にいた日本人たちに話しました。「へえ~ロシア人もそういう面白いことを考えたりするんだ」と意外そうに言われました。当たり前ですけど、言葉がわからないとそういう「ちょっと面白い」ことも気づかないのです。

Shibaura bus
Shibaura bus / mick62

*日本のバス。真似しましょう!(笑)


■相乗りタクシーのブラックユーモア

ロシアの相乗りタクシー(マルシュルートカ)はスピード違反で有名です。そういうことを種にした表示が多くのマルシュルートカにあります。

На большой скорости дышите глубже
(スピードがあまり速いときは、深呼吸をしてください)

10 минут страха и вы у цели.
(恐怖の10分。そしてあなたは目的地にいる)

ちょっとブラックユーモアっぽいので、お客さんに対して失礼ということで日本ではまずあり得ない掲示物だと思います。しかし、ロシアでは「ジョーク」ということで問題なく通っているようです。

my shy friend
my shy friend / vi4kin



■「いつもシラフの作業員」

ニジニ・ノヴゴロド市内にはあっちこっちに下記のような看板を見かけます。

«всегда трезвые грузчики»
(いつもシラフの作業員)

«непьющие сапожники»
(飲まない靴屋)

ロシアでは、「職人や肉体労働をする人の間でお酒を飲む人が多い」というイメージがありますので、この広告主が「うちは違う」ということをわざわざアピールしているわけです。

同様に、建設現場などで作業者たちが「タバコ休憩」ばかりして、工事がちっとも進まないケースもあるので、そういうことを逆手にとって広告を出している業者もあります。

«работаем без перекуров»
(タバコ休憩なしに作業をいたします)

いうまでもなくこのような広告を見て「大笑い」する人はいません。しかし、やはりちょっと面白いから、心の中でニコっとする人が多いと思います。

Beard Face
Beard Face / ben pollard



■ユーモアに囲まれた暮らし


日本人とロシア人が笑うツボも必ずしも同じではないし、笑いの対象にしていい場面とそうでない場面も違うことがあります。しかし、そこが違う国、違う文化。このエントリで取り挙げたような広告を見て、表情を変えないまま心の中で「なるほど」と思えるようになれば、みなさんがもはやロシア人と言っていいでしょう。

無愛想で怒っているように見える場合が多いロシア人ですが、実はどんな場面でもお笑いの種を発見しながら、ユーモアに囲まれて暮らしているのです。


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04 x10K_ IMG_1604 / egor.gribanov


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*当記事はブログ「ロシア駐在日記」の許可を得て転載したものです。

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 コメント一覧 (2)

    • 1.  
    • 2012年09月23日 15:11
    • 欧米人の友達たちはよく「ロシア人のお世辞は気持ち悪い」と言ってました
      東欧の人は賞賛するのが好きですが、それは別の国では気持ち悪がられてることもよくあると思う

      日本人のお世辞は紋切型で口だけって感じに聞こえると外国人は言いますよね

      ロシアを含む東欧以外の西洋人のお世辞が自分の中では一番好きな気がする

      でも国によって考え方や価値観の違いは大きい
    • 2. Chinanews
    • 2012年09月25日 22:03
    • コメントどうもです。

      ロシアのお世辞は気持ち悪いって初めて聞きました。面白いですね。

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