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乙女・胡錦濤に感動?!共産党員は純潔たれと訓辞―中国(水彩画)

2012年01月16日

■党員は純潔たれ■

*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年1月15日付記事を許可を得て転載したものです。


純潔
純潔 / 喬治2010

■汚職摘発の怖い組織

中国共産党中央紀律検査委員会(中紀委)は、党内部の党員監察機構です。汚職党員の摘発が主な職務なのですが、トップが常務委員(現在は賀国強、序列8位)が務めていることからもわかるとおり、近年重視されてきている組織です。

江沢民から胡錦濤に政権交代した時に無理やり格上げされた感もあるのですが、時の政権の政敵となりそうな人物を潰すのに使われる中央政法委員会と並んで、日本での知名度はないものの怖い組織の1つです。


■胡錦濤と純潔

旧正月を目前に、イベントが目白押しなのは共産党も同じ。胡錦濤は毎年この1月10日前後に行われる中紀委の総会に出席し、重要講話を行いました。

「汚職に断固として反対しよう」という講話内容は毎年代わり映えしませんので割愛しますが、見出しにもあるように「純潔性」という単語が目を引きます。70の爺さんが何百人もいる幹部を前に乙女みたいな事を言ってるわけですから非常にシュールな光景で、出席者に噴出した幹部がいないか心配です。

講話では「純潔性」という言葉が連発されています。胡錦濤が7回、総会を主催した賀国強が3回、発言しています。去年の総会では全く使われていなかった単語なので、今年になって突然、現状では党員に欠けている「純潔性」を持ち出したのでしょうが、本当に乙女かとしかいいようがありません。

実践が証明するように、我々の党はマルクス主義の執政党として、純潔性を不断に保ってこそ、群衆の中で威信を高める事ができ、人民の信頼と用語を得られ、執政の基礎を強固にし、党と国家の反映を実現し、長期にわたる社会が安定を実現できる。

全党は党と人民の事業発展の高所から、新しい情勢下で党が直面しているリスクと挑戦から鑑み、党の純潔性の重要性や緊迫性を十分に認識し、党の意識、政治的意識、リスク意識、責任意識を不断に強め、党の純潔性を適切に保ち、各工作を行おう。

純潔性とは何なのか。純潔性を保持するとどういう党員になるのか、純潔性が喫緊に求められるのであれば現状はどうなのか、などの疑問に胡錦濤講話は答えてくれません。賀国強は「党の先進性と純潔性」という表現で2回使用しています。


■中国全土に広がる乙女精神 

中紀委という場所を考えると、無私無欲であれという要求なのでしょう。ただ、党を監視する外部機構が設立されるわけでもありませんし、これまでと同様に党員の自覚に頼るのですから事実上打つ手なしなのです。


こちらの中紀委の通達でも純潔性が10回も使われています。胡錦濤精神とは「党の純潔性を保つ」であることがわかりました。講話の精神は各地方で学習するわけですから、例えば貴州や湖南のトップがしたり顔で「胡錦濤総書記は・・・純潔性が・・・」とか、大勢の手下どもをあつめて言っちゃうのですから、全国各地に乙女が同時大量発生するわけです。


胡錦濤精神を伝える人民日報の記事。これも純潔がテーマ。14回もの「純潔」乱舞で、「幹部の思想は純潔たれ」と説いておりますが、党史でこれほど乙女な単語が乱れ飛んだことはなかったのでは。「思想の純潔はマルクス主義政党の純潔性の根本的な保証である」という一文からも分かるように、もうすがるものがないので、苦し紛れにひねり出した答えが純潔性なのでしょう。

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*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年1月15日付記事を許可を得て転載したものです。

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