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飲酒ひき逃げ事故の地方官僚が無罪になる方法=税金で賠償金支払い―中国

2011年12月22日

飲酒運転で飲酒ひき逃げ事故を起こした地方官僚がいる。なんと政府から金を借りて賠償金を支払ったという。2011年12月21日、南方都市報が伝えた。


红星二锅头 / Chinese white spirit
红星二锅头 / Chinese white spirit / livepine


■飲酒ひき逃げ事故もおとがめなし

2011年10月5日夜、広西チワン族自治区桂林市臨桂県で交通事故が起きた。同県住宅建設局の李富得副局長(当時)は酒を飲んだ後、自ら公用車を運転して帰宅の途についた。その途中、三輪バイクと衝突。車はバランスを崩し、対向車線側を走っていた電動自転車と衝突した。電動自転車に乗っていた親子のうち、父親は重傷を負い、植物状態となった。

事故を起こした後、李は現場から逃げ出し帰宅した。家では数瓶のミネラルウォーターを一気飲み。その後、警察で取り調べを受けたが、取り調べの最中に6回もトイレに行ったという。アルコール検査にひっかからないようにという抵抗だったのだが、その努力も空しく結果は真っ黒。血中アルコール濃度は197.94mg/dlという数字を記録した。千鳥足になったり、記憶がなくなったりするレベルの酩酊だ。

それでも警察は李を逮捕することなく見逃した。警察と官僚の癒着といういつもの話しである。


■一転二転する事態

事態が変わったのは事件から1カ月以上が過ぎた2010年11月24日のこと。この一件をメディアがすっぱ抜いたのだ。同日中に警察は李を拘束。また県住宅建設局副局長の職も解任された。12月7日、李は正式に逮捕され、刑事裁判にかけられた。

飲酒ひき逃げ事故という重大犯罪だけに重罰を科されてしかるべきだろう。しかし裁判所は刑事罰を科さないとの判決を下した。その要因となったのは李と被害者家族の和解だ。2011年1月30日、146万元(約1750万円)の賠償金支払いで和解協議が成立している。


■賠償金の出どころ

問題は賠償金の出どころだ。関係者によると、臨桂県住宅局が「賠償金資金を李に貸してやりたい」と県政府に申請。県政府トップも同意して133万元(約1600万円)が貸与された。県住宅局が責任を持って返済させるとの約束だ。また李が所有する不動産物件2件の抵当権も県住宅局が保有する。住宅を売却した金で返済するという話になっていたという。

さて、この話の問題は二つ。「同僚が刑務所に入らないで済むように金を貸してやろうじゃないか」という麗しい友情はいいのだが、税金を使うのはいかがなものかという点だ。県政府トップがサインしさえすれば、1600万円ぐらいぽんと出てくる柔軟な予算体制も興味深いところではあるが。

もう一つ、「李は本当に金を返すのか」という点も気になる話。2011年12月19日時点で、まだ一銭たりとも返していないという。「住宅の売却には時間がかかるから金を貸してやる」という話だったはずだが……。

地方官僚の飲酒ひき逃げという事故の話だが、警察と官僚の癒着、官僚のかばい合い、柔軟すぎる県財政といった問題点が集まっている。中国「なれあい」政治とはなんなのかを象徴するような事件である。


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