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【ヌクモリティ】中国を感動させた善人トップ10が決定=官制メディアが主催の国家イベント

2012年01月18日

「中国は良い国だ」「中国には良き人がいる」ということを、国有メディアが民草に教え、「ヌクモリティ」を分け与えてくれるすばらしいイベント「中国網事・感動2011」が開催された。


「昔は良かったが、今の世の中は……」と嘆くのは世界中どこの国でも共通の作法。経済成長を謳歌する中国とて例外ではない。「中国は道徳崩壊した」「中国は冷莫社会になってしまった」「拝金主義が支配している」と人心の荒廃を嘆く人は多い。

中国が他国と一味違うのは、「中国は道徳崩壊していない、すばらしい国なんだ!」とお国がキャンペーンを貼ってくれるところ。というわけで、ネットで話題になった善人、草の根英雄10人が選ぶイベント「中国網事・感動2011」が実施された。主催は新華社と北京衛星テレビ。ネット民の投票で上位10人が選出された。

2012年1月16日、北京市で「中国網事・感動2011」に選出された「草の根英雄」10人の授賞式が実施された。場所は国家大劇場。写真からもそのゴージャスさがうかがえる。

20120118_写真_中国_中国網事_感動2011
*画像は中国台湾網の報道。16日の授賞式。

選出された10人をご紹介しよう。

・「最も美しいママ」呉菊萍。10階から転落した他人の赤ちゃんを見事にキャッチ。骨折の重傷を負ったが、赤ちゃんを守った。

・「担ぎ屋の兄ちゃん」鄭定祥。担ぎ屋(棒棒)とは重慶市の名物、天秤棒で荷物を運んでくれる担ぎ屋。雇い主が持っていくのを忘れたダウンジャケット2袋。これを届けようと5日間も雇い主を探した。

・「墓守の老兵」欧興田。30年間にわたり英雄の墓を守ってきた。60年前に交わしたたった一言の約束を守り続けたのだ。

・「白菜父さん」石青華。孤児103人を引き取った「父さん」。金に困った時は子ども共々、半月の間、白菜だけ食べて生きのびたという。

・「道徳荒廃の拾い主」陳賢妹。車にひかれた2歳児を通行人たちは見て見ぬふりして通り過ぎていくなか、躊躇することなく子どもを助け上げた。
(関連記事:【動画】車にひかれ動かなくなった2歳の少女と見て見ぬふりをする通行人―広東省

・「松葉杖先生」譚定才。松葉杖を使わなければ歩けない体ながら、山奥の小学校で20年以上も教師を務めている。

・「知的障害者の救助者」胡艶苹。9年間に28人の知的障害者を引き取り、面倒を見ている。

・「橋修理のおじいさん」艾尼亜特・斯拉木。自宅の木を切り、自宅の車を売り飛ばしてまで、村の橋を直した。

・「最も美しい農村の女医」鐘晶。街から山奥へと引っ越し、少数民族の人々のために尽くしている。たいしたことがない病気だと言われても山道を抜けて往診に出向く。

・「イケメン皿洗い」陳文原。学校食堂で皿洗いのバイトをしながら勉学にいそしむイケメン青年。なんと2時間で2万個のお椀を洗うという。


中国のニュースは結構見ているつもりだったが、ほとんど知らない人ばかり。ネット掲示板のホットトピックを毎日チェックしているとでてきそうな感じだろうか。みなさん、立派な人だとは思うが、国をあげて「中国にはこんな善人がいるんですよ!」とアピールされているのを見ると、なんかひっかかるのだが……。

ちなみに2010年は以下の10人。

・「ケバブの慈善家」阿里木。屋台で稼いだ金で貧困学生100人を資金援助。

・「100年間の義人渡し船」万其珍。4世代にわたり、無料の渡し船を続けている。

・「おんぶ兄弟」庄宏泉、庄匯泉。兄は病気になった弟を背負って通学。その生活を8年間続けている。

・「ゴミ拾いの母さん」于化玲。ゴミ拾いで稼いだわずかなお金で息子をちゃんと学校に通わせている。

・「出稼ぎ農民歌手」旭日陽剛。王旭、劉剛の出稼ぎ農民2人組の歌手。出稼ぎ農民ライフを率直に歌った曲は爆発的な話題となり、CCTVの2011年旧正月特番にも出演した。

・「尋ね人ボランティア」沈浩。行方不明者、誘拐された子どもを捜すサイトを運営。この10年で870人を探し出してきた。

・「中国の善人」王文清。18年間で8万ミリリットル以上を献血。50万元(約600万円)を寄付。

・蔡加芹。女性教師。ネット民の支援を受けつつ、山村の子ども10人を上海万博に連れて行った。

・「ポケット人」董志軍。先天的な障害で伸長は80センチしかなく歩けないが、ウェブサイト管理・運営の会社を立ち上げ、他の障害者のための仕事を作った。

日本と中国の「ネットの話題」で大きく違うのは、こうしたヌクモリティ・ネタが中国のほうが圧倒的に多いという点かもしれない。もっとも前提としては、中国メディアがちょっといい話を積極的に拾って報道しているというのがあるのだが。

この手の話で、個人的に記憶しているのは昨年11月に報じられた「中国版一杯のかけそば」ネタ(レコードチャイナ)。物乞いの老人のズルを分かっていて見逃してやる店主、というのが泣かせどころなのだが、感動トップ10入りは逃したもようだ。

お国が必死になって「いい国ですよ!」と騒ぐのには違和感を感じるが、民草に「世の中に絶望するな」「いいことはたくさんある。いい人はたくさんいる」とメッセージを送るのは大事なことなのかもしれない。ここは世相が暗い日本でも、一発、試してみてはいかがだろうか。

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  1. 1. 2011年「中国を感動させた善人トップ10」 詳細やその後など

    • [メモノメモ]
    • 2012年01月20日 11:00
    • ((中国网事·感动2011)草根英雄谱 (新华网)より) KINBRICKS NOW(キンブリックス・ナウ)さんとこの、「【ヌクモリティ】中国を感動させた善人ト

 コメント一覧 (1)

    • 1. 楽しい
    • 2012年11月05日 17:47
    • 草刈り

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