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イラン制裁をめぐる米中の駆け引き=温家宝は「国連制裁決議」支持を表明

2012年01月19日

2012年1月18日、カタールを訪問中の温家宝首相は記者会見に臨み、イランに対する国連制裁を支持する方針を示した。19日、新華網が伝えた。


■イラン問題の波紋

イランのウラン濃縮開始、制裁への報復措置としてホルムズ海峡封鎖をちらつかせた威嚇が波紋を呼んでいる。

米国はイランからの原油輸入国に対し、輸入禁止、あるいは削減を求めている。昨年末には国防権限法が成立。イランとの金融取引があった海外の銀行に対して米銀行との取引を禁止する制裁法案だ。発動すれば実質的にイランとの原油取引は不可能になるとみられる。

 20120119_中国_イラン_米国_制裁
*画像はVOAの報道。イラン産原油輸入量上位10国。上から中国、日本、インド、韓国、イタリア、トルコ、スペイン、南アフリカ、スリランカと続く。

原油輸入量の10%以上をイランに依存している日本は玄葉光一郎外相がサウジアラビア、カタール、UAEを歴訪。韓国は金滉植首相がUAE、オマーンを訪問し、原油確保に奔走している。温家宝首相は15日からサウジアラビア、UAE、カタールを歴訪。やはり原油確保が最大の目的とみられている。
(関連リンク:「中国、中東3カ国へ資源確保の旅 対イラン制裁見越す」MSN産経、2012年1月18日。「イラン発「石油ショック」回避へ、主要国の思惑」日経新聞、2012年1月19日))


■国連制裁決議と米国の制裁

また12日には中国の珠海振戎公司、シンガポールのクオ石油、UAEのファール石油が米イラン制裁法に基づく処分を科された。イランに対して石油精製品を輸出したことが問題視された。中でも珠海振戎公司は2010年7月から2011年1月までに5億ドル(約384億円)相当のガソリンを販売。石油精製品の対イラン輸出では最大の規模と見られる。中国はこの措置に強く反発している。
(関連リンク:「中国企業など3社に制裁=対イラン石油取引-米」時事ドットコム、2012年1月13日、「米制裁の中国国有企業「理由は捏造」 対イラン輸出巡り」日経新聞、2012年1月13日)

こうした状況下で、温家宝首相が「国連によるイラン制裁決議を支持する」と発言したのは興味深い。ただし、支持するのはあくまで「国連決議」であり、イランの核保有に対する反対姿勢を明確にしたもの。米国が主導する石油輸入削減・禁止ではない。他国の買い控えが進めば、中国がイラン産原油を安く買いたたけるのではないかとの憶測も広がる中、米国と中国のつばぜり合いがどのように発展するのかは注目だろう。


■シリア問題

また18日の記者会見で、温家宝首相はシリア問題にも言及している。平和的政治的解決を希求し、無辜の市民の殺害には反対する姿勢を見せた。その上で「シリア市民の要求する変革と自己の利益用語の要求は尊重されるべき」と踏み込んだ発言をしている。

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