■結婚届を出してもまだ本物の結婚じゃないんだって■
*本記事はブログ「ロシア駐在日記」の2012年1月28日付記事を許可を得て転載したものです。
wedding tradition / kashmut
■婚姻届は出したけど結婚はしていない?!半年ぐらい前のことですけれども、ベビーシッターの娘さんがご主人と喧嘩し、実家に戻ってしまいました。「離婚」という言葉まで口にしていましたが、幸い何とか仲直りできたようです。
さて、離婚の話が出たとき、ベビーシッターの言葉で気になったセリフがありました。
幸い、二人はЗАГС(ザクス、日本の戸籍課のようなところ)に婚姻届を出しているだけで、教会の儀式(венчание)はしてないんだ。
どうも、教会の儀式をしていないような結婚は「本物でない」ような口ぶりです。
■婚姻届は「地」の結婚、教会での儀式は「天」の結婚
信者にとって「神様の前で誓ったことは絶対だ」ということはよくわかります。しかし、ЗАГСでの手続きをして初めて法律上「夫婦」として認められるようになります。であれば、少なくとも社会的にはЗАГСだってそれなりに「重み」があるはずですけど、どうもそんなのはどうでもいいようです。
ロシアで暮らしていないブランクを改めて実感するタチアナ。よくわからないから、ランチのとき、会社の女の子たちに聞いてみることにしました。そうしたら、皆さんベビーシッターとほぼ同じ考えでした。
ロシア人の意識では「別れにくさ」は下記の順番で増しているようです。
同棲>ЗАГСの婚姻届>教会での儀式
(ЗАГСでの手続きが完了していないと教会の儀式は不可能)
ЗАГСは「地」での結婚であり、教会の儀式は「天」での結婚なんだから、後者の方が重みがあって当たり前だそうです。教会では「神様」に誓うわけだから、本当によく考えてからでないとできないと、女の子たちは口をそろえて言います。教会でвенчаниеという儀式をした後、万が一離婚となったら、教会の方から許可をもらわなければならなくなります。
しかし、キリスト教は離婚をかなり否定的にとらえているからそういう許可をなかなか出さないらしいです。こうして教会での結婚式の方が「本物」だという点では認識が概ね共通しているけれども、選んでいるやり方は人によって違うようです。
■ロシアの離婚率の高さにも影響している?
まず、Aさんの意見(同棲期間と合わせると結婚暦15年):
「将来何があるかわからないから、私は教会の儀式は今のところしたくない。年取って、もううちの旦那さんしかいないと確信して初めて教会に行こうと思う」と言うのです。
それに対してBさん(結婚暦18年)は反論。「これでは無責任だから、私は婚姻届を出すのと同時に教会の儀式を行った」と言います。
こうして二人の選択が違いますけれども、法的手続きを軽く見るという意味では考え方がまったく同じだと思います。まだ結婚していない同僚の子たちも同じ意見でした。