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観光地となった「黄金の三角地帯」=なおとどまらぬアヘン製造―ミャンマー(ucci-h)

2011年12月21日

『ゴールデン・トライアングルは観光地になったが、ビルマのアヘンけしの栽培は減ったのだろうか?』

*当記事は2011年12月18日付ブログ「チェンマイUpdate」の許可を得て転載したものです。


The end of dreams
The end of dreams / CGehlen


タイの北の国境、ビルマやラオスと接する「ゴールデン・トライアングル」は、いまや麻薬の取引地帯ではなく、観光地となった。ならば、ビルマやラオスのオピウム(アヘンけし)の栽培は減ったかというとむしろ増えているようだ。

20111221_ゴールデントライアングル_麻薬_地図

UNODC(国連薬物犯罪オフィス)が、ヘリコプターや衛星、村々への調査などで調べたところによると、東南アジアでのけし栽培面積は、昨年に比べ、16%増えているという。2006年から見ると、けしの栽培は倍増しているそうだ。

WORLD DRUG REPORT2011(UNODC、PDF)



■世界第2位の「アヘンけし」生産国ミャンマー=生産額は前年比5割増


Opium Poppy Heads
Opium Poppy Heads / Alastair Rae


アフガニスタンに次ぐ世界第2位のアヘン、ヘロイン(アヘンの中の麻酔作用を持つモルヒネを抽出し、精製したもの)の原料となる「けし」の生産国であるビルマは、前年比37%と大きく増えている。ビルマでアヘンけしの生産に携わる人口は25万人に達するという。少数民族の紛争地が中心だ。北東部のシャン州、そして北部のカチン州である。

新政府と地方民族軍との密談=半世紀ぶりに帰国した追放の王子―ミャンマー(ucci-h)

中国・ミャンマー間に位置する、独裁軍閥「ワ州」同地でも、アヘンけしの栽培が軍閥の大きな収入源となっています。当サイト寄稿者でもある迷路人こと安田峰俊さんは実際に中国経路で密航し、突撃潜入取材を決行。その経緯をつづった著作独裁者の教養が星海社新書より絶賛発売中。有史以来、足を踏み入れた日本人は、いて数十人ほどだそうです(水島)


20111025_金三角の星より_ワ州連合軍とアヘン畑
ワ州連合軍とアヘン畑。

20111025_独裁者の教養_安田峰俊

29歳の「中国ネットウォッチャー」がなぜ独裁王国に潜入したのか?安田峰俊『独裁者の教養』出版記念インタビュー(1)

■貧しい少数民族たちの生活を支える麻薬栽培


理由ははっきりしている。紛争で食糧にもこと欠くこの地域において、麻薬はもっとも金になる栽培植物だからだ。民族軍にとってもけしは、重要な戦費源だろう。貧しさと内戦が、人々をけしの生産に駆り立てる。

なお、けし生産の金額の伸びは、生産量の伸びを上回る。UNODCの推計によると、ゴールデン・トライアングル3国の今年2011年のけしの生産額は3億1900万ドル(約248億円)と、前年比48%の伸びになると見られる。

シャン州では停戦が合意されたが、カチン州ではなお戦火が激しい。ビルマの民主化の進行によって、けし栽培が、害のない茶やコーヒー、そばなどの栽培に大きく切り替えられる日はいつ来るのだろうか?


■ドラッグの分類


ちなみに、薬物は、5種類ほどに分類される。

(1)けし由来の麻薬であるアヘン、ヘロイン(麻酔作用)
(2)コカ葉からの麻薬であるコカイン(覚醒作用)
(3)合成麻薬であるLSD、MDMA(エクスタシー)幻覚作用
(4)大麻からのマリファナ(グラス、ポット)、ハシシ(感情増幅作用)
(5)覚せい剤のアンフェタミン(米空軍利用)、メタンフェタミン(日本で合成、ヒロポン、スピード、シャブ)覚醒作用

いずれも、ほとんどが法に引っかかる。タイは自由な国なので、「やってみようか」という無謀な日本人が後を経たないようだ。売人は、売りつけた代金と、警察への密告での報奨金の両方を手に入れられるようである。

2003年、時の首相タクシンが麻薬撲滅のために警官等にノルマを課し、罪のない人間も含め、3000人近くが犠牲となったことが思い出される。

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*当記事は2011年12月18日付ブログ「チェンマイUpdate」の許可を得て転載したものです。



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