• お問い合わせ
  • RSSを購読
  • TwitterでFollow

赤字続く韓国LGディスプレイ=ボーナス削減に不満、中国人労働者8000人がスト

2011年12月30日

2011年12月29日、江蘇省南京市のLGディスプレイ工場で3日間に渡り続けられてきたストライキが収束した。会社側が譲歩し、当初月給1カ月分だった年終奨(旧正月前のボーナス)が2カ月分に引き上げられた。21世経済報道が伝えた。


20111229_写真_中国_ストライキ_韓国企業_ボーナス1


■LGディスプレイの苦境

LGディスプレイは韓国LG電子の子会社。液晶ディスプレイの製造を業務としているが、ここ数カ月というもの在庫が積み上がり厳しい経営状況が続いていた。ライバルのサムスンやシャープと比べ、独自ブランドが弱く自家消費できないのが弱みとなっている。

今年第3四半期には6875億ウォン(約463億円)の赤字を計上。第4四半期も赤字が確定的な状況で、5期連続の赤字となる。広州工場では人員の15%削減に踏み切ったという。




■残業代とボーナスが頼み

南京工場の労働者たちだが、月給は1400元(約1万6800円)程度。残業代と旧正月前のボーナスを頼みにしていた部分が大きいという。ところが生産ラインの稼働率低下により残業が減り、さらには例年は月給3カ月分が支給されていた旧正月前のボーナスが今年は1カ月分に減らされるとあって、ついにストライキにいたった。

工場側は「ごく一部の労働者が参加しただけ」とコメントしているが、ネットでは8000人が参加し社員食堂を破壊、さらには敷地内の大きなクリスマスツリーを引き倒すなどの騒ぎを起こしたと伝えられている。

20111229_写真_中国_ストライキ_韓国企業_ボーナス2


■工場側の主張、労働者側の主張

工場側は例年支給しているボーナスは旧正月前の固定ボーナスが1カ月分、成果給が2カ月分の計3カ月分だったとのこと。赤字続きの今年は成果給を削ったという主張だったのだろうが、労働者側には受け入れられなかったようだ。

労働者側は、「中国人のボーナスはカットされたのに、同じ仕事をしている韓国人労働者には6カ月分のボーナスがでた。同一労働同一給与の原則に反する」と主張している。そもストライキに参加した工場労働者と同じ仕事をしている韓国人労働者が中国にいるとは思えないが、韓国の工場と比較してという話だろうか。

工場側は差別はデマだと否定しているが、あくまでストライキを拡大させ、外部の同情を集めるための宣伝文句だったのかもしれない。とはいえ、韓国企業、そして日本企業も同様だが、自国民優遇がはなはだしく、給与面での差別だけではなく、中国人は昇進もできないというイメージがもたれているのは確かである。


■ボーナス支給額をめぐるストが拡大か

「KINBRICKS NOW」ではたびたびストライキの話題を取り上げているが、特に旧正月前の今はストライキが多発する時期だ。故郷に帰る前に未払い給与をもらおうと労資が衝突するケースも多いが、輸出向け製造業など不景気だった業種ではボーナス支給額をめぐる争いも起きているという。LGディスプレイの広州工場や広東省の日系企業などでもストライキの動きが伝えられている。

それにしても残業代にしてもボーナスにしても、業績好調時に利益を還元するバッファという役割を果たしていたはずだが、数年にわたる好況が続くと支払われるのが前提となる。「基本給が低すぎる」という労働者側の主張もよくわかるのだが、経営者は経営者で悩ましい状況と言えそうだ。


トップページへ

コメント欄を開く

ページのトップへ