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東南アジアの高速鉄道建設計画=その裏に見える中国の野心(ucci-h)

2012年01月08日

■ラオスからタイへ、インドシナ半島縦断高速鉄道の建設を手がける中国■

  *本記事はブログ「チェンマイUpdate」の2011年12月31日付記事を許可を得て転載したものです。


SRT 1138
SRT 1138 / My Train Pix


■中国高速鉄道事故とタイ

7月の中国高速鉄道事故によって、タイの高速鉄道計画にも「揺らぎ」が生じた。すでに中国の技術を導入することで決まっていたが、「事故ゼロ」を売り物とする日本の新幹線が再度、アプローチをかけたのだ。大どんでん返しがあるのかと注目されたが、2011年末に中国の技術を導入することが改めて確認された。

タイ国内に5路線の高速鉄道網を敷く計画は前民主党政権下で決まり議会で承認されたもの。2011年12月22日、中国の次期指導者・習近平副主席がバンコクを訪れた。インラック首相とともに、バンコク・チェンマイ間高速鉄道を中国が建設するという合意書にサインした。


■タイの高速鉄道計画

スクンポン運輸大臣によれば、現政権下でも5つのルートを建設することに反対はないという。まずは、主力のバンコク・チェンマイ間がサインされたというわけだ。5つのルートの距離と予算は以下の通りだ。

1.バンコク―チェンマイ(北線)、745km、2300億バーツ(約5590億円)
2.バンコク―ウボン・ラチャタニ(東線)、870km、1800億バーツ(約4380億円)
3.バンコク―(コラート経由)ノンカイ(東北線)、615km、2000億バーツ(約4860億円)
4.バンコク―(ホアヒン経由)パダン・ブサール(南線)、982km、3000億バーツ(約7290億円)
5.バンコク―ラヨーン(東南線)、221km、700億バーツ(約1700億円)

5路線累計で、3433km、9800億バーツ(約2兆3800億円)。国家予算半年分匹敵する大事業だ。敷設費用は100m当たり2850万バーツ(7400万円)ほどとなる。中国はチェンマイ線のほかにノンカイ線、パダン・ブサール線にも興味を示し、バックアップしたい意向を示している。

ノンカイはラオスのビエンチャンとつながる。中国が手がけるラオス高速鉄道と結び、雲南省の首都クンミン(昆明)までひとつになる。さらに、マレーシアの国境パダン・ブサールまで手がけると、中国からマレーシアにかけて、ラオス・タイ2000キロ縦断鉄道路線を中国が手がけることになる。

タイはすでに線路の軌道を中国のゲージに切り替える方針をを表明している。 中国は着々とインドシナ半島に足を伸ばしてきていると言えよう。
(関連記事:「タイ国有鉄道のゲージにも及ぶ中国の影」チェンマイUpdate、2011年10月7日)

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