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中国は「昔なじみの女友達」?!日本人が中国に抱く感情を考える(岡本)

2012年01月27日

■中国に抱く感情と付き合い方■

*当記事は2012年1月26日付ブログ「岡本信広の教育研究ブログ」の許可を得て転載したものです。 


Tiananmen 天安門
Tiananmen 天安門 / ssr.ist4u

■中国は「昔なじみの女友達」

日本人って中国が気になって気になってしょうがない存在のようです。中国を褒めれば、中国を嫌いだという人たちから叩かれ、中国をコケ下ろすと中国好きな人たちから嫌悪されます。中国はある意味好き嫌いがはっきりする対象です。

これをどう表現すればいいのだろうと考えていたら、いい表現に出会いました。安田(2011)の「おわりに」で用いられた表現で、中国を「昔なじみの女友達」に例えています。

あえて卑俗な譬え話を用いれば、筆者のなかでの中国の位置付けとは、美人で会話も楽しいが素行と性格に関してはちっとも関心できない、昔なじみの女友達に近いものがある。(…)

(他人から)「あの子かわいいよね」、と言われると、「痛い目にあうからやめとけ」、と言いたくなり、でも「あいつ人間の屑だ」、と言われると事実であるにも関わらず「お前あいつのどこがわかるんだよ」、と言ってしまう

そんな「昔なじみの女友達」だと言っています。

そして日本国内で中国バッシングをしたり中国に期待したりすることを「本当の彼女は清純だと期待をし、裏切られると口汚なく罵ってきたのが日本なのである」と言っています。まさにそうなのかもしれません。そんな「女友達」とどう付き合って行ったらいいのでしょうか。


■中国との付き合い方、3つの態度 

石・福島(2011)は、中国とどう付き合えばいいか、研究をしている人たちに聞くと3つのタイプにわかれる、としています。

第一は中国様の嫌がることは言わずご機嫌を撮りながら利益を・恩恵にあずかる。古いタイプの知識人に多い日中友好派。
 
第二はある程度距離をおくべき。慎重派。

第三は相手の嫌がることでもいうべきことは言いながら深く中国に関わる。小泉元首相のようなタイプの方が中国から一目置かれた。

この3つのタイプをあげ、石さんは

日本は中国と一定の距離を置いてほどほどに付き合ったほうがよい。戦前の第日本帝国の失敗も深入りしたために、多くの領土を失い、国のあり方を変えることになった。

と言っていますし、福島さんは、中国と議論をしていくべきだ、議論とは相手を説き伏せるためではなく自分が妥協したり考えを変えたりしないことを相手にわからせ、尊重させたりためにするものだ、と主張しています。日本の立場を中国にしっかりわからせるということのようです。


■脱亜的、実利的、連携論 

梶谷(2011)は日本人の中国観を以下の3つに分けています。
(関連リンク:「『「壁と卵」の現代中国論』(献本御礼)」岡本信広の教育研究ブログ、2011年11月3日)

(1)脱亜的中国批判-中国は必ず行き詰まる、アメリカのような信頼されるパートナーとの関係を強化した上で付き合うべき、という考え
 
(2) 実利的日中友好論-中国の発展や相互の経済関係の深化は日本の利益になる、歓迎すべきであるという考え

(3)新中国との連携論-中国は将来的に行き詰まることは確実だが、政府に抵抗する勢力があり、そこと連携していくべきであろうという考え

彼の中国観は(2)が5割、(3)が4割、(1)が1割だとしています。

さきの安田(2011)は以下の3つの態度をとっていきたいと言っています。

中国に日本人としての理想を投影して相手側の動向に一喜一憂しない。
中国や中国人を必要以上に蔑視し、思考を停止しない。
中国を日本の価値観の延長線上にある国ではなく「ただの外国」だと考える。

そしてこの態度で中国と接し、その結果を報告することによってこの態度を検証しようとしています。


■岡本的中国観
 
ところで私の対中国観ですが、

実利的日中友好論が5割
残り5割は自分の価値観を反映したりはしないただの研究対象としての外国

のような気がしています。

参考文献リスト:
石平・福島香織(2011)『中国人がタブーにする中国経済の真実』PHP研究所

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